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地球環境の負荷軽減

資生堂は全事業において、環境負荷の軽減とサステナブルな資源の利用に向けた取り組みを推進しています。気候変動対策として、二酸化炭素(CO₂)を中心とした温室効果ガス(GHG)排出量の削減に向けた取り組みを強化するとともに、パーム油や紙の倫理的な調達を通じて森林保全に努めます。また、限られた天然資源を大切に活用するために、水やエネルギー消費の最小化、廃棄物の削減とリサイクル、サステナブルな製品や容器包装の開発に取り組んでいます。

CO₂排出

気候変動の緩和に貢献するために、すべての生産施設や事業所でCO₂をはじめとする温室効果ガス(GHG)の排出量削減に取り組んでいます。

CO₂排出量削減に関して、2026年までにカーボンニュートラルを目指すというコミットメントを、2020年2月に発表しました。

この目標を達成するために、私たちは、主にエネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの活用を推進していきます。

2018年10月にIPCCが公表した1.5℃特別報告書によると、現在のペースで気候変動が進行した場合には、2050年までの間に気温上昇が1.5℃に達してしまうこと、1.5℃上昇に抑えるためには2050年前後にCO₂総排出量を実質ゼロにする必要があることなどが報告されており、国だけでなく企業に対しても、一層のCO₂排出量削減が求められています。

資生堂は、これまでもCO₂排出量の削減に向けた活動を推進してきましたが、2026年のカーボンニュートラル実現に向けて、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの活用など、CO₂排出量の削減を更に加速させるべく取り組みを強化しています。

  • Scope1&2のCO₂排出量

エネルギー効率の向上

資生堂の工場では、新しい高効率設備の導入や熱源の切り替えなどにより、エネルギー効率の向上を図ることでCO₂排出量の削減に努めています。例えば、久喜工場では、長時間の連続稼働を行うという特性にあわせてガスエンジン式のコージェネレーションシステム※1を導入し、CO₂排出量削減を実現しました。また、すべての生産工場※2では、省エネにつながる効率的な設備の選定や、環境マネジメントシステムISO14001に基づく環境対策を実施しています。再生可能エネルギー自家発電設備や環境負荷低減設備への投資やエネルギーの効率改善計画の策定・実行を加速し、グループ全体におけるエネルギー効率の向上に努めています。

  1. ※1 コージェネレーションシステム:1つのエネルギー源から異なるエネルギー(電気、熱)を同時に取得する効率的なシステム
  2. ※2 2019年12月に稼働した那須工場を除く

再生可能エネルギーの活用

大量のCO₂を排出する化石資源由来から再生可能エネルギー由来の電力に切り替えていくことは、気候変動の緩和にとってはもちろん、エネルギーの地産地消による安定供給の面からも重要な取り組みです。資生堂では、電力消費量の多い工場を中心として、再生可能エネルギーの利用を推進してきました。2019年には、水力発電由来や太陽光発電由来の再生可能エネルギーの使用量を、グループ全体では前年比で52%増加させました。また、米国のイーストウィンザー工場(ニュージャージー州)では、電力の100%を再生可能エネルギーに置き換えています。

●水力発電の活用

資生堂では、国内4工場で水力発電由来の再生可能エネルギーを積極的に使用しています。2019年には、大阪、久喜、掛川の各工場で使用する電力の約54%が、水力発電由来の再生可能エネルギーにより賄われています。同年12月に稼働した那須工場では、栃木県のサポートを受け、栃木県内8か所の県営水力発電所から供給されるCO₂フリーの「とちぎふるさと電気」を使用することで、CO₂排出量削減に貢献しています。

●太陽光発電の活用

米国のイーストウィンザー工場では、2007年に角度固定式の太陽光発電設備を、2010年に太陽追尾式の太陽光発電設備を導入しました。年間発電量は合わせて約230万kWhで、同工場の当時の年間消費電力の70%以上を自家発電による太陽光発電で賄いました。これらの取り組みが評価され、2010年には“The 2010New Jersey Governor’s Environmental Excellence Awards”を受賞しました。この取り組みにより、年間1,100トンのCO₂排出量削減に貢献しています。

米国のイーストウィンザー工場

米国のイーストウィンザー工場

気候関連リスクの評価

資生堂は、長期にわたる持続的な成長のためには、気候関連リスクへの対応が不可欠という認識のもと、2019年4月に「気候関連財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)」へ賛同を表明しました。

TCFD提言に基づき、気候変動が事業に与えるリスクや機会を特定し、情報開示を進めていきます。

シナリオ分析

近年、気候変動の影響と思われる異常な熱波や台風が、世界各地で頻繁に発生するようになってきました。気温が上昇すると大気に含まれる水蒸気量が増加するため、気候変動の影響が大きくなる今世紀末にかけて、こうした気象災害がますます深刻化すると懸念されています。私たち企業が長期的かつ持続的に成長していくためには、気候変動緩和のために脱カーボンを目指すだけではなく、気候変動に関連した事業リスクに向き合い、その影響を緩和していく必要があります。そこで資生堂は、2019年4月にTCFDへの賛同を表明し、気候関連リスクの分析に着手しました。

資生堂の事業活動にとっての重要な地理的要件に加え、気象学や水文学などの科学的知見や統計データなどをもとに、今世紀末までに発生する可能性の高い潜在的な気候関連リスクを特定し、それによる資生堂の全事業への影響の大きさについて分析する手法を開発しました。脱炭素社会への移行に伴うリスク、および気候変動にともなう自然環境の変化によって引き起こされる物理的リスクについて、1.5℃シナリオと4℃シナリオそれぞれにおける分析結果を以下に示します。

例えば、1.5℃シナリオでは、主に炭素税や市場動向の変化などの移行リスクが考えられます。将来、温暖化対策が政策として実行される場合のコストや自然災害に対する補償などのソーシャルコストオブカーボンを考慮して炭素価格が決定された場合には、財務的な影響が大きくなることが予測されます。

また、4℃シナリオでは、気温上昇とそれに伴う自然現象による物理リスクが考えられます。IPCCの報告書によれば、水に関連した被害が深刻化すると指摘されています。気象条件の変化は、工場の生産活動や物流に対してだけではなく、化粧品原料の素材となる作物の栽培にも影響を与えます。地域の自然条件に応じた長期的な対策を講じていく必要があります。

一方、消費者の環境意識の高まりは、環境に配慮した製品やブランドに新たな機会をもたらすと予測しています。UVケア製品や冷感製品など、気候変動に対応する製品は、こうした新しい消費者ニーズに応えることができると考えています。気候関連リスクを軽減するために、私たちは、2026年までにカーボンニュートラルを達成するという長期目標を掲げました。シナリオ分析で明らかになった気候関連リスクに対応することはもちろん、全バリューチェーンを通じた機会創出にも努めていきます。

  •   海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、成層圏オゾン層の回復にもかかわらず、21世紀後半には日本を含む北中緯度地域で、地表に到達する有害な紫外線が増加すると予測している。実際、気象庁の定点観測によると、過去20年間で紫外線量の増加が認められる。JAMSTECは、この増加の要因をいくつか示唆しており、その一つとして気候変動が挙げられている。
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水資源

私たち人間をはじめ、すべての生物にとって水はかけがえのない生命の源です。しかしながら、世界では経済の発展に伴って水の需要が年々高まっており、また気候変動の影響も受け、2050年には約45億人が深刻な水不足や水質汚染の状況に陥ることが懸念されています。資生堂は、限りある水資源を大切に使うために、バリューチェーンを通じた水の利用に関する分析をもとに、サステナブルな水利用に向けた取り組みを進めています。水に関して、2026年までに資生堂がグループ全体で使用する水使用量を2014年比で40%削減するというコミットメントを、2020年2月に発表しました。この目標を達成するために、水の再利用・再資源化が可能な設備の導入や、節水型の洗浄技術の開発に注力しています。

  • 資生堂全事業所、売上高原単位

水の循環利用に向けた取り組み

資生堂の製品は、良質な水がなければ作ることができません。化粧水などに含まれる水はもちろんのこと、原料となる植物の生育、生産現場における温度制御や設備洗浄、洗髪や洗顔時のすすぎ、廃棄物の処理にいたるまで、化粧品に関わるあらゆる場面が水に支えられています。

資生堂の事業所の中でも、特に水の使用量が多いのが生産工場です。生産現場における水の利用実態の把握を目的として調査を実施したところ、設備の冷却や洗浄用途に使用される水が工場の水使用量のおよそ50%を占めていることが分かりました。資生堂の工場では稼働を開始した当初から、製造設備に自動洗浄装置を導入するなど積極的に節水活動に取り組んできましたが、さらなる水の有効利用を図るため、設備の洗浄に使用した水を繰り返し再利用できる水再生設備を順次導入していきます。

気候変動による長期的な影響により、水源となるアルプス氷河の後退や雨量の減少が懸念される欧州では、他の工場に先駆けて節水の取り組みを始めています。フランスのバル・ド・ロワール工場では、設備の洗浄に使用した水を再資源化する設備に加え、新しい洗浄設備の導入により、水の利用効率を大幅に改善しました。

プロセス改善による節水の取り組み

大阪工場では、設備洗浄工程のすすぎ水の温度に着目しました。これまでの熱水洗浄からぬるま湯による洗浄に切り替えたことにより、すすぎでの蒸発による水のロスを減らし、CO₂排出量も削減することができました。

フランスのジアン工場では、水冷式の真空ポンプを空冷式に切り替えました。また、フレグランス製品の製造設備の洗浄を、水洗浄からアルコール洗浄に変更しました。その際に使用したアルコールはリサイクルしています。これらの対策により、77%の水使用量の削減につながり、同工場における水の利用効率が大幅に改善されました。

こうした節水努力により生産工場全体で、2019年には前年の実績と比べて30,000m³の水使用量を削減しました。

  • 製造量あたりの水使用量の面で2009年と比較して77%削減

地下水の活用

大阪工場と、2019年に稼働を開始した那須工場では、豊富で良質な地下水を工場での製造プロセスや化粧品の原料として利用しています。取水源を分散化することで渇水リスクの低減を図っています。

製品使用時の節水

資生堂製品のライフサイクルを通じた水の使用実態を調査したところ、シャンプーや洗顔料のすすぎなど、製品使用時の水の影響が非常に大きいことが分かりました。そこで私たちは、製品を使用する際の水の使用量を削減できるイノベーションにも取り組んでいます。2016年には、洗顔時の汚れの分散性を高めることで、より少ない水量で素早く洗い流せる泡状洗顔料を開発しました。この技術により、従来品に比べすすぎ水を約35%削減することが可能となりました。すすぎ時の節水に関連して開発された技術は、クレ・ド・ポー ボーテ ムースネトワイアントAやウーノ ホイップスピーディーなど、さまざまな製品に活用されています。

廃棄物

世界規模での人口増加や人々の所得水準の向上に伴い、資源消費量・廃棄物量はともに増加し続けています。

資生堂は、限りある資源を大切に使うために、採って作って捨てる直線型の経済モデルから、繰り返し資源を有効に使う循環型の経済モデルへの移行に向けた取り組みを強化することが重要だと考え、廃棄物削減とリサイクルの取り組みを加速しています。

廃棄物に関して、2022年までに資生堂における全工場で埋め立てゼロの達成を目指すというコミットメントを、2020年2月に発表しました。

国や地域により管理状況や処理方法は異なりますが、日本には古くから資源を有効に活用する文化があり、廃棄物を再生・再利用するためのさまざまな取り組みが行われてきました。資生堂の工場でも、長年にわたり徹底した廃棄物の分別を行い、資源化し、リユース・リサイクルに取り組んでいます。2003年には既に国内工場でゼロエミッション※1を達成し、現在に至るまで廃棄物の分別と資源化の活動を継続しています。

2019年には、生産工場から排出されたプラスチックや金属などの不要物のうち47%をリサイクル資源として有価化しており、資源循環に貢献しています。同年、資生堂全事業所から排出され有償処理された廃棄物のリサイクル率は94%※2となりました。また、生産ロスを最小限に抑えるための製造・梱包工程の改善や、工場や物流での輸送の最適化にも努めています。廃棄物のリサイクルは各国・地域の社会インフラに依存する部分もあり、途上国や新興国では手段が限られるなど課題もありますが、工場内での分別・資源化活動に加えて適切な能力をもつ処理業者を探索するなどの努力の結果、すでに全11工場のうち10工場で埋め立てゼロを達成しています。

さらに、私たちはサーキュラーエコノミーの考え方に賛同し、バリューチェーン全体を通して、原材料の使用を最適化し、廃棄物の発生を最小限に抑えています。具体的な取り組みとして、包装材の削減、つめかえ・つけかえ可能な容器の発売、容器包装の簡素化、能書の削除、段ボールの軽量化、社内ビジネス・トランスフォーメーション・フレームワーク(BTF)を活用した受注管理システムの再設計など、廃棄物抑制に向けた取り組みを実施し、資源効率向上を実現しています。

2019年、資生堂における全工場での廃棄物を絶対量で前年に比べて394トン削減しました。

  • ※1 ゼロエミッション:廃棄物の再資源化率99.5%以上
  • ※2 サーマルリサイクルを含む

産業廃棄物を適正処理するための社員教育

国内では、グループ会社の廃棄物処理実務の担当管理職および担当者に対して、廃棄物処理法の理解や遵法ポイントの共有を目的とした講習会を年2回(座学講習会、中間処理業者での現場確認講習会)開催し、管理の徹底に努めています。これらの活動の結果、2019年には、廃棄物管理・処理に伴う事故や法令違反はありませんでした。

座学講習会

座学講習会

森林保全 - パーム油・紙

資生堂の製品には、植物に由来する原材料が数多く配合されています。私たちは、原料調達を含めたすべての事業活動において、環境保全を推進しながら社会と共に発展していけるよう、サステナブルな調達に取り組んでいます。特に、多くの化粧品原料の素材となるパーム油や、容器包装に使用される紙に関しては、生物多様性の宝庫である熱帯雨林の保全と深く関わりがあるため、取り組みを強化しています。

サステナブルなパーム油の調達

高い保湿性や使用感触の良さから化粧品原料としても使われているパーム油は、主に熱帯雨林の広がる東南アジア地域で生産されています。近年、パームヤシ農園や紙パルプ生産を目的とした植林地の拡充のために、熱帯雨林の無秩序な開発が進んでいます。これにより、貴重な生態系が破壊されるだけでなく、気候変動の深刻化や農園労働者に対する人権侵害が懸念されています。

パーム油生産地における環境保全と、農園で働く人々の人権配慮を目的とした取り組みの一環として、資生堂は、2010年に国際的な非営利団体である「持続可能なパーム油に関する円卓会議(RSPO)」に加盟しました。

2018年からは、資生堂が調達するパーム由来原料の100%に相当するクレジットを取得することで、持続可能なパーム油生産を支援しています。2019年には、パーム油・パーム核油換算で約9,700トン相当量を購入しました。

資生堂は、2026年までにパーム油・パーム核油由来原料を100%RSPO認証原料(物理的なサプライチェーンモデルによる認証:アイデンティティプリザーブド、セグリゲーションまたはマスバランス)にすることを目指します。

サステナブルなパーム油の調達

サステナブルな紙の使用

紙の原料である木質チップを生産する植林地は、しばしば、自然林を開発して造成されることから、生物多様性の損失や地域住民の権利侵害が問題となっています。私たちは、製品の容器包装に使用される紙について、森林保全と人権配慮の観点から、認証紙(FSC、PEFC)や再生紙の利用を積極的に促進しています。

資生堂は、2023年までに、製品容器包装に使用される紙を、100%サステナブルな紙に切り替えることを目指します。