1. Home
  2. サステナビリティ
  3. 環境
  4. 地球環境の負荷軽減

地球環境の負荷軽減

異常気象など気候変動の影響は、年々その深刻度を増しています。企業にはサステナビリティへの対応、環境課題の解決に向けたコミットメントとアクションが強く求められています。
資生堂は対応すべき環境課題領域として、「1.5℃目標」が掲げられている気候変動の対応が重要であると考え、GHG (温室効果ガス)の大部分を占めるCO₂ (二酸化炭素)の排出量、水資源、廃棄物について中長期的な目標を開示しました。これらの達成には、バリューチェーン全体を通じたすべての活動における対応が急務であり、資生堂はステークホルダーとともに、地球環境の負荷軽減への取り組みを推進します。

  • 産業革命以前に比べて気温上昇を1.5℃以内に抑えることを目標としたもの

CO₂排出量の削減

気候変動は、水資源やエネルギーなどさまざまな課題とも深くかかわる社会の中心的な課題として位置づけられています。
IPCC※1第6次評価報告書では、気候変動の原因が人間の経済活動にあることは疑う余地がないとされ、COP26※2グラスゴー会議では国際的に1.5℃目標が合意されました。CO₂排出量削減が根本的な気候変動緩和策としてより重要視されるとともに、企業には気候変動による自然環境や市場環境の変化に適応するレジリエンスと透明性のある情報開示が求められています。

TCFD

資生堂は、長期的な気候関連リスク・機会がもたらす財務影響およびそれに伴う戦略などをTCFDのフレームワークに沿って情報開示していることに加えて、サステナブルな社会の実現に向けて、2026年までにカーボンニュートラル※3を達成するという目標を掲げています。また、私たちはバリューチェーン全体を通じた科学的な根拠に基づいたCO₂排出量削減目標(Science Based Target)を設定し、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの利用を促進しています。

CO₂排出量削減目標
  • ※1:気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)
  • ※2:第26回気候変動枠組条約締約国会議 (COP: The UN Climate Change Conference of the Parties)
  • ※3:資生堂全事業所、Scope 1・Scope 2

再生可能エネルギーの利用

化石資源由来エネルギーから太陽光や水力などの再生可能エネルギーへの切替えは、気候変動の緩和に向けて重要な取り組みです。
資生堂では、工場だけでなくオフィスや事業所でも再生可能エネルギーの利用を進めています。国内の工場(大阪、掛川、久喜、那須の各工場)では、CO₂フリーの水力発電由来の再生可能エネルギーを活用しており、那須工場では電力の100%再生可能エネルギー化を実現しています。また、欧州7カ国に加えブラジルのオフィスでは、電力の100%を再生可能エネルギーに切替えています。

再生可能エネルギーの利用だけでなく、世界各国・各地域の工場や研究所の敷地内や建物に太陽光パネルの設置を積極的に推進し、発電も行っています。
加えて、私たちは、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブRE100に加盟しました。今後、再生可能エネルギーへの移行をより加速させていきます。

ジアン工場のソーラーパネル(フランス)

ジアン工場のソーラーパネル(フランス)

RE100

エネルギー効率の向上

気候変動の緩和のための取り組みとして、CO₂排出に関わるエネルギーの消費を削減・効率化することが急務です。建物や設備の電気使用などのエネルギー効率の向上は、CO₂排出量削減のための重要な取り組みの1つです。
資生堂の工場では、建物の断熱設計や、省エネルギ―につながる効率的な設備の選定、環境マネジメントシステムISO 14001に基づく環境対策などを実施し、エネルギー効率の向上に努めています。
具体的には、日本の掛川工場では照明のLED化に加え、EMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入により使用電力を「見える化」し、エネルギー消費を最適化することで、電気使用量の削減につなげています。資生堂は、最新の高効率設備の導入や環境負荷の軽減設備への投資やエネルギー効率の改善計画の策定および実行を積極的に推進しています。大阪茨木工場および西日本物流センターでは、環境に配慮したさまざまなサステナブルな設計が施されています。例えば、建物の外壁に軽量で断熱性能に優れたサンドイッチパネルを採用することで建物内の断熱性能を向上させ、運営に伴って発生するCO₂排出量を約30%削減することが可能となりました。

  • 情報通信技術を用いてエネルギーの使用状況を可視化することで、省エネルギーおよび負荷平準化など、エネルギーの効率的な利用を実現するシステム

輸送時のCO₂排出量削減

資生堂は、工場や研究所、事業所などで排出されるCO₂排出量削減だけでなく、バリューチェーン全体を通しての環境負荷軽減に取り組んでいます。
輸送におけるCO₂排出量削減への取り組みとして、地域内および地域間の輸送ルートや積載における輸送効率の改善を図るため、日本国内で他企業との共同配送を行っています。また、日本と米国での海上貨物については、輸送条件の最適化により、コンテナの利用率を向上させ、運用コンテナ数と出荷回数の削減に取り組んでいます。
さらに、輸送用の包装材を製品形状や物量に合わせて適正化することや、輸送保護材の再利用なども実施しています。

取引先との協働

私たちは、原材料の調達におけるCO₂排出量削減も重要だと理解しています。情報共有や戦略方針の理解促進を図るためのカンファレンスを開催し、参加した取引先に対して、CO₂排出量の削減への協力を依頼しています。
さらに資生堂グループの調達方針を改訂し、これまでに掲げていた調達理念や基本方針に加え、サステナビリティ重視の方針を打ち出し、CO₂排出量削減への取り組みを推進することを明記しています。

気候関連リスクと機会の評価

2021年には、気候に関する最新の科学的知見をまとめたIPCC第6次評価報告書(第一作業部会)が発行され、10月から11月にかけて開催されたCOP26では、産業革命以前と比べた地球の平均気温の上昇を1.5℃以下に抑えることを合意したグラスゴー気候パクトが採択されました。今や、気候変動は環境問題であるだけではなく、自然災害の激甚化やCO₂排出に関わる規制の強化、消費者の環境意識の高まりなどさまざまな側面において中長期にわたり経営戦略や財務計画に影響を与える現実的なリスクと捉えられています。

このような背景から2020年に資生堂は気候変動緩和に向けて、Scope 1※1およびScope 2※2のCO₂排出量について2026年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を開示し、気候関連のリスクと機会について分析するとともに、全社対応アクションへの組み込みを進めています。

  • ※1:Scope 1:自社のサイトで使用される燃料の燃焼由来のCO₂排出
  • ※2:Scope 2:他社から供給されたエネルギーの使用に伴うCO₂排出

ガバナンス

資生堂は、サステナビリティに関連する課題について経営陣が集中的に議論し意思決定を行う「Sustainability Committee」を設置しています。同コミッティは代表取締役 社長 CEOを含む、経営戦略、R&D、サプライネットワーク、広報、およびブランドホルダーなど各領域のエグゼクティブオフィサーで構成され、グループ全体のサステナビリティに関する戦略や方針に加え、TCFD開示や人権対応アクションなど具体的活動計画に関する意思決定や、中長期目標の進捗をモニタリングしています。
また、業務執行における重要案件に関する決裁が必要な場合は「Global Strategy Committee」や取締役会にも諮り、重ねて審議しています。2021年度に開催した取締役会では、気候変動問題の重要性に鑑みて、ステークホルダー(社員、お客さま、取引先、株主、社会・地球)からの期待を反映した取り組みの重要性が指摘されました。

戦略(シナリオ分析)

1.5/2℃および4℃の気温上昇を想定し、IPCCが示したRCPとSSPシナリオに沿ってリスクと機会について分析を実施しました。移行リスクについては、脱炭素社会への移行に伴う政策、規制、技術、市場、消費者意識の変化による要因を、物理的リスクについては、気温上昇に伴う洪水の発生や気象条件など急性/慢性的な変化による物理的影響について、1.5/2℃および4℃シナリオにおける影響を分析しました。なお、2030年時点においては、炭素税によるコスト増のリスクが最も事業への影響が大きいと考えられ、導入される国や地域の数により約100万~720万USドル規模の財務影響が発生する可能性を予測しています。
一方、機会に関しては、1.5/2℃シナリオにおいて、消費者の環境意識の高まりに伴い、サステナビリティに対応したブランドや製品への支持が高まると予想されます。4℃シナリオにおいては、気温上昇に対応した製品の販売機会が拡大すると予想されます。イノベーションによる新たなソリューションの開発により、サステナブルな製品を提供していくことで、リスクの緩和と新たな機会の創出を目指しています。

リスクマネジメント

資生堂は2021年に、中長期の事業戦略の実現に影響を及ぼす可能性のあるリスクを総合的・多面的な手法を用いて抽出し、特定しました。その中には、「環境・気候変動」「自然災害・人的災害」といったサステナビリティ領域のリスクも含まれています。気候関連リスクも、事業継続や戦略に影響を及ぼす要因のひとつとして科学的または社会経済的なデータに基づいて分析され、気候変動や自然災害に関わるリスクとして全社のリスクマネジメントに統合されます。 特定されたリスクは重要度に応じて、「Global Risk Management & Compliance Committee」や、「Global Strategy Committee」、取締役会にて対応策などが審議される体制となっています。

指標と目標

資生堂は、CO₂排出量削減を目標として設定し、また定期的に気候変動に伴う状況をモニタリングし、対応策を講じることで、リスクの緩和に貢献しています。特にScope 1およびScope 2のCO₂排出量については2026年までにカーボンニュートラルを達成することを目標として設定しました。
また、化粧品容器に関してはサーキュラーエコノミーに賛同し、2025年までに100%サステナブルな容器※3への切替えを達成するという目標を掲げてシングルユースプラスチックとCO₂排出量の削減に取り組むことで、1.5/2℃シナリオにおける消費者意識と関心の変化にともなう市場リスクの緩和と機会創出を目指しています。

一方、4℃シナリオにおける渇水リスクの管理を目的として、当社事業所における水消費量※4を指標として選定し、2026年までに2014年比で40%削減することを目標として設定しました。その他の物理的リスクについても、長期的なリスクマネジメントの視点から適切な管理指標を検討していきます。

  • ※3:プラスチック製容器について
  • ※4:売上高原単位

気候関連の情報開示

資生堂は、気候変動問題が事業成長や社会の持続性に与える影響の重大性からTCFDへの賛同を表明し、TCFDフレームワークに沿った情報開示を行っています。来るべき低炭素、そして脱炭素社会に向け、資生堂の気候関連の目標、領域、取り組みを移行計画としてまとめました。気候関連の情報に関しては、資生堂企業情報サイト、統合レポート、サステナビリティレポートとともに、CDP※5への回答を通じて開示しています。資生堂の開示するCO₂排出量(Scope 1・Scope 2・Scope 3※6)については、独立した第三者認証機関であるSGSジャパン※7による検証を受け、透明性ある開示に努めています。また、私たちの気候変動に関する目標はSBTi※8にて認証を受け、そして、再生可能電力の導入に関してはRE100へ加盟しています。

  • ※5:企業に気候変動、水セキュリティ、森林に関する情報開示を促す国際NGO
  • ※6:原材料調達や販売した製品の使用などバリューチェーンから排出されるScope 2以外の間接的なCO₂排出
  • ※7:検査、検証、試験、および認証を行うグローバル企業
  • ※8:パリ協定目標達成に向け、企業に対して科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出量削減目標を設定することを推進している国際的なイニシアティブ

リスクと機会のシナリオ分析


リスク 機会
移行リスク
(主に1.5/2℃)
  • 炭素税によるコスト増 ☑

  • 燃料価格の高騰

  • シングルユースプラスチック使用製品の販売機会喪失 ☑

  • エネルギー効率の向上

  • クリーンビューティーなどのエシカルな製品の販売機会拡大

物理的リスク
(主に4℃)
急性
  • 自然災害による生産活動の停止 ☑

  • 自然災害による物流機能の断絶

  • 環境にやさしい製品の販売機会拡大

  • 気候対応型ソリューションの開発

慢性
  • 降雨や気象の変化による、原材料の調達コストの増加 ☑

  • 水不足による生産活動の停止 ☑

  1. ☑のついている要因は定量分析も実施

詳細はこちら[ PDF : 1.98MB]

水消費量の削減

私たちの生活や産業に欠かすことができない水は、大気と陸域、海洋を繰り返しめぐる循環資源です。水が豊かな国や地域がある一方で、世界では渇水に悩む水ストレス※1の高い地域も多く、また、都市化や気候変動の進行により2050年には約50億人が水不足に直面するとも予想されています。 資生堂の製品は、化粧水などに配合されている水はもちろんのこと、原料となる植物の生育、生産現場における温度制御や設備洗浄、廃棄物の処理、洗顔時のすすぎにいたるまで、化粧品に関わるさまざまな場面で水に支えられています。 資生堂は、循環性や偏在性という水資源特有の性質を鑑み、水系における健全な水循環や水に関連する文化を尊重しながら、持続可能な利用を目指します。バリューチェーンを通じた水資源利用の実態に基づき、事業活動が水循環や文化に与える負の影響を低減するため、2026年までにグループ全体で水消費量を2014年比で40%削減※2する目標を設定しました。特に水ストレスの高い地域や気候変動に伴う将来の雨量の減少が懸念されている地域の事業所を中心に、節水や循環利用などの活動を進めています。

  • ※1:人々や環境の需要を満たすのに十分な品質の水がない状態
  • ※2: 売上高原単位

生産プロセスでの節水

資生堂の工場では、さまざまな方法で水消費量の削減に取り組んでいます。
工場によりスキンケア、メイクアップ、サンケアなど異なるカテゴリーの製品を生産しており、それぞれの工場が製造設備に合わせた節水の取り組みを行っています。具体的には、製造設備における自動洗浄装置の導入や設備部品の洗浄場所の集約などです。また、将来の雨量の減少が懸念される欧州に立地するフランスのジアン工場ではフレグランス製品の製造設備と輸送のための部品洗浄を水洗浄からアルコール洗浄に変更し、かつ使用したアルコールはリサイクルしています。さらに、設備以外の人的対応においても、節水を含めた環境に関する社員の啓発教育に努めています。

水の循環利用に向けた取り組み

資生堂は、地域と連携した2次利用など「流域の共有財産としての資源管理(Water Stewardship)」を進めています。水資源を有効に活用するために、使用した水を浄化し、再利用またはリサイクルする循環型の水利用に注力しています。
大阪茨木工場では、製造釜の冷却方法を見直し、一度使用した水を再利用して冷却する循環型にすることで年間約6万5000㎥の水消費量の削減を可能にしました。那須工場では、豊富で良質な地下水を化粧品の原料や工場の製造プロセスに活用するとともに、豊かな自然環境に配慮して、排水処理後の水質を通常よりも厳しい自社基準を設けて管理することにより環境への影響を最小限に抑え、自然との共存に努めています。

  • 自社の操業に関わる水の管理にとどまらず、流域の水資源への責任に対して行動すること

那須工場における排水処理設備の検査の様子(日本)

那須工場における排水処理設備の検査の様子(日本)

同工場、地下水の浄化システム

同工場、地下水の浄化システム

ステークホルダーとの協働

バリューチェーン全体を通じた水消費による環境影響の把握を目的として、資生堂では、ウォーターフットプリント※1の評価を推進しています。このため、私たちは水の資源的な特性や資源賦存量、気候変動に伴う将来変動予測など、水文学(すいもんがく)※2や気候学に基づいた最新の科学的知見の理解と反映に努めています。ウォーターフットプリント評価の結果、原材料の調達段階の影響が大きいことが示唆されています。取引先に対しては、セルフアセスメント(自己評価)の設問等を通して水消費量を把握しています。

水ストレスが高い中国の上海工場では地元の環境保護協会に参画し、環境法令を含む環境関連情報(廃水処理、中水リサイクルを含む)などを積極的に取得し、工場の節水活動に活用しています。また、節水を推進している政府に対して、毎月の水消費量を報告し、水利用率向上と節水管理強化に取り組んでいます。

  • ※1:製品のライフサイクル全体で直接的・間接的に消費・汚染された水による環境影響を定量的に算定する手法
  • ※2: 水に関わる森羅万象を取り扱い、地球の水循環、水利用、水資源の確保に関わる基礎知識を提供する学問分野

廃棄物の削減

世界規模での人口増加や人々の所得水準の上昇、購買力の向上に伴い、資源消費量・廃棄物量はともに増加し続けています。
資生堂は限りある資源を大切に使うために、使い捨ての直線型の経済モデルから、資源を繰り返し有効に使うサーキュラーエコノミーへの転換が重要だと捉えています。国や地域ごとに定められた廃棄物管理に関わるルールの遵守に努めるとともに、バリューチェーン全体を通して、原材料の使用を最適化し、廃棄物の発生を抑制しています。

廃棄物削減の取り組み

資生堂は、工場から発生する廃棄物の抑制、再利用、再資源化に取り組んでいます。
2003年にはすでに国内工場でゼロエミッションを達成しました。資生堂の工場では、輸送箱の再利用や、廃棄物を素材別に徹底的に分別管理して資源化するなど、長年にわたりリユース・リサイクルを推進しています。2022年までに資生堂における世界全工場で埋め立て廃棄物ゼロの達成を目指すというコミットメントに対しては、2020年に前倒しで達成し、現在も埋め立て廃棄物ゼロを継続しています。2022年に新たに稼働した福岡久留米工場についても埋め立て廃棄物ゼロの達成を見込んでいます。
加えて、2021年には、工場を含めた資生堂全事業所から排出された廃棄物のリサイクル率は99%以上となりました。
さらに、私たちは、バリューチェーン全体を通して、廃棄物の発生を最小限に抑えるため、包装材の削減、容器包装の簡素化、能書の削除、段ボールの軽量化などさまざまな取り組みを実施しています。また、資源活用の観点から在庫の有効活用や需要予測精度の向上および生産調達リードタイム短縮による余剰在庫の発生防止を図っています。

  • 法令で埋め立て指定の廃棄物を除く

社員教育

日本国内では、グループ会社の廃棄物処理実務の担当管理職および担当者に対して、廃棄物処理法の理解促進のためのオンライン講習会と産業廃棄物の処理状況把握のための現地確認を開催しています。受講者は資生堂独自のチェックリストをもとに遵法の徹底に努めています。