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サステナビリティマネジメント

藤原 憲太郎

私は資生堂を、世界中の人々の日常に「美」の力を通じて喜びと感動を与えられる、特別な日本企業だと捉えています。私自身そういった企業に従事していることに、常々、喜びと誇りを持ってきました。2023年1月より社長 COOを務め、企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」のもと、2030年に向けて「美の力を通じて“人々が幸福を実感できる”サステナブルな社会の実現」を目指します。そのためには世界から必要とされる企業として、社会価値を価値創造の根幹に据えて事業を推進することが重要だと考えています。

私たちは、サステナビリティを「環境」「社会」「経済」そして「企業」の持続可能性と捉えています。2022年には、資生堂全体のサステナビリティ戦略の策定・推進を担う機能を全社経営戦略機能に組み込み、また主要実行部門にサステナビリティ機能を新たな組織として配置し、重要課題を解決するために設定している戦略アクションに取り組みました。

「社会」の領域では、異なる境遇や環境に置かれた人々が、お互いを尊重し、一人ひとりが自分らしい人生を実現できる社会を目指すダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を重要な経営戦略と位置付けています。ジェンダー平等の実現に向け、特に課題が認識されている日本における女性活躍について積極的な活動を行っています。日本国内の社内に向けたアクションとして、ワークライフバランスの支援はもとよりメンタリングプログラムや女性リーダー育成プログラム「New Leadership for Women」など女性の活躍推進に向けた積極的な取り組みを実施した結果、女性管理職比率は37.6%を達成しました。このような知見を引き続き日本社会に提供していくことで、ジェンダー平等に貢献していきます。グローバルでは、ブランドや海外地域本社が連携して社会的に厳しい状況にある女性と少女への教育支援、自立支援などを行っています。また、年齢、疾病、障がいなどを問わず、さまざまな人々が、自分らしい一歩を踏み出すため「資生堂 ライフクオリティービューティー」活動を推進してきました。化粧を通じてがんサバイバーの方々を支援する活動は、2022年には、日本だけでなく、中国、シンガポール、タイ、台湾の4つの国・地域に拡大し、グローバル展開を強化しています。

「環境」の領域では、CO₂排出量削減をはじめとする環境負荷軽減やサステナブルな製品のイノベーションを加速しています。気候変動の緩和のための取り組みとして、2022年には2030年に向けた全バリューチェーンを通じたCO₂排出削減目標(Science Based Targets)の認定を取得、事業における電力の再生可能エネルギー100%切替えを目指す「RE100」に加盟し、国内外自社サイトにおける再生可能エネルギーへの切替えとCO₂排出量削減の取り組みを加速させました。
製品に関しては、サプライヤーの皆さまと協働し、環境・社会課題が懸念される原材料についてトレーサビリティを向上させることでサステナブルな調達を推進するとともに、「つめかえ・つけかえ」容器の展開拡大や啓発によって、お客さまとともにCO₂排出量やプラスチック量の削減に取り組んでいます。
2022年には専門性を有する他業種企業と協働を開始、さらに2023年からはプラスチック製容器の新循環モデル「BeauRing」の実証試験を開始し、サーキュラエコノミーの実現に向けて取り組んでいます。

また、事業を通じたサステナビリティアクションの一環として、「環境・社会」領域の重要課題の解決に向け「サステナビリティ・リンク・ボンド」を発行しました。「環境」領域の戦略アクションの一つである「地球環境の負荷軽減」および、「社会」領域の戦略アクションの1つである「ジェンダー平等」の実行に関する評価指標を設定し、サステナビリティ活動を推進しています。

企業経営にとってサステナビリティはさらに重要度を増しています。
これを新たな成長機会と捉え、社内外の多様なステークホルダーとともに透明性を高く保ち、事業を通じた社会価値の創出に取り組んでいきます。

  • 日本国内における(2023年1月時点)

代表執行役 社長 COO
藤原 憲太郎

資生堂のサステナビリティ戦略アクション

私たちは、「美の力を通じて“人々が幸福を実感できる”サステナブルな社会の実現」のために、社会・環境領域でそれぞれ3つの戦略アクションを掲げています。
社会領域では、D&Iを中心に社会課題の解決に取り組んでいます。ビューティーカンパニーとしての特性をいかした「ジェンダー平等」、自分らしく輝くことに貢献する「美の力によるエンパワーメント」、そして、すべての活動の根底となる「人権尊重の推進」の3つの戦略アクションを実行しています。
環境領域では、社名の由来でもある「万物資生」の考えに基づき、環境負荷を軽減し、使い捨てではなくサーキュラーエコノミーを実現できる技術やビジネスモデルの構築を目指して取り組んでいます。全バリューチェーンを通じて、「地球環境の負荷軽減」、「サステナブルな製品の開発」、環境や人権に配慮した「サステナブルで責任ある調達の推進」の3つの戦略アクションを実行しています。

  1. 中国の古典「易経」の一節、「至哉坤元 万物資生(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか、すべてのものはここから生まれる)」の一部

マテリアリティ

資生堂は、創業以来培ってきた「美」に関する価値創造で、人々の幸福感・充足感を高め、サステナブルな社会の実現を目指しています。事業を通じて取り組むべき社会・環境課題を選定するため、ステークホルダーへのヒアリング、サーベイ、ディスカッションをもとに課題をリストアップし、社員、お客さま、取引先、株主、社会・地球といったすべてのステークホルダーにおける重要性と、資生堂のビジネスにおける重要性との2軸で課題を分類し、優先順位をつけ、18項目のマテリアリティ(重要課題)を定めました。

マテリアリティマップ

(2019年策定)

  • マテリアリティは外部環境、ステークホルダーの要請などを踏まえ、数年毎に見直す予定。

マテリアリティ策定プロセス

以下のプロセスを実施しマテリアリティを特定しました。

Step1>すべてのステークホルダーからの期待や要請などをさまざまな視点で社会課題を抽出

  • 国内外で活躍する環境・社会領域の有識者

  • お客さまの声を収集(世界5カ国で実施した企業調査)

  • 外部調査結果・主要国際機関の報告書(GRI・SASB・SDGsなど)

  • 投資家の声

  • エグゼクティブオフィサーおよび社員からの声

Step2>リストアップした課題を事業と関連性の高いものに絞り込み、さらに分析

  • 役員や社内の幅広い部門とのディスカッションにより、事業と関連性の高い課題項目に絞り込む

  • すべてのステークホルダー(社員、お客さま、取引先、株主、社会・地球)にとっての重要性と、資生堂のビジネスにとっての重要性の2軸でスコアリングし、重要項目を選定

  • エグゼクティブオフィサーとその重要項目に関する課題と戦略アクションについて確認

Step3>特定した重要課題は経営会議にて承認

  • 2021年までは執行役員

戦略アクションと対応するSDGs

資生堂では、マテリアリティに基づき環境・社会それぞれの領域で、それぞれ3つの戦略アクションを定めています。これらの取り組みに向け、各部門で経営資源を重点的に配分するとともに、全社横断で進めています。

マテリアリティ 戦略アクション 対応するSDGs
  • ・気候変動対策
  • ・環境負荷を軽減する処方開発
  • ・サステナブルなパッケージ開発
  • ・森林の保全
  • ・サステナブルで責任ある調達
  • ・廃棄物削減
  • ・水資源の効率的な使用
①地球環境の負荷軽減 地球環境の負荷軽減
②サステナブルな製品
の開発
サステナブルな製品の開発
③サステナブルで責任ある調達の推進 サステナブルで責任ある調達の推進
  • ・ダイバーシティ&インクルー
    ジョン
  • ・お客さまの生活の質向上
  • ・人財育成
  • ・従業員の労働安全衛生と健康
  • ・人権尊重
④ジェンダー平等 ジェンダー平等
⑤美の力によるエンパワーメント 美の力によるエンパワーメント
⑥人権尊重の推進 人権尊重の推進
  • ・ガバナンスの強化と説明責任
  • ・公正な取引
  • ・安心・安全な製品
  • ・責任あるマーケティング・
    宣伝広告
  • ・情報セキュリティ・プライバシー
  • ・アート&ヘリテージ
  • ・コーポレートガバナンスの実践・強化により経営の透明性・公正性・迅速性の維持・向上を図り、すべてのステークホルダー(社員、お客さま、取引先、株主、社会・地球)との対話を通じて、中期的な企業価値および株主価値の最大化に努めることとしており、あわせて、社会の公器としての責任を果たし、各ステークホルダーへの価値の分配の最適化を目指しています。
  • ・アート&ヘリテージについては、社会価値を創る企業文化の継承と日本の美意識を発信する観点から活動を進めています。
  • ガバナンスに関するマテリアリティについて戦略アクションは開示しておりません。

サステナビリティ推進体制

資生堂では、ブランド・地域事業を通じて全社横断でサステナビリティの推進に取り組んでいます。2022年はサステナビリティ関連業務における迅速な意思決定と全社的実行を確実にするため、専門的に審議する「Sustainability Committee」を定期的に開催しました。グループ全体のサステナビリティに関する戦略や方針、TCFD開示や人権対応アクションなど具体的な活動計画に関する意思決定、中長期目標の進捗状況についてモニタリングを行っています。出席者は代表取締役を含む経営戦略・R&D・サプライネットワーク・広報・ブランドホルダーなど各領域のエグゼクティブオフィサーで構成され、それぞれの専門領域の視点から活発に議論をしています。その他、特に業務執行における重要案件に関する決裁が必要な場合は「Global Strategy Committee」や取締役会に提案もしくは報告しています。また、毎年グローバルのステークホルダーに向けたサステナビリティレポートを発行し、当社の本業を通じたサステナビリティアクションの中長期目標とその進捗を開示しています。さらに当社は、サステナビリティ活動を推進するため、社外取締役および監査役を除く取締役、エグゼクティブオフィサーに加え、国内外の重要ポジションのリーダーに対して、CO₂排出量削減や女性活躍などESGに関する社内外の複数の業績目標値も組み入れた長期インセンティブ型報酬を導入しており、その達成度に応じてインセンティブ報酬が増減する仕組みを取り入れています。

  • 2021年までは執行役員

サステナビリティ関連の中長期目標

戦略アクション 環境 目標 達成年 2022年実績
①地球環境の負荷
軽減
CO₂排出量 カーボンニュートラル※1 2026 45%(2019年比)
CO₂排出量削減
<SBTi, Scope 1・2>
46.2%※1 2030 2024年中に開示予定
CO₂排出量削減
<SBTi, Scope 3>
55%※2 2030
水消費量削減 40%※3 2026 37%(2014年比)
②サステナブルな製品の開発 パッケージ サステナブルな容器 100%※4 2025 64%
③サステナブルで責任ある調達の推進 パーム油 サステナブルなパーム油 100%※5 2026 36%切替え完了
(パーム油換算重量ベース)
サステナブルな紙 100%※6 2023 97%切替え完了
(紙重量ベース)
戦略アクション D&I 目標 達成年 2022年実績
④ジェンダー平等 社内・国内 あらゆる階層における女性比率 50% 2030
  • 取締役・監査役 40.0%※7
  • エグゼクティブオフィサー 35.3%※8
  • 日本国内の管理職 37.6%※9
社会
  • ・国内における女性活躍
  • ・グローバルでの女子教育支援と経済的自立支援
100万人
(ダイレクトリーチ)
2030
⑤美の力によるエンパワーメント 社会
  • ・美の力による自己効力感の醸成
  • ・「自分らしい美しさ」を制限する無意識の思い込みや偏見への取り組み
100万人
(ダイレクトリーチ)
2030
  1. ※1:資生堂全事業所(対2019年)
  2. ※2:資生堂全事業所を除くバリューチェーン全体(対2019年)
  3. ※3:資生堂全事業所、売上高原単位(対2014年)
  4. ※4:プラスチック製容器について
  5. ※5:物理的なサプライチェーンモデルによる認証:アイデンティティ・プリザーブド、セグリゲーションまたはマスバランスに基づく
  6. ※6:製品における、認証紙または再生紙など
  7. ※7:2023年4月1日時点
  8. ※8:2023年4月1日時点
  9. ※9:2023年1月1日時点

国際的な規範への賛同・支持

国際的な規範への賛同・支持[PDF:389KB]