資生堂の安全性保証体系は、長年探求してきた安全性保証の研究に加え、数十年間にわたる動物実験代替法試験研究の成果が全て集約されています。
これは3つのステップ(既存情報による保証、代替法による保証、ヒトによる最終確認)からなり、さらに代替法による保証中の2つのアプローチとお申し出対応を含む5つの要素で構成されています。それぞれにおいて、保証すべき項目ごとに具体的な試験法を適切に組み合わせて実施しています。
資生堂が長年蓄積してきた安全性評価研究から得られたデータや経験は、とても貴重なものです。
私たちはこれまで蓄積してきた知見をいつでも活用できるように、データベースとして整理しており、発売後情報も含め常に情報を更新しています。社内情報以外にも、論文や公的報告書、データベースなどの社外の公開情報も、信頼性を確認した上で積極的に活用しています。
化学物質の安全性情報は世界中で日々更新されており、私たちは適切な情報の取得に努めています。こうした情報による保証を的確に行うため、担当者はグローバルレベルで業界や学会での安全性評価活動に参加するなど、絶えず評価スキルの向上に努めています。
数理モデル或いはナレッジベースのモデルを用いて、評価を行います。
全く同一のものでなくても、既知の原料と類似のもの、具体的には化学構造や生物学的反応が類似等の情報があれば、保証に活用できる場合があります。それぞれの評価項目において担当の専門家が妥当性を確認しています。
培養細胞などを使用し、評価を行います。目的に応じて様々な試験があり、複数の試験法を組み合わせて保証する場合もあります。
既存情報による保証、代替法による保証という2つの検討により安全性が保証されたものについて、最終的な安全性を確認するためにヒトによる試験を行います。このステップへ移行するためには、それまでの検証および試験結果に基づき、ヒト試験倫理審議会がその実施可否を厳しく審議します。
原料レベルで安全性が保証されたものについても最終製品での保証を行う場合があります。資生堂ではその実施プロトコルを厳格に定めており、代表的な試験項目を以下に示します。
原料や製品の皮膚に対する刺激性を評価するために行います。
パッチテスト用絆創膏上に、原料や製品を一定量のせ、前腕屈側部や背中に24または48時間貼付します。
絆創膏を剥離した後、貼付部分の赤みや腫れなどの反応を熟練した判定者が観察し、判定します(必要に応じて皮膚科医が判定する場合もあります)。
赤みや腫れなどの炎症症状をともなう刺激ではありませんが、かゆみ、ほてり、ひりつき、痛みなど製品の使用中に不快となる感覚刺激(スティンギング)を評価するために行います。
あらかじめ感覚刺激に敏感な被験者を選抜しておきます。選抜された被験者の頬に、一定量の製品を塗布し、決められた時間ごとに刺激感の症状と程度を被験者が記録します。終了後に解析を行い結果を判定します。
実際の使用方法で製品を一定期間お使いいただき、肌をはじめ、使用にともなう問題がないかを確認するために行います。
使用中はアンケートなどで肌に対する反応などを回答いただき、終了後に解析を行い結果を判定します。
アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎の既往歴をもつ試験協力者により、肌の弱い方でも問題なく製品を使用いただけるかを確認するため、48時間閉塞パッチテストを行います。
判定は皮膚科医に依頼し、皮膚反応をもとに刺激指数を算出し、刺激が弱いことを確認します。
※本テストで弱刺激性以下を確認した製品には、「敏感肌の方のご協力によるパッチテスト済み」と表記されます。
皮膚に対するアレルギー性を評価するために行います。
原料や製品を背部に3週間で計9回24時間閉塞貼布した後、2週間の休止期間をおいて再度閉塞貼付し、皮膚に反応が出るかを確認することで、アレルギー性を評価します。
※本テストで陰性を確認した製品には、「アレルギーテスト済み」と表記されます
皮膚に対して、ニキビの元となるコメド形成を評価するために行います。コメドは日本語で面皰(めんぽう)といいます。
原料や製品を背部に4週間で計12回連続閉塞貼布した後、5週間目に剥離剤を塗ったスライドグラスで角層を剥離後、角層の状態を顕微鏡で観察し、ニキビの元であるコメドができているかを確認します。
※本テストで陰性を確認した製品には、「ノンコメドジェニックテスト済み」「ニキビのもとになりにくい処方」と表記されます。
眼周囲に用いるスキンケア、メイクアップ製品の眼に対する安全性を評価するために行います。製品を実際の使用方法に従って、2週間の連用テストを行い、その前後で眼科医の診察および眼科学的検査を行います。
※海外向け製品に限り、本テストで陰性を確認した製品には、「眼科医テスト済み」と表記されます。
皮膚に対する光アレルギー性を評価するために行います。
原料や製品を背部に2週間で計6回24時間閉塞貼布と光照射を繰り返し、2週間の休止期間の後、再度閉塞貼付と光照射を行って皮膚に反応が出るかを確認することで、光アレルギー性を評価します。
資生堂が化粧品で実施している安全性に関する保証項目は、刺激性など製品を適用した部位への直接の影響の有無を確認する局所毒性と、全身に対する影響の有無を確認する全身毒性の2つに分類されます。それらの項目について保証すると共に、誤使用や環境(生態系)への影響も配慮しています。またこのような保証情報は、必要に応じて医療関係者へ提供しています。
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