当社を含む資生堂グループは、企業理念 THE SHISEIDO PHILOSOPHY の中で、OUR MISSIONとして「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」を定め、コーポレートガバナンスを“OUR MISSIONの達成を通じ、持続的な成長を実現するための基盤”と位置づけています。
2001年から本格的な取り組みを開始し、現在に至るまで継続的な改善を実行してきた当社の足取りは、大きく4つのステージに分かれます。
第1ステージはコーポレートガバナンス改革の黎明期であり、執行役員制度の導入など「経営の監督と執行機能の分離」に着手しました。役員指名諮問委員会(当時)の設置や社外取締役の招聘など、枠組みの整備に取り組んだ第2ステージでは、客観的な数値基準や必要な外形基準を整え、これらの厳格な運用と積極的な開示を通じてコーポレートガバナンスの質を高めてきました。第3ステージでは、より持続的成長の実現に資するためのコーポレートガバナンスを目指し、資生堂グループの最高経営責任者であるCEOのリーダーシップの発揮に必要な権限の集中と、CEOに対する監視・監督がバランスよく機能した「緊張感のあるコラボレーション」を実現してきました。この「緊張感のあるコラボレーション」では、CEOの権限そのものを過度に制限するのではなく、CEOには最大限の権限を持たせた上で、取締役会などの監督機関への厳格な説明責任を課すことにより、監督機関がCEOや経営の執行を経常的に評価するプロセスを構築しており、指名・報酬諮問委員会による評価もこのプロセスを前提に経常的に実施してきました。
そして今般、当社のコーポレートガバナンスは第4ステージとして、業務執行と監督の機能の明確な分離とそれぞれの強化を通じ、経営環境の不確実性が増すなかでも経営戦略の実効性を高めるべく、指名委員会等設置会社へ移行しました。取締役会は、経営の基本方針・経営戦略の決定とそれらの執行の監督に集中することで、監督機能を強化し、変化の激しい環境下で、迅速な対応が求められる執行の取り組みを促します。また、指名委員会および報酬委員会は、独立社外取締役のみで構成し、戦略の実現に繋がる役員指名と報酬の決定を、公正に透明性・客観性高く実現します。さらに、内部監査部門の機能を強化し、監査委員会はこれを通じた実効性の高い監査を実施します。これに対し執行は、代表執行役を中心として、よりスピード感をもった意思決定および業務執行を担います。
当社の取締役会は、業務執行の監督を行うために、多様な視点、多様な経験、多様かつ高度なスキルを持った取締役で構成されることが必要であると考えています。
取締役の候補者を選定する際には、ジェンダー平等の実現や、年齢・国籍・人種等の属性や人格に加え、経営に関連する各分野の識見や経験などにも配慮して豊かな多様性を確保することを重視しています。また、社外取締役については、当社の従来の枠組みにとらわれることのない視点を経営に活かすことをねらいに一定の在任上限期間を設けており、在任期間の長い社外取締役と新任の社外取締役との引き継ぎの期間を設けながら社外取締役の適切な交代を進めています。
当社では、定款の定めにより取締役の員数の上限を14名としており、適切に経営の監督を行うため、事業ポートフォリオや事業規模などを勘案の上、最適な人数の取締役を選任しています。
このうち社外取締役については、監督機能の実効性を担保する観点から、原則として、取締役の過半数を選任することとしています。
なお、社外取締役の選任においては独立性を重視しており、当社が定める社外取締役の独立性判断基準をクリアし、かつ精神的にも高い独立性を有する人材を候補者に選定することを原則としています。
CEOの後任候補者の選定およびサクセッションプランの策定は、現任者の協力のもと、指名委員会が中心となって行います。
CEOと指名委員会は、当社の経営環境を踏まえ、中長期的な視点でCEOに求められる資質、後継者選任の考え方、育成方針等を十分に議論し、サクセッションプランを策定します。策定されたサクセッションプランの遂行状況について、指名委員会は定期的に報告を受け、その実施状況をモニタリングします。
また、具体的なCEO後任者の選定に向けては、指名委員会は、CEOより具体的な後任候補者について様々な角度からの十分な情報提供を受け、意見を交換するとともに、指名委員会メンバー自身が候補者との面談、意見交換を行い、当社の経営課題も踏まえて独立した立場から判断します。また、実際に後任のCEOを選定する際は、指名委員会は最終候補者および最終候補者選定のプロセス等につき十分に審議したうえで提言を行い、取締役会において選定決議を行います。
当社は、CEOだけでなく、経営に対する監督機能の鍵となる社外取締役のサクセッションプランも重要であると考えています。このことから、就任期間や後継者候補の要件の明確化、多様性の一層の強化を含むサクセッションプランについて、指名委員会の検討の対象としています。
また、当社では、取締役や執行役、エグゼクティブオフィサーに必要とされる資質を備えた人材を登用することに加え、必要な研修や情報提供を実施することも重要であると考えています。新任取締役に対し、法令上の権限および義務等に関する研修を実施しているほか、社外取締役を新たに迎える際には、当社が属する業界、当社の歴史・事業概要・戦略等について研修を行っています。さらに、次世代の経営幹部の育成のため、執行役およびエグゼクティブオフィサー候補となる幹部従業員には、トップマネジメントに求められるリーダーシップや経営スキルを習得する研修を行っています。
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