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2020年11月05日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

資生堂、血管を介したシミ形成に繋がる新たな要因を確認

オトギリ草抽出液がウロキナーゼ活性抑制に有効

資生堂は、シミ部位ではウロキナーゼ※1の活性が高まることを発見しました。また、ウロキナーゼは、紫外線ダメージにより血管内皮細胞※2から分泌され、メラニン生成促進に関与することを確認しました。先行研究で、シミ部位には異常な毛細血管ネットワークが存在することやその血管がシミへ悪影響を及ぼすことを明らかにしており※3、ウロキナーゼが血管内皮増殖因子(VEGF-A)と協調して血管新生を促進することから、ウロキナーゼは血管を介したシミ形成に繋がる要因であると考えられます。また、オトギリ草抽出液にウロキナーゼの活性を抑制する効果があることを見出しました。
今後も、長年培ってきた美白研究※4の成果を活用して、お客さまをシミ悩みから解放し、明るく輝きを放つ肌で自信を持って毎日を過ごしていただけるよう、研究を進めていきます。
本研究の成果の一部は「第37回 美容皮膚科学会総会・学術大会」(2019/7/27)で発表しました。

※1 生体に存在する酵素の1種で、活性が高まると肌あれのきっかけとなることが知られていました。
※2 毛細血管を構成する主な細胞の1種。
※3 末尾の「参考:関連する主なニュースリリース」を参照。
※4 美白とは、メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐことです。

図1: ウロキナーゼは血管を介したシミ形成に関与していると考えられる (イメージ図)

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血管を介したシミ形成とウロキナーゼの関係性

非シミ部位とシミ部位の比較検討を行ったところ、シミ部位ではウロキナーゼの活性が特異的に高まっていることを発見しました(図2)。また、細胞を用いた実験にて、紫外線を照射することで血管内皮細胞からウロキナーゼが分泌されることを確認しました(図3)。シミ部位では血管内皮増殖因子(VEGF-A)も多く産生されており、ウロキナーゼはVEGF-Aと協調して血管新生を促進します。

図2: ウロキナーゼ活性の比較

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図3: 紫外線照射によるウロキナーゼ分泌量の比較

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続いて、ウロキナーゼとメラニン生成促進の関係性について調べました。ウロキナーゼの活性を高めると、それに伴いにメラニン生成の引き金となる酵素チロシナーゼの活性が高まることを確認しました(図4)。
以上の結果から、ウロキナーゼは血管を介したシミ形成に関与することが示唆され、ウロキナーゼの活性は、シミを悪化させる環境に影響を及ぼす一因であると考えられます。

図4: ウロキナーゼとチロシナーゼの関係性

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ウロキナーゼの活性を抑制する薬剤 オトギリ草抽出液

ウロキナーゼの活性を抑制する成分を探索した結果、オトギリ草抽出液にウロキナーゼ活性抑制効果があることを見出しました(図5,6)。このことから、オトギリ草抽出液は、血管を介したシミ形成に関わるウロキナーゼの活性を妨げ、シミが悪化する環境を改善する作用がある可能性が見出されました。

図5: オトギリ草抽出液によるウロキナーゼ活性の抑制効果

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図6: オトギリ草(学名:Hypericum erectum)

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資生堂は、シミ部位特有の肌状態の研究により様々なシミ形成要因を解明するなど、常に美白研究をリードしてきました。今後も企業理念である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」の実現を目指し、美白ケアを必要とされる方へソリューションをお届けするために研究を進めていきます。





■参考:関連する主なニュースリリース
・シミ部位の血管密度が色素沈着の改善に影響することを発見(2020年)https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002975
・シミの肌内部における血管構造異常の3D可視化に成功 (2018年) https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002498
・異常な毛細血管ネットワークがシミ形成に関与することを発見(2017年) https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002264
・肌を切らずに毛細血管を可視化することに成功 (2017年)https://corp.shiseido.com/jp/news/detail.html?n=00000000002265

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。