「商品をしてすべてを語らしめよ」。資生堂の初代社長のこの言葉には、資生堂が社会へ果たすべき使命や、ものづくりの意志が込められています。私たちは常にお客さまに新しい価値を届けるため、高い安全性と品質基準の遵守はもちろん、資生堂のDNAである高い機能性、デザイン性やユーザビリティの向上に努めてきました。
資生堂は、100年以上受け継がれてきた、独自の研究開発(R&D)の考え方を再定義し、一見両立不可能に見える2つの価値を巧みに融合させ、今までにないまったく新しい美を創造する独自のR&D理念「DYNAMIC HARMONY」を制定しました。
5つの研究アプローチの1つである「Premium/Sustainability」では、製品の効果、容器の上質なデザインや感触などから感じる満足感と、人や社会や地球環境への尊重・共生を両立させる、資生堂ならではのサステナブルな価値創出に挑戦しています。具体的には、限りある資源の有効利用に向けての容器包装への取り組みや、環境への負荷が最小限になるような原材料調達や処方開発など、独自の技術開発や社外とのコラボレーションを通じて、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。
気候変動や海洋プラスチックゴミ問題などは、グローバルで喫緊に解決すべき環境課題であり、資生堂はサステナブルな容器包装の開発など対応を強化しています。
2020年に資生堂は独自の容器包装開発ポリシー「資生堂5Rs」※1を制定しました。また、サーキュラーエコノミーに賛同し、2025年までに100%サステナブルな容器を実現するという目標を開示しています※2 ※3。目標達成に向け、容器の軽量化や「つめかえ・つけかえ」容器、リサイクル可能な単一素材(モノマテリアル)容器の展開、生分解性樹脂の利用などに取り組んでいます。
私たちは地球の資源が有限であるという前提に立ち、「資生堂5Rs」のポリシーに沿って、製品に応じた容器サイズの適正化、容器の軽量化や「つめかえ・つけかえ」容器によるプラスチック使用量の削減や環境負荷軽減を推進しています。
「つめかえ・つけかえ」容器は、使用する資源を削減するとともに、本体容器の再使用を促すことで、容器に使われるプラスチック総量を減らすことができます。さらに、LCA(ライフサイクルアセスメント)で評価すると、本体容器と比較して「つめかえ・つけかえ」容器に使用する資源の投入量や廃棄物量が減り、CO₂排出量が削減されることがわかりました。
「つめかえ・つけかえ」容器は、企業の環境対応技術が、お客さまのひと手間を含めて環境課題の解決になることを示す好事例の1つです。こうした環境負荷軽減の取り組みを日本だけでなくグローバルで推進するため、中国やシンガポールなど、「つめかえ・つけかえ」容器使用の習慣がない地域にも「つめかえ・つけかえ」容器を展開し、お客さまへの普及や啓発活動に取り組んでいます。
また、国内の同業他社と協業し、小売店の店頭や売場で設置する販促物に使われる素材をプラスチック製から紙製へ順次変更し、プラスチック使用量削減への取り組みを開始しています。
資生堂では、素材や製造プロセスにおけるテクノロジー、サーキュラーエコノミーを成立させるビジネスモデルなど、多様な価値や技術から環境課題解決のイノベーションに取り組んでいきます。
左から本体容器・「つめかえ・つけかえ」容器:「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「エリクシール」
サーキュラーエコノミーの実現のためには、資源の再利用を想定した素材選択、製品設計が重要です。
資生堂は、使い捨てプラスチックを削減するため、使用後に分別と資源の再利用が可能になる単一素材(モノマテリアル)容器と、デザイン性を損なうことなく簡単に分別できる容器包装の開発とその展開を同時に推進しています。
環境への影響の大きさを考慮し、主要ブランドである「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポー ボーテ」、「エリクシール」などのスキンケア容器において、リサイクルが容易な設計だけでなく、ふたやケースを簡単に分解でき、「つめかえ・つけかえ」を容易にする工夫などを両立させた対応を進めています。
海洋プラスチックゴミや廃棄物の問題が深刻化するなか、原材料の調達から生産、製品の使用とその後の廃棄までの直線型経済からサーキュラーエコノミーへの転換など社会のあり方が見直されています。企業は、生産した製品を販売するだけでなく、使用・廃棄後にも責任を負うことが求められています。
リサイクルを確実に進めるには、企業1社だけでなく、製品を使用するお客さまや回収に携わる企業、同業他社など複数の関係者の協働が不可欠です。私たちは、お客さまへの製品を提供する責任として、国内外で他企業と協働して空き容器を回収・リサイクルし、資源として再活用する取り組みを行っています。
「IPSA(イプサ)」のリサイクルプログラム容器回収箱
資生堂では、気候変動や海洋プラスチックゴミ問題の対応策として、プラスチック代替素材や環境負荷の低いバイオマス由来素材、幅広い環境下でも生分解可能な容器の研究にも注力しています。ケースや外袋への生分解可能な素材の使用や、石油由来に比べCO₂排出量の少ないバイオマス由来素材の利用も拡大しています。
私たちは、100%サステナブルな容器を実現するという目標達成に向け、容器包装のイノベーションを通じて、環境課題の解決に挑戦し続けます。
カネカ生分解性ポリマー「Green Planet™」を使用した「SHISEIDO」アクアジェル リップパレット
資生堂は、皮膚科学やマテリアルサイエンスに関する100年以上にわたる広範な研究知見を応用して、安全で高品質な製品やサービスを開発し、社会に提供してきました。
化粧品には天然由来原料が処方されていることから、サステナブルで責任ある原材料調達と使用は環境保全の観点で重要課題です。現在、世界8カ所※の研究拠点で研究開発を推進していますが、すべてを統括するグローバルイノベーションセンター(横浜)をはじめとして、安全性だけでなく、環境に配慮した原材料調達や処方開発などに取り組んでいます。
資生堂の原料・成分選定、処方開発においては、人体への安心・安全、環境負荷軽減、エシカルであることを厳しく見極めています。
人と生態系、そして地球環境との共生のため、資生堂はサンケア領域でのイノベーションを加速させています。気候変動などの環境変化によって、人が受ける紫外線量は増加すると予測され、また紫外線を長時間浴びるとシミやシワなどの「光老化」の原因となることが知られています。
資生堂は、これまでの化粧品では実現できなかった、肌に悪影響を及ぼすとされてきた紫外線を、肌に良い作用をもたらす可視光(美肌光)へと変換する技術を開発しました。このような環境との共生を実現するイノベーションをはじめ、新たな価値をもつ製品やサービスの提供を目指し、さらなる研究を進めていきます。
「SHISEIDO」Ultimate Sun Protector Lotion
「アネッサ」パーフェクトUV
スキンケアミルク N
また、琉球大学との共同研究と、高度な海洋中濃度シミュレーション検証を組み合わせ、製品中の紫外線防御剤によるサンゴ※への影響を精査しています。これらの結果は成分選定や、サンゴへの影響に配慮した処方設計へと活用され、「SHISEIDO」や「アネッサ」などのサンケア製品にも応用されています。
急激な地球環境や社会の変化に伴い、企業の社会的責任や環境対応、原材料に対する企業姿勢を重視するお客さまが増えています。資生堂は安全性に加えて、環境や社会課題に配慮し、エシカルな視点に基づいた製品開発・原材料対応を明確にしています。
「Drunk Elephant (ドランク エレファント)」
「BAUM(バウム)」
資生堂は、動物愛護の理念への理解と尊重を前提に、化粧品に関する法規制を遵守し、安全で効果的な製品をお客さまに提供することを使命としています。このため、すべての化粧品、医薬部外品について動物実験行わず※1、培養細胞やIn silico※2などを用いた代替試験法による安全性保証システムを確立しています。
世界各国・地域の法規制に従ってそれぞれの国・地域の行政機関と連携し、製品の安全性を保証するためのより有効な代替試験法の開発を継続しています。
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