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2018年08月09日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

資生堂、シミの肌内部における血管構造異常の3D可視化に成功

資生堂は、皮膚組織を透明化する技術を応用し、シミ部位における毛細血管の状態を精細な3D画像にて可視化することに成功しました。これは、慢性的に紫外線にあたることによって発生するシミ(日光性色素斑)の部分の真皮上層では異常な毛細血管のネットワークが存在するという、2017年9月に資生堂が発表した新知見を裏付けるものです。
なお、本研究は、内閣府が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の研究開発プログラム「イノベーティブな可視化技術による新成長産業の創出」の一環として行ったものです。
本研究結果は、シミに悩むお客さまへの画期的なシミ改善技術の提供につながることが期待されます。

シミ部位の血管構造解明の経緯

資生堂は、長年にわたりシミ部位に特異的に起こっている肌エラーに着目した皮膚解析によるシミ形成のさまざまな原因解明に取り組み、「異常な毛細血管ネットワークがシミ形成に関与する」という事実を昨年発見しました。これはシミの原因解明において非常に画期的なものでしたが、従来の薄層皮膚切片を用いた観察であったため、シミ部位の血管数や血管密度の増加について発見したものの血管構造上の特徴までは明らかにできませんでした。
そこで、資生堂の自社特許技術である皮膚組織の透明化技術を用い、異常な毛細血管ネットワークの特徴を、より精細に明らかにすることに取り組みました。
これにより、立体的な皮膚組織をまるごと観察することが可能になり、より広い範囲で立体的な観察を行うことができるようになりました。この技術をシミ組織の観察に応用し、シミ部位における毛細血管構造を立体的に可視化することに成功しました。

今回の研究成果

今回の研究により、シミ部位の血管は近傍の正常部位に比べ、不規則な配向を示していること、また血管の分岐が非常に多いことを見出しました(図、動画)。また、マクロファージ*1についても同時に解析したところ、分岐の多い血管周辺にはマクロファージが多数集まってきていることを見出しました。つまり、シミ部位の血管構造の異常と炎症との関連を示すことに成功しました。

*1 マクロファージ:生体内に侵入した細菌などの異物を捕らえて細胞内で消化するとともに,それらの異物に抵抗するための免疫情報をリンパ球に伝える役割をもつ細胞。外傷や炎症の際には活発になることが知られている。

今回発見したシミ部位の異常な毛細血管ネットワークがシミ形成に大きな影響を及ぼしていると考えられることから、資生堂では本研究成果をもとにスキンケアの価値創出に向けた研究を進めていきます。

※なお、本研究成果は2018年8月開催の第36回日本美容皮膚科学会総会・学術大会にて発表し、優秀演題に選ばれました。
※本研究は韓国アジュ大学との共同研究であり、資生堂及びアジュ大学のヒト試験倫理審議会の承認のもとに行われた研究です。



図 シミ(日光性色素斑)部位では異常な血管構造をとり、その周辺にマクロファージが集まっている。

(A)正常部位 (B)シミ部位 血管(赤)、マクロファージ(緑)

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動画 (A)正常部位

動画 (B)シミ部位

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。