資生堂は、有限な自然資源を活用し事業活動を展開しています。そのため、環境保全や生物多様性の観点、さらにサーキュラーエコノミーに対応した資源の使用量削減や再利用など、サプライチェーンにおけるサステナブルな原材料調達に責任をもって取り組むことが重要と考えています。また、人権侵害などの課題に対しても、自社だけではなくサプライヤーとの協働が不可欠です。
資生堂の事業活動は地球の恵みと豊かな生物多様性に支えられています。
近年、生物多様性の急速な喪失が多くの科学者やNGO団体などから警告されており、種の保存の観点だけでなく、持続可能な事業の観点からも、事業と自然環境との関連についての透明性ある情報開示と、生物多様性の保全が求められるようになってきました。一般的に、原材料の生産地では乱開発による生物多様性喪失だけでなく、そこで働く人たちの人権問題も懸念事項になっています。
中長期目標と実績はこちら
資生堂は事業と陸域・水域・海洋の生物多様性との関係を分析し、原材料調達において陸域生態系への依存と影響が大きいことを特定しました。なかでもパーム油や紙は影響も重大なため、企業の積極的な対応が求められています。2020年に資生堂はパーム油と紙について中長期的な目標を開示し、サステナブルな原材料への切り替えを進めています。当社は、パーム油、紙の調達に関してNDPE(No Deforestation, No Peat, No
Exploitation:森林破壊ゼロ・泥炭地開発ゼロ・搾取ゼロ)を支持し、サプライヤーに対してもNDPEの遵守徹底を要求しており、それらを「資生堂グループ 持続可能な原材料調達ガイドライン」にも反映しています。
マイカに関しては、自社での調達方針を明確にし、他企業と協働した生産地でのサポート体制の構築などを通じて、生産地域の問題解決に向けた取り組みを強化しています。
資生堂は、Taskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)の枠組みとLEAPアプローチを活用し、事業活動による自然への依存と影響の両面からリスク/機会の分析を進めています。事業所の管理者責任の観点から、TNFDメンバーを擁するMS&ADインターリスク総研株式会社に当社工場の敷地を含めた事業所周辺地域の希少生物生息地域や保護地区、水資源の状況などの詳細調査を依頼し、貴重さと重要性の観点から分析を行いました(センシティブロケーションとマテリアルロケーションの特定)。また、バリューチェーンを通じた間接的な影響を評価することを目的として、ライフサイクルアセスメントによる分析を実施しました。影響の大きい要因として特定された農産物由来の原料について、ミツバチなどの花粉媒介者による生態系サービスの価値を金額化し、調達における生物多様性への依存度を可視化しました。こうした分析の結果を、2023年には資生堂 気候/自然関連財務情報開示レポートにまとめて、開示しました。
今後は、実施した分析結果を踏まえ、生物多様性の回復・再生を導く活動の必要性を強く認識し、サプライヤーや外部有識者などのステークホルダーと協働しながら自然や生物多様性と調和した持続可能な事業活動を推進していきます。
資生堂は、さまざまなブランドや地域で生物多様性の保全に関する取り組みを行っています。
「SHISEIDO」は、2019年から “Respect for Ocean” をテーマに、グローバルで海を守る活動「SHISEIDO BLUE PROJECT」を実施しています。サーフィンの世界的団体「WSL(World Surf
League)」のグローバルサステナビリティパートナーとして、より美しい海の実現に向けてローカルコミュニティーやNGO団体と連携し、ビーチクリーンや植樹活動などを継続して行っています。5年目を迎える2023年には、WSLの公式サンケアパートナーとして環境保全活動を継続するとともに、フランス・タヒチ島で行われる「Tahiti Pro」にて冠協賛をしました。
「SHISEIDO BLUE PROJECT」の活動詳細はこちら
「樹木との共生」をテーマに掲げる「BAUM(バウム)」は2023年10月に岩手県盛岡市にある「BAUMオークの森」で、岩手県森林整備協同組合、住友林業株式会社とともに、第3回目となる植樹を行いました。BAUMは2020年の発売以来、「樹木の恵みを受け取るだけではなく、自然に還していく」というブランドの取り組みの1つとして、再びBAUMの木製パーツに使用する循環を目指した取り組みを行っています。
日本では、古くから多くの薬草が栽培されてきた伊吹山※の自然保護活動を2022年より開始しました。独自の薬草園を開園し植物の栽培に加え、山麓に豊かな恵みをもたらす伊吹山の自然保護のため、当地域で環境保全に取り組むNPO法人「霊峰伊吹山の会」とともに、植生回復活動に取り組んでいます。2023年には、未利用の伊吹山の薬草を余すところなく活用するため、松田医薬品株式会社とともに薬草湯[蘇湯SOYU]を開発し、伊吹山の自然保護活動のためのクラウドファンディングの返礼品として活用しました。
伊吹山の自然保護活動に関するリリースはこちら
農作物の受粉に重要な役割を担っているミツバチの減少が懸念されている欧州では、フランスのバル・ド・ロワール工場およびジアン工場がミツバチの保護と地域の生態系の保全をサステナビリティ計画に盛り込んでいます。ミツバチの巣箱を設置するとともに、工場敷地内での農薬の使用を禁止しました。設置したミツバチの巣箱からは、2023年は約179kgのハチミツが生産されました。
パーム油はその汎用性の高さから、食品から化粧品までさまざまな製品に使用される一方、開発に伴う熱帯雨林での環境破壊や人権問題も発生しており、サステナブルで責任ある調達が求められています。
資生堂は、2010年にRSPO※1に加盟し、2023年はパーム油由来原料の100%に相当するRSPOクレジットを購入しています。「2026年までに100%サステナブルなパーム油の調達を達成」という中長期的な目標を2020年に開示しました。資生堂グローバル本社と地域本社の主要部門は緊密に連携し目標達成に向けた取り組みを推進しています。目標達成に向け、パーム油を取り扱う全サプライヤーにRSPO加入および物理的な認証パーム油※2への切り替えを要請し、サプライヤーと協働で持続可能なパーム油由来原料の調達やトレーサビリティ確保に取り組んでいます。
加えて、2023年には、日本国内サプライヤー向けの購買方針説明会を実施し、パーム油のトレーサビリティ推進に関する協力を要請しました。2023年は、パーム油由来原料の51%(パーム油換算、重量ベース)を物理的な認証パーム油に切り替えました。また、資生堂の全工場がRSPOサプライチェーン認証を取得しています。※3
他企業との協働による課題解決の取り組み強化のため、資生堂はCGF※4の日本のパーム油ワーキンググループに参画し、2019年からはJaSPON※5に加盟しています。加えて、「資生堂カメリアファンド」※6を通じて、インドネシアの小規模パーム農家の育成などを行っているWWFジャパンの活動を支援しています。WWF※7は環境に配慮した生産方法や労働安全のトレーニング、生産者組合の設立のサポートなどを通じて、RSPO認証の取得や農家の生計の向上に取り組んでいます。資生堂は、上記活動の支援対象でありRSPO認証を取得した小規模農家が販売するRSPO認証クレジットを購入し、環境・社会課題に対応した持続可能な調達に貢献しています。
私たちの進捗状況はwww.rspo.orgからご確認ください
資生堂は、資源の持続可能な利用と海洋プラスチックごみ問題の解決を目的として、化粧品の容器包装へのシングルユースプラスチックの使用を可能な限り削減するため、化粧品の外箱などの2次包装の紙化を積極的に進めています。一方で、紙の原料である木質チップを生産する植林地では、森林破壊や生物多様性の喪失、地域住民の権利侵害が問題となっており、環境や人権に対応したサステナブルな紙の使用が求められます。
資生堂は、2023年までに製品の容器包装に使用される紙※1を、100%サステナブルな紙※2に切り替えるという目標を達成することができました。
化粧品の容器包装には、環境配慮に加えて美しいデザインや重量に耐え得る強度などさまざまな特性が求められます。製紙メーカーとの協働により、こうした優れた特性や新しい機能の紙製容器包装のイノベーションにも取り組んでいます。
さらに、販促物やその他のオフィスにおけるコピー用紙など消耗品についてもサステナブルな紙への切り替えを推進しています。特に、販促物については、2023年から社内において「POSMエコデザインガイド」に沿って取り組みを進めています。例えば、販売台やハンディバッグ、リーフレットなどの紙器類を、認証紙や再生紙に切り替えています。また、一部の化粧品サンプル台紙については統一化・標準化により、紙の使用量削減を進めています。
マイカは、美しい光反射や耐熱性から、美容関連産業だけではなく幅広い産業で使用されています。資生堂は、2017年にRMI(Responsible Mica
Initiative)に加盟しました。RMIは、マイカ生産国の採掘現場から児童労働や強制労働を撲滅し、サステナブルで責任あるマイカ生産の確立を目標に掲げています。当社は、児童労働などの人権課題が懸念されるインド産マイカに関しては、RMI加盟企業からの調達や人権課題がないことの確認を進め、責任ある調達に努めています。
RMIは、2018年から2023年までの6年間で、NGO団体やインド政府、参加企業などと連携し、180の村のマイカ生産に従事することで生計をたてている約1万9,500の家庭、約9万5,000人にコミュニティエンパワーメントプログラムを実施し、彼らの収入と生計を改善する活動支援などを行いました。
資生堂は、今後もRMI加盟企業を中心に、社会的懸念のない生産者から供給されるマイカの使用に努めます。
資生堂は、2023年に化粧品業界15社※から構成されるコンソーシアム「Traceability Alliance for Sustainable Cosmetics(TRASCE)」に参加し、主要な原材料に関して業界全体でサプライチェーンのトレーサビリティを向上することを目指しています。メンバー企業とともにISN社が提供する共通のデジタルプラットフォーム「Transparency-One」を用いてバリューチェーン全体の情報をマッピングすることに取り組んでいます。
企業が持続的に発展していくためには、経済価値だけでなく社会価値の観点からも社会に貢献していくことが重要と資生堂は考えています。すべての事業におけるサステナブルで責任ある原材料調達を通じて、人権の尊重と環境の保全に取り組むことは私たちの務めです。
近年、社会課題や環境問題の深刻化に伴い、企業に対して各国法令の遵守はもとより国際条約や国際規約を尊重し、サプライチェーン全体でサステナブルな社会の実現に取り組むことが強く求められています。そのため、資生堂では調達に関する基準と方針などを定めています。
エシカルなサプライチェーンを実現するために、「資生堂グループ サプライヤー行動基準」、「資生堂グループ 調達方針」、「資生堂グループ 持続可能な原材料調達ガイドライン」を遵守し、また定期的にサプライヤー評価や監査によるモニタリングを行い、サステナブルで責任ある原材料調達を推進してきました。
さらに、ステークホルダーとの課題の共有・解決に努めるとともに、国際的な人権の専門家や原材料産地で働く方々をはじめとするさまざまな関係者との対話を図り、専門的な知見に基づいた責任ある調達の活動に取り組んでいます。
資生堂グループ 調達方針
私たちは、お客さまに満足いただける安全で優れた製品を提供するために、すべてのサプライヤーを尊重し、社会・環境面に配慮した持続可能な調達の実現を調達方針として掲げています。
コストや品質といった経済価値に紐づく項目に加えて、公正な取引、法令順守、異なる文化や価値観の尊重、人権尊重、環境配慮といった社会価値の共創に向けた方針を宣言し、サプライヤーに対し方針の内容を共有しています。
2022年2月に、サプライヤーと更にサステナブルで責任ある調達を積極的に推進していくため、本方針を改定し公表しました。環境や人権面でサプライヤーに遵守を求める内容を方針に規定するとともに、第三者監査実施等による厳格で客観的なリスク特定と是正プロセスの導入や、サステナビリティ観点でサプライヤーを評価することを明記しています。
資生堂グループ サプライヤー行動基準
国連グローバル・コンパクトに参加したことを契機として、2006年に「資生堂グループ サプライヤー行動基準」を策定しました。この行動基準は、人権、法令遵守、労働慣行、知的財産の保護、機密の保持、環境保全、公正な取引に関する規範を明文化したもので、私たちと取引のあるすべてのサプライヤーに対して遵守を求めています。
サプライヤーと協働して持続可能な調達を実現するべく、サプライヤーアセスメントとその後の是正活動を含むサプライヤーアセスメントプログラムを定期的に実施しています。サプライヤー行動基準に違反していることが判明した場合には、是正要請、是正指導、支援を実施しています。
資生堂グループ 持続可能な原材料調達ガイドライン
原産国において環境・人権問題が深刻化している可能性が高いと判断した原材料については、問題への不関与を第三者認証された原材料への切り替えや、国際的なイニシアティブへの参加による問題解決を進めています。
そのなかでも近年、森林破壊や労働問題が強く指摘されたパーム由来原料、紙、そしてマイカについて問題解決に向けた目標と手段を明確化し、持続可能な調達を実現するためのガイドラインを策定しています。
取扱品目は当社製品に関するパッケージ、原材料、香料などの生産用材、販売支援ツール、およびOEM調達品、生産委託品です。
資生堂は「資生堂グループ 調達方針」にある「よきパートナーシップの構築」「公正な購買取引」「契約の履行」「責任ある調達の推進」「多様な価値観の尊重」という方針に基づき、世界各国・各地域のサプライヤー860社※と取引を行っています。
戦略サプライヤー特定のプロセス(年1回特定)
契約締結・取引開始 |
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戦略サプライヤーの特定 |
資生堂が2030年に最も信頼されるビューティーカンパニーとなるため、戦略的な関係を築き、共に成長を目指すビジネスパートナーを戦略サプライヤーとして定義※1しています。
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戦略サプライヤー |
| サプライヤー数 |
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1次 | 24社 |
1次以外 | 5社 |
合計 | 29社 |
1.新規取引先と当社のコンタクト | |
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1.新規取引先からの提案 | 2.当社からの連絡(調達希望品目の案内) |
2.提案内容の検討 | |
3.取引先の審査 | |
以下の点について審査いたします。
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4. 商品化に向けた詳細の検討・評価 | |
提案内容に対する具体的な商品ニーズがある場合には、商品化に向けた詳細な検討を行います。その際、製品仕様に基づいた詳細な見積りをお願いいたします。 評価用サンプルによる検討も同時に行います。 | |
5. 最終交渉・購買契約締結 | |
調達にあたってのすべての条件について再度確認・調整のうえ購買契約を締結いたします。 なお、購買契約にて、「資生堂グループ サプライヤー行動基準」への遵守も合意いただいています。 | |
6. 取引開始 | |
7. パフォーマンスレビュー | |
毎年1回、取引先をQCDST※2およびサステナビリティの観点※1から評価しています。 詳細は「サプライヤーパフォーマンス評価」をご確認ください。 |
当社では購買品目におけるカテゴリー戦略を立案し、それに基づいてソーシング活動を行っております。カテゴリー戦略は、QCDST※のビジネス面での要求事項、およびサステナビリティ観点での要求事項を踏まえて策定しております。定期的にカテゴリーのパフォーマンスをレビューし、サプライヤー行動基準の遵守状況を踏まえて、戦略を見直しております。
このように、私たちの購買慣行を定期的にレビューし、サプライヤー行動基準との整合性を担保するとともに、サステナビリティ観点での要求事項との矛盾がないことを確認しています。
資生堂は、持続可能なサプライチェーンの構築とサプライチェーン全体におけるリスクを可能な限り排除することを目指し、サプライヤーアセスメントプログラムの実施を進めています。
資生堂では、2022年に改定した「資生堂グループ 調達方針」に基づきプログラムを実行しており、サプライヤーアセスメントによりリスクが高いことが判明し、監査で発見された課題が是正されていないサプライヤーとは取引を行いません。
すべてのサプライヤーを対象に取引を始めるにあたり、まずEcoVadis/Sedex/資生堂SAQのいずれかの評価法※1でサステナビリティ(人権・労働安全衛生・環境・ビジネス倫理)の基準に対してセルフアセスメント(自己評価)を実施しハイリスクでないことを確認したうえで、「資生堂グループ サプライヤー行動基準」に合意を得て取引を行います。
既存のサプライヤーに対しても、前述の評価法を用いてサプライヤーを評価することで「資生堂グループ サプライヤー行動基準」の遵守状況を継続的に確認しています。
資生堂では、リスクの程度やビジネス上の重要性から、優先的にアセスメントすべき重要なサプライヤー※2をスクリーニングしています。スクリーニングにあたっては、サプライヤーのリスク(ESGリスク、国・産業・商材リスク)、スペンド、QCDST※3パフォーマンスなどを考慮しています。
セルフアセスメントの結果については、リスクの程度に応じてローリスク・ミドルリスク・ハイリスクの3種類にサプライヤーを分類し、ハイリスクに該当する場合は第三者監査※4を実施しています。
また、すべてのサプライヤーに対して対面またはオンラインでアセスメント結果のフィードバックを行うとともに、必要に応じ、従業員がサプライヤーの拠点を訪問し、改善に向けた議論も行っています。
第三者監査では、現場視察に加え、労働者インタビュー、必要書類の検証などが行われます。監査により発見された課題については、課題の是正を要請しています。重大な課題が見つかった場合は、再度第三者監査により是正状況を確認し、一定期間内に是正されていない場合は、取引の停止を検討しています。
ツール | ツールの説明(主な評価項目など) |
---|---|
EcoVadis | 方針、実施対策、結果を通して企業のESGマネジメントシステムの質を評価する。評価は、環境、労働慣行と人権、倫理、持続可能な資材調達の4つのテーマにおいて実施される。 質問票は、回答企業の業種、ロケーション、企業規模などに応じてカスタマイズされる。また、回答の際、回答を裏付ける証明書類の提出が求められる。 |
Sedex | 労働基準、安全衛生、企業倫理と環境に基づく設問によりサプライヤーを評価する。設問の量はサプライヤーの業種によって異なる。 リスクレベルは、質問票への回答に加え、国やセクターなどに固有のリスクも考慮し算出される。 |
資生堂SAQ(Self-Assessment Questionnaire) | 「資生堂グループ サプライヤー行動基準」に基づく設問表で、人権・労働、安全衛生、環境、ビジネス倫理の4つの基準で評価を行う。 |
資生堂では、調達カテゴリー・地域・ティア(サプライヤー階層)の観点で徐々にサプライヤーアセスメントプログラムのスコープを拡大しています。
調達カテゴリーでは、生産用材・OEM調達品・生産委託品、販売支援ツールを対象としており、グローバルスコープで実施しています。ティアの観点では、直接取引のあるサプライヤーに加え、2次以降のサプライヤーも対象としています。また、間接材1次サプライヤー※のセルフアセスメントを2024年に開始する予定です。
サプライヤーアセスメントプログラムの方針や結果は、「Sustainability Committee」にて審議された後、取締役会に提案、報告しています。
1次サプライヤーアセスメント
2023年は、すべての1次サプライヤー(カテゴリー:生産用材・OEM調達品 ・生産委託品、販売支援ツール)860社を対象に、グローバルでサプライヤーアセスメントプログラムを実施しました。すべての1次サプライヤーを対象にするのは2020年以来となります。その結果、全860社※について、セルフアセスメントを完了しました。
また、12社がセルフアセスメントにおいてハイリスクに該当しました。
今後も、引き続き3社のハイリスクサプライヤーの是正を進め、2024年末までの是正完了を目指します。
1次サプライヤーアセスメント実績
実施年 | アセスメント社数 | セルフアセスメントにより特定したハイリスクサプライヤー数 | 2023年度末時点でのハイリスクサプライヤー数 |
---|---|---|---|
2020 | 889 | 132 | 0 |
2021 | 279 | 17 | 0 |
2022 | 72 | 10 | 0 |
2023 | 860※ | 12 | 3 |
2次以降(上流)サプライヤーアセスメント
2023年は従来通り2次戦略サプライヤー5社をアセスメントし、ハイリスクは0社でした。また、スコープを拡大し2次戦略サプライヤーに加え、2次以降(上流)サプライヤーもアセスメントを開始しました。
まず、戦略サプライヤー(1次・2次)に対し、その先の重要な製造サプライヤーの特定を依頼し、次に該当するサプライヤーのリスクをEcoVadisやSedexなどを使って確認するよう要請しました。その結果、合計169社の上流サプライヤーに対して評価を完了し、1社がハイリスクに該当することがわかりました。今後も戦略サプライヤー(1次・2次)と協力し、アセスメント対象の特定を継続するとともに1社のハイリスクの是正を進めます。
2次以降(上流)サプライヤーアセスメント先
(KPI1)サプライヤーセルフアセスメント比率(1次サプライヤー、数ベース)
年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | ||
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実績 | 実績 | 実績 | 目標 | 実績 | 目標 | |
比率 (アセスメント社数)※1 | 94%(791) | 97%(279) | 100%(67) | 100% | 100%(860)※2 | 100% |
スコープ | 全リージョン・ 全1次サプライヤー | グローバル本社 欧州地域本社・ 一部のサプライヤー | 全リージョン・ 重要1次サプライヤー | 全リージョン・ 全1次サプライヤー |
(KPI 2)戦略サプライヤーのセルフアセスメント比率(1次サプライヤー、数ベース)※
年度 | 2020実績 | 2021実績 | 2022実績 | 2023年実績 | 2024年(目標) |
---|---|---|---|---|---|
比率 (アセスメント社数) | 96%(239) | 100%(17)※ | 100%(23) | 100%(24) | 100% |
分野 | 課題の詳細(例) | 是正内容(例) |
---|---|---|
労働安全衛生 | 倉庫内に避難誘導表示が設置されていない。 | 避難誘導表示を設置した。 |
倉庫エリアに非常用照明が設置されていない。 | 非常用照明を設置した。 | |
避難経路のドアが施錠され、ドアノブにカバーが設置されている。 | 稼働中に施錠をしない注意表示を設置し、 カバーを撤去した。 | |
施設内の消火器の設置方法が不適切である。 | 消火器の設置方法を改善し、定期確認を実施した。 | |
コンセントや配線が安全な状態で設置されていない。 | 安全カバーを設置した。 | |
化学物質の漏洩を防ぐための措置が講じられていない。 | 漏出防止トレイを設置した。 | |
人権 | 従業員の長時間労働が発生している。 | 新たに従業員を雇用し、十分な人員を確保した。 |
当社では年に1度、QCDST※およびサステナビリティの観点からサプライヤーのパフォーマンス評価を実施しています。評価結果は、ビジネスミーティングなどでサプライヤーにフィードバックし、改善を依頼するとともに、カテゴリー戦略に反映しています。なお、評価基準において、サステナビリティ関連は全体20%のウエイトを占めています。具体的には、セルフアセスメントの結果などを考慮しています。
資生堂は、高いパフォーマンスを発揮したサプライヤーのトップマネジメントを招待し、資生堂の中期経営戦略、調達活動の方針、およびサプライヤーへの期待事項を共有すべく、「Shiseido Suppliers’ Day」を開催しています。
2021年に、グローバルで初めて、オンラインで開催しました。このなかで、資生堂におけるサステナビリティの中期目標やアクションや人権・環境・社会の面でのサプライヤーへの期待事項も説明し、理解と協力を依頼しました。
資生堂は、時代の変化や社会からの新たな要求に応えていくためにも、調達に対する考え方について、サプライヤーにタイムリーで的確な情報共有が重要であると考えています。
したがって、購買方針について周知を図ることを目的に、定期的にサプライヤーとの「購買活動方針説明会」を開催しています。各カテゴリーにおける購買方針や依頼事項について直接お伝えするとともに、サプライヤーからの質問事項、要望に応える場として活用しています。
また、サプライヤーとより一体となって「責任ある調達」を推進していくため、2023年に新たに「日本国内サプライヤー向けサステナビリティ説明会」を実施しました。会場に集まった約200社に対し、中長期的な目標やサプライヤーアセスメントプログラムの推進などについて説明を行いました。加えて、モチベーションの向上と感謝の意を込めて、サプライヤーアセスメントプログラムで優れた成果を出したサプライヤーに対し、「感謝状贈呈式」を実施しました。今後も説明会の開催に加えて、このような取り組みを継続し、サプライヤーエンゲージメントを強化していきます。
資生堂では、グローバル各拠点の購買責任者と定期的に会議を開催しています。会議では、サステナビリティをはじめとする重要なテーマの方針や戦略を討議し、グローバルレベルでの緊密な連携を図っています。
また、年に一度グローバル各拠点の購買責任者が一堂に会するSPS(Shiseido Procurement Summit)を開催しています。また、この場を通して、サステナビリティ活動のグローバルへの浸透も進めています。なお、2020年から2022年は新型コロナウイルス感染症の影響によりオンサイトでは開催していませんが、2023年は東京で、2024年は4月に上海で実施しています。
サステナブルで責任ある調達を実行するため、資生堂では購買部門の社員を対象に、人権・労働安全衛生・環境などの観点でさまざまな教育を行っています。
実施年 | 教育テーマ | 参加対象 |
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2021年 | 持続可能なサプライチェーン管理に関するオンラインセミナー | グローバル本社サステナビリティ担当 |
Sedexに関連したオンラインセミナー | グローバル本社サステナビリティ担当 | |
サステナビリティ評価に関する社内勉強会 | グローバル本社購買部門 | |
サステナビリティに関するe-ラーニング | グローバル本社購買部門 | |
2022年 | 「資生堂グループ 調達方針」に関する社内説明会 | 全リージョン購買部門 |
EcoVadis社主催 バイヤー向けトレーニング※1 | グローバル本社・中国地域本社 アジアパシフィック地域本社関連会社 米国地域本社 購買部門 | |
EcoVadis プログラムキックオフ※2 | 全リージョン購買部門 | |
2023年 | DE&I 男性育児休業に関する意見交換会 | グローバル本社購買部門 |
DE&I 価値観や文化が異なる相手とのコミュニケーションに関する勉強会 | グローバル本社購買部門 | |
サステナビリティに関連した課題と資生堂のサステナビリティ戦略に関するセミナー | 欧州地域本社購買部門 | |
気候変動とカーボンニュートラルに関するセミナー | 中国地域本社購買部門 | |
サプライヤーの人権課題とリスクマネジメントに関するワークショップ※3 | グローバル本社購買部門 |
資生堂では、取引先のESGパフォーマンス向上を目的とし、以下のような取り組みを定期的に行っています。
項目 | 対象 | 詳細 |
---|---|---|
資生堂グループ 調達方針の説明 | すべての取引先 |
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セルフアセスメント結果のフィードバック | すべての取引先 |
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eラーニング (EcoVadisアカデミー) | 戦略サプライヤー |
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また、近年は以下の説明会、セミナーを実施しました。今後もより多くのサプライヤーへ教育プログラムを提供できるよう検討を進めています。
項目 | 対象 | 詳細 |
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EcoVadis説明会 (2021年~2022年) | すべての取引先 |
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CDP説明会 (2023年5月) | 日本の取引先 |
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サステナビリティ 方針説明会 (2023年・2024年) | 日本の取引先 (2023年11月) 中国の取引先 (2024年6月) |
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EcoVadisスコアアップ セミナー(2024年6月) | 新規受審の取引先および一定スコア未満の取引先 |
|
当社は2022年より、化粧品業界のサステナビリティに関連したイニシアティブであるRBI(Responsible Beauty Initiative)に参加しています。メンバー企業間でのベストプラクティスの共有や業界全体での課題に関するディスカッションを通じて、化粧品業界におけるサプライチェーン全体のサステナビリティ向上に努めています。
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サステナビリティ
研究 / サプライネットワーク
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