2022年07月04日
発行元:(株)資生堂
サステナビリティ
資生堂、伊吹山の自然保護活動を開始
~機能性と持続可能性を両立する「循環型」原料の調達に向けて~
資生堂は、古くから多くの薬草が栽培されてきた伊吹山(※1)において、自然保護活動を開始しました。当社は2018年より、高い機能性や安全性、透明性があり、かつ地球環境にも配慮したサステナブルな原料の開発を目的として、伊吹山山麓に独自の薬草園を設置し、「米原市伊吹薬草の里文化センター」(運営:伊吹山麓まいばらスポーツ文化振興事業団)の協力のもと、原料植物の栽培を進めてきました。このたび、伊吹山の薬草園における植物の栽培に加え、山麓に豊かな恵みをもたらす伊吹山の自然保護のため、伊吹山地域で環境保全に取り組むNPO法人「霊峰伊吹山の会」とともに、植生回復活動を開始しました。5月20日の第一回の活動では、資生堂のR&D領域にて原料開発に関わる社員計16名が参加し、表土の流出を抑えるための木材の運搬などの作業を行いました。今後、継続して自然保護活動を行いながら、伊吹山山麓の薬草園で栽培された植物を活用し、自然に感謝・共生しその恵みを活用するサステナブルな原料調達を実現していきます。
資生堂は、社名の由来でもある「万物資生」(※2)の考え方や、独自のR&D理念である「DYNAMIC HARMONY」にもとづいた「Premium/Sustainability」というアプローチで、高い機能性と持続可能性を両立する「循環型」の原料・製品開発を進めます。
※1 滋賀県米原市、岐阜県揖斐郡揖斐川町・不破郡関ケ原町にまたがる。伊吹山地の半独立峰で標高1,377m、日本百名山の1つとして知られる。
※2 中国の古典「易経」の一節、「至哉坤元 万物資生(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか、すべてのものはここから生まれる)」の一部
取り組みの背景
伊吹山は古くから薬草採草地として名高く、平安時代に朝廷へ献上された薬草に関しては、伊吹山地域からの品目数が最も多かったとする書物の記載も見られます。また、織田信長が宣教師に造らせた薬草園があったといわれ、その名残とされるヨーロッパ原産の植物も生息しています。天然記念物に指定されている山頂の草原植物群落には、特異な地質・気候条件の恩恵を受けた多種多様な植物が自生し、保護されています(※3)。
このような伊吹山ならではの価値を持つ薬草を活用することで、高い機能性や安全性、透明性のある原料調達が期待できることから、当社では、2018年より伊吹山山麓の薬草園で原料植物の栽培を進めてきました。近年伊吹山地域では薬草栽培の担い手が減少し、日本古来の薬草文化の継承が危ぶまれていますが、当社は伊吹山の薬草文化を継承する「伊吹薬草の里文化センター」と連携し、「自然に共生させてもらう」という概念に沿って、原料植物栽培をしています。栽培方法としては、環境負荷の少ない方法を採用し、自然に生えてくる雑草も天然の日陰として生かすことで水やりの低減につなげたり、エキスへ活用しない部位は肥料として土壌に鋤き込んだりするなど、「循環型」の栽培を実践しています。
※3 米原市天然記念物「伊吹山頂草原植物群落」保存管理計画より https://www.city.maibara.lg.jp/material/files/group/47/ibukiyama2.pdf
伊吹山の薬草栽培の課題と当社の自然環境保護活動
近年、日本各地で獣害が深刻化していますが、伊吹山においてもシカの急増により山中の植生が食い荒らされ、植生を失った表土が大雨により流出するなど、豊かな伊吹山の自然が脅かされています。今回、自然の恵みへの感謝の念とともに、緑に覆われ多種多様な植生がはぐくまれる伊吹山の自然環境を回復することを目的に、NPO法人「霊峰伊吹山の会」の協力の下、伊吹山での自然保護活動を開始しました。5月20日に行われた初回の活動では、植生回復の第一歩となる表土流出防止のための板材運搬を行いました。
活動に参加した社員からは、被害の深刻さを目の当たりにし、植生回復活動を続けていくことの重要性を実感した、との声が多く聞かれました。今後、伊吹山地域の連携先職員による社内講演会を実施するなど、伊吹山の自然に対する理解を深め、第二回以降の活動につなげる予定です。
人にも地球環境にも優しく魅力的な「循環型」原料調達をめざして
資生堂はこれまで、企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」の実現に向けて、資生堂の社名の由来でもある「万物資生」の考え方にもとづき、人、社会、地球環境に対する敬意を示しながら事業活動を進めてきました。R&D領域においても、資生堂独自のR&D理念である「DYNAMIC HARMONY」にもとづく「Premium/Sustainability」というアプローチで、高い機能性を追究しながらも持続可能性に配慮した、「リユース可能」「リサイクル可能」「生分解可能」といった「循環型」の容器包装開発を積極的に進めています。今後は、原料や処方の開発においても、生物由来や生分解性の高い原料の開発、廃棄部位を活用した原料開発、さらには原料植物の栽培など、「循環型」のものづくりに積極的に取り組みます。今回の活動を皮切りに、伊吹山においては、地元の方々と共に環境を保護しながら、資生堂独自の安全で効果の高い原料開発を推進するとともに、脈々と受け継がれる日本古来の貴重な薬草文化の保護・復興を目指します。
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