資生堂グループは、企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER
WORLD」のもと、創業以来培ってきた「美」の価値を通じて、2030年に向けて「ひととの繋がりの中で新しい美を探求・創造・共有し、一人ひとりの人生を豊かにする」ことを目指しています。
2025年11月に発表した2030中期経営戦略の策定に伴い、社会・業界の変化やリスク・機会を踏まえ、2019年に特定したマテリアリティを見直しました。社員・お客さま・取引先・株主・社会・地球といった多様なステークホルダーとの対話を通じ、「すべてのステークホルダーにとっての重要性」と「資生堂グループのビジネスにとっての重要性」の2軸で19の重要課題を特定し、中期経営戦略に沿って4つのカテゴリーに整理しました。これらは、資生堂グループの持続的成長と企業価値向上に直結する重点領域です。当社は、事業を通じて社会・環境課題の解決と収益性の両立を図り、さらなる「美」を通じた価値創造を実現していきます。
以下のプロセスを実施しマテリアリティを特定しました。
国際ガイドライン(GRI/SASB/SDGs等)を基に社会課題を網羅的に抽出
社員・お客さまへの定量調査
経営リーダー(EO・地域CEO)へのインタビュー・アンケート
株主/投資家・有識者へのインタビュー
(S&P/MSCI/CDP等ESG評価での社会的要請・期待のデスク調査含む)
マルチステークホルダーと事業双方の重要性からスコアリング
抽出したマテリアリティの分類・テーマ化
グローバルの経営会議で合意
当社は、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」の実現に向けて、社名の由来でもある「万物資生」を起点に「美」の力で人々の心を豊かにし、それにより社会・環境でよい循環が実現されている世界を目指しています。こうした想いをもとに策定した「2030 中期経営戦略」では、サステナブルな価値創造を経営戦略の重要な柱の1つとし、事業を通じた社会価値創造と社会・環境課題の解決に向け、環境・社会領域でそれぞれ3つの戦略アクションを掲げ、全社をあげて取り組みを進めています。
「社会」の領域では、当社で長く培ってきたDE&Iの知見を、事業・ブランドを通じて社会に広げ、社会課題の解決に取り組んでいます。ジェンダー、年齢、国籍、性的指向、性自認、障がいなどにかかわらず、公正な機会が得られ、一人ひとりが自分らしく生きられる社会の実現を目指した「ジェンダー平等」、美しさに関する無意識の思い込みや偏見を払しょくし、個々の美しさに共鳴し合える社会を目指した「美の力によるエンパワーメント」、そして、すべての活動の根底となる「人権尊重の推進」の3つの戦略アクションを実行しています。
「環境」の領域では、社名の由来でもある「万物資生」の考えに基づき、環境負荷を軽減し、サーキュラーエコノミーの実現を目指し、イノベーションやビジネスモデルの構築に取り組んでいます。バリューチェーン全体を通してさまざまなステークホルダーとともに取り組みを推進する「地球環境の負荷軽減」「サステナブルな製品の開発」、環境課題だけでなく人権課題にも対応した「サステナブルで責任ある調達の推進」の3つの戦略アクションを実行しています。
資生堂グループでは、ブランド・地域事業を通じて全社横断でサステナビリティの推進に取り組んでいます。迅速な意思決定と確実な全社的実行のため、専門的に審議する「Sustainability Committee」を設置し、定期的に開催しています。資生堂グループ全体のサステナビリティに関する戦略アクションや方針、気候変動と自然環境に関するリスクおよび機会や、人権対応アクションなど具体的な活動計画に関する意思決定を行っています。また、サステナビリティ戦略における中長期目標の進捗状況についてモニタリングを行っています。出席者は代表執行役を含む財務・研究開発・サプライネットワーク・人事・コーポレートガバナンス・広報、およびブランドホルダーなど各領域のチーフオフィサー・ディビジョンオフィサーで構成され、それぞれの専門領域の視点から活発に議論をしています。その他、特に業務執行における重要案件に関する決裁が必要な場合は「Global Strategy Committee」や取締役会に提案もしくは報告しています。また、戦略アクションに係る確実な業務執行・推進を行うため、「Sustainability Committee」の下部に、主要関連部門の責任者から構成される「Sustainability TASKFORCE」を設置し、長期的な目標達成に向けての推進方法やサステナビリティに関連した課題解決について議論し、地域本社や海外を含むその他の関連部門も巻き込んだ活動を行っています。
資生堂グループでは、「すべてのステークホルダーにとっての重要性」と「資生堂グループのビジネスにとっての重要性」の2軸で19のマテリアリティ(重要課題)を特定しました。これらのマテリアリティに基づき社会・環境それぞれの領域に3つの戦略アクションと中期目標を掲げ、全社で取り組みを推進しています。「2030 中期経営戦略」に基づき、環境領域では対応する領域を広げるとともに、2030年目標へ更新しました。さらに当社は、代表執行役を含むチーフオフィサー・ディビジョンオフィサーに加え、国内外の重要ポジションのリーダーに対して、CO₂排出量削減や女性管理職比率など、ESGに関する業績目標も組み入れた長期インセンティブ型報酬を導入しています。
| 関連マテリアリティ | 戦略アクション | |
|---|---|---|
| 社会 |
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| 環境 |
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| 戦略アクション | 指標 | 2030年目標 従来目標(達成年) |
2025実績 | |
|---|---|---|---|---|
| 1.ジェンダー平等 | 女性活躍推進 |
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50% | 取締役 50.0%※1 オフィサー 46.7%※1 日本国内の管理職 43.3%※1 |
| ジェンダー平等 |
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100万人 | 達成率 95%※2 | |
| 2.美の力によるエンパワーメント | 美の力によるエンパワーメント |
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100万人 | 達成率 40%※3 |
| 3.人権尊重の推進 | 人権尊重 | 詳細な活動は、「人権尊重の推進パート」に記載しています | ||
| 戦略アクション | 目標 | 2030年目標 従来目標(達成年) |
2025年実績 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 1.地球環境の負荷軽減 | CO₂ | CO₂排出量削減 <SBTi, Scope 1・Scope 2> |
46.2%※1 | 61.7% | |
| CO₂排出量削減 <SBTi, Scope 3> |
55%※2 | 47% (絶対量換算) |
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| 水 | 水消費量削減 | 50%※3 | 40% (2026年) |
58% (2023年に達成) |
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| 廃棄物 | リサイクルまたはエネルギー回収する廃棄物 | 100%※4 | — | —※16 | |
| 直接埋立される廃棄物量 | — | 0%※5 (2022年) |
0% (2022年達成) |
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| 2.サステナブルな製品の開発 | 成分 | 循環型成分の使用 | 90%※6 | — | —※16 |
| 疑義成分の製品処方への配合禁止 | 100%※7 | — | —※16 | ||
| パッケージ | 化粧品容器へのリサイクル素材またはバイオベース素材の使用 | 15%※8 | — | —※16 | |
| 化粧品PET容器へのリサイクル素材の使用 | 30% | — | —※16 | ||
| 化粧品容器へのバージンプラスチック使用量削減 | 20%※9 | — | —※16 | ||
| サステナブルな容器への切り替え | — | 100%※10 (2025年) |
98% | ||
| 3.サステナブルで責任ある調達の推進 | パーム油 | サステナブルなパーム油由来原料の調達 | 100%※11 | 100% (2026年) |
86% |
| パーム油ミルまでの追跡 | 85% | — | 73% | ||
| 紙 | サステナブルな紙の調達 | 100%※12 | 100% (2025年) |
100% (2023年に達成) |
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| パルプの州・県レベルでの植林地までの追跡 | 100%※13 | — | 80% | ||
| 大豆 | RTRS認証原料の調達または自然林開発を伴わない調達 | 100% | — | —※16 | |
| マイカ | 児童労働に関与していないサプライヤーからの調達 | 100%※14 | — | —※16 | |
| 紛争鉱物類 | 紛争・戦争行為の資金源とならない調達 | 100% | — | —※16 | |
| サプライヤーマネジメント | 直接・間接サプライヤーにおけるクリティカルリスク | 0※15 | — | —※16 | |
企業が持続可能な成長を目指す上で、社会・環境と企業が相互に与える影響(ダブル・マテリアリティ)を可視化することは不可欠です。しかしながら、CO₂排出に伴う社会システムへの潜在的な損害や気温上昇・災害による事業活動への将来リスクは外部不経済化され、これまで財務諸表に反映されてきませんでした。
目に見えづらい非財務領域の価値や影響を見える化する“非財務領域の財務化”は、経営の意思決定を高度化させるだけでなく、活動の意義を社内外のステークホルダーに伝えるツールとして活用ができ、社員のエンゲージメント・モチベーションの向上にもつながります。特に、気候変動などの環境・社会課題が自社の事業や財務に与えるリスク・機会を定量化することは、事業レジリエンスを評価し、適切な経営戦略を策定するための重要な判断材料となります。自社の製品やサービスが創出する正のインパクトと、事業が社会や環境から受ける財務的影響の双方を金銭価値に換算することにより、これまで単純なコストとして認識されていた活動を、長期的な企業価値向上に資する「投資」として再定義し、ひいてはステークホルダーへの開示を精緻化することにつながります。
資生堂グループは、1872年の創業当初から一貫して社会への価値創出を目指して、事業を営んできました。環境面では、懐中コンパクト白粉のレフィル発売(1926年)、焼却時の易燃性に配慮した容器のサンオイル発売(1965年)、化粧品のフロンガス全廃(1989年)、ガラス瓶の回収リサイクル(2000年)など、技術や社会システムにおけるイノベーションを生み出し、業界をリードしてきました。2019年にはTCFD提言への賛同を表明し、気候変動に伴う潜在的なリスクと機会の分析に加えて、事業活動に伴うインパクトについても財務影響を定量化し、専門チームと経営とで議論を重ねて事業レジリエンスの向上に努めてきました。その内容を、気候・自然関連情報開示レポートにまとめ、毎年開示しています。
社会面においても、こうした非財務領域の価値や影響について、その財務影響の可視化に私たちは挑戦しています。例えば、サンスクリーンは紫外線による日焼け防止を目的とした商品ですが、紫外線による真皮のコラーゲンの保護やシミの予防により、肌機能や美しい外観の維持につながるだけでなく、皮膚がんの予防効果も期待されます。気候変動などによる大気環境や生活環境の変化により、生活者が受ける紫外線曝露量は今後増加することが予想されています※。私たちは、サンケア製品の需要増加に伴い、サンスクリーンを長期的に継続使用することによってもたらされる身体と精神の両面における好影響について数理モデル化し、将来の事業拡大や製品をお使いいただく国や地域の拡大によってどれだけの好影響を生むのか、また逆に製品を生産することによる環境影響の増大について、双方向で金額化を試みています。
定量化した財務影響を当社の企業価値向上効果として、あるいは現在は計上されていない負の外部性として既存の経営指標に取り込むことにより、事業とサステナビリティが一体となった価値創出を実現していくことを目指しています。私たちが、自身の活動の価値を正しく理解し意思決定の材料とするためにも、そして生活者や投資家といったステークホルダーのみなさまに透明性高く説明責任を果たしていくためにも、この困難な課題に私たちは挑戦していきます。
| インパクトマテリアリティ (資生堂グループが社会・環境に与える影響) |
財務マテリアリティ (資生堂グループが社会・環境から受ける影響) |
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|---|---|---|
| 正の外部性 | ポジティブインパクト ✓ SLQメーキャップ ✓ UVケアによる長期の肌機能維持 ✓ エイジングケアによる健康維持 |
機会 ✓ つめかえ商品の販売機会拡大 ✓ 気候適応商品の販売機会拡大 ✓ 社員の能力、生産性向上 ✓ 社員のロイヤリティ、やる気向上 ✓ 生活者・お客さまと長期間にわたってお付き合いすることで生まれる信頼関係の構築 |
| 負の外部性 | ネガティブインパクト ✓環境インパクト(CO2排出など) ✓ サプライチェーンにおける人権問題 |
リスク ✓ 洪水、水不足などの気候リスク ✓ 花粉媒介者の減少などの自然リスク ✓ 資源・原料供給に関わるリスク ✓ 税制・規制などの政策リスク ✓ 紛争・テロによる地政学リスク |
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