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“美肌の鍵を握る毛細血管とシナモンの関係”
血管研究のエキスパート加治屋研究員が解説

資生堂は、肌全体を根本から健やかにするために、全身の血管やリンパ管と肌老化に関するホリスティックな研究を長年行っています。
世界で活躍する皮膚科学の研究者であり、血管研究のエキスパート加治屋研究員が、美肌の鍵を握る毛細血管とシナモン・桂皮(ケイヒ)の関係を明らかにしました。

<プロフィール>
加治屋 健太朗(かじや けんたろう)

  • 資生堂 みらい開発研究所 シーズ開発センター センター長
  • 弘前大学大学院医学研究科 招へい教授

2006年、2020年中国化粧品学術検討会 最優秀賞、2010年日本香粧品学会 優秀論文賞を受賞、さらに化粧品技術に関する世界最大の権威ある研究発表会“IFSCC”で基調講演をするなど、世界で活躍する皮膚科学の研究者。

毛細血管と美肌の関係

①毛細血管のゴースト化

毛細血管とは、人間の血管の95~99%を占めており、肌の真皮に最も多く存在し、栄養や酸素を肌の末端までしっかりと供給する役割を担っています。そのため、毛細血管を丈夫に保つことは、美しい肌のためにもとても重要です。
しかし、加齢や運動不足や不規則な生活により毛細血管が衰えると、毛細血管がもろく過剰に漏れ出しやすい状態になり、血液がうまく流れなくなることで肌トラブルに繋がってしまいます。この血液がうまく流れなくなる現象を“毛細血管のゴースト化”とよんでいます。

  • 真皮層は肌を構成する層の一つで、肌は外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つの層が重なってできている

②毛細血管にある“壁細胞”の役割

長年の血管研究により、毛細血管と美肌との関係を多数解明してきましたが、真皮の毛細血管の外側に接着している壁細胞が毛細血管のループ構造上から表皮側に移動し、表皮幹細胞様に変化することで表皮の再生を促している可能性を2022年に世界で初めて発見しました。
これまで、肌の毛細血管は栄養や酸素を供給する機能について着目され、真皮での役割を中心に研究が行われてきました。今回、構造上直接接触していない表皮の再生においても重要な役割を担っていることを見出しました。
さらに壁細胞は不安定な毛細血管から過剰に漏れ出す栄養や酸素のフタ(壁)になってくれる役割も担っています。

  • 毛細血管の血管内皮細胞に接着し、毛細血管の構造を安定化している細胞。
    周皮細胞(ペリサイト)ともいう。

  • PC:ペリサイト(壁細胞)Cp:毛細血管

毛細血管(Cp;緑)ループの頂上付近に存在する表皮幹細胞(赤)とペリサイト(壁細胞)(PC;赤)の関係

③異常な毛細血管とシミ・シワの関係性

これまでの研究により、紫外線を浴びた肌やシミ部位には、太い毛細血管が異常に増加することがわかっています。この新たにつくられた異常な毛細血管は、未熟で不安定なため、過剰に漏れ出しやすい状態です。これにより、白血球の一部である好中球が毛細血管から漏れ出し、肌の弾力を生み出すコラーゲンやエラスチンなどの分解酵素を分泌してシワを形成することを明らかにしました。また、異常に増加した毛細血管からはメラニン生成を促進する炎症性サイトカインが放出され、メラノサイトにおけるメラニン生成量が増大していることを確認しており、毛細血管がシミの形成や改善に影響を及ぼすことも見出しています。

毛細血管を丈夫に維持するシナモン・桂皮(ケイヒ)

美肌の鍵ともいえる毛細血管。健やかで美しい肌のためには、規則正しい生活や、血管に着目したスキンケアやマッサージなどを日々のお手入に取り入れていただくことがお勧めです。

また、毛細血管を安定化させるために血管内皮細胞の受容体「Tie2(タイツー)」のはたらき(活性)が重要であることがわかっており、身体の内側からTie2を活性化する成分を開発すべく200種以上の天然由来成分を探索しました。その結果、身近なものではシナモン・桂皮(ケイヒ)に高い効果を見出しました。シナモン・桂皮(ケイヒ)に含まれる「シリンガレシノール」という成分が、毛細血管の壁となっているペリサイト細胞の接着に重要なたんぱく質を活性化してくれることで、毛細血管を安定化し維持してくれることがわかりました。体重60kgほどの方で約0.6g(ティースプーン1杯程度)で効果が期待できます。
肌を美しく保つために、丈夫で安定化した毛細血管を目指しましょう!

  • シナモンの過剰摂取は肝臓に負担がかかる可能性があるので、摂りすぎにはご注意ください。

シナモン

主要な研究論文はこちら

  • 3D microvascular analysis reveals irregularly branching blood vessels in the hyperpigmented skin of solar lentigo.(2018年)
  • 皮膚老化において重要な役割を担う血管・リンパ管(2012年)
  • Structural alterations of the cutaneous vasculature in aged and in photoaged human skin in vivo(2011年)
  • Ultraviolet B-induced skin angiogenesis is associated with a switch in the balance of vascular endothelial growth factor and thrombospondin-1 expression.(2004年)

こちらもあわせてご覧ください。

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