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地球環境の負荷軽減

異常気象など気候変動の影響は顕在化し、その深刻度を増しています。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響も含め、企業におけるサステナビリティへの対応、環境課題の解決に向けたコミットメントとアクションが社会から注視されました。資生堂は対応すべき環境課題領域として、「1.5℃目標」の達成が重要であると考え、GHG(温室効果ガス)の大部分を占めるCO₂(二酸化炭素)の排出量、水資源、廃棄物などについて中長期的な目標を開示しました。これらの達成には、バリューチェーン全体を通してすべての活動での環境負荷軽減アクションが急務となっており、資生堂はより大胆でクリエイティブなイノベーションを加速させ、サステナブルな世界の実現を目指しています。

  • 産業革命以前に比べて気温上昇を1.5℃以内に抑えることを目標としたもの

CO₂排出量の削減

資生堂は1990年にフロンガスを全廃し、1997年には地球温暖化ガス排出量の削減を含む環境目標を開示するなど、早くから地球温暖化問題を重要視してきました。2020年には「カーボンニュートラルを2026年までに達成」という目標を開示しました。すべての工場における生産工程を徹底的に見直し、再生可能エネルギー利用やエネルギー効率の向上など、CO₂排出量の削減を加速させる取り組みを強化しました。結果として、2020年は資生堂グループ全体では前年比で12%相当のCO₂排出量を削減しました。2021年のパーソナルケア事業の譲渡・合弁化事業によって製品のライフサイクル全体での絶対排出量は大幅な減少となりますが、脱炭素社会の実現に向けて原材料調達や生産などバリューチェーン全体でCO₂排出量削減を加速させていきます。

  1. Scope1&2のCO₂排出量

再生可能エネルギーの利用

大量のCO₂を排出する化石資源由来エネルギーから再生可能エネルギーへの切替えは、気候変動の緩和に向けて重要な取り組みです。資生堂では、電力消費量の多い工場だけでなく、オフィスや事業所でも再生可能エネルギーの利用を推進しています。2020年には、電力における水力や太陽光発電由来の再生可能エネルギー使用量を、グループ全体では前年比で95%増加し、構成比は33%となりました。米国のイーストウィンザー工場と、2019年12月に稼働開始した日本の那須工場では電力の100%を再生可能エネルギーに切替えています。欧州の3カ国のオフィスでは再生可能エネルギーの利用をはじめ、イタリア、イギリスではすでに電力の100%を再生可能エネルギー由来としています。

●太陽光発電の利用

資生堂は太陽光発電を推進するため、工場の敷地や建物に太陽光発電設備を設置しています。米国のイーストウィンザー工場では2007年に角度固定式の太陽光発電設備を、2010年には太陽追尾式を追加導入しました。中国の資生堂麗源化粧品有限公司をはじめ、日本の掛川工場や研究拠点でも敷地内のスペースを活用して太陽光発電を推進しています。台湾では新竹工場に太陽光発電パネルを設置し、そこで発電された電力が地域で活用されています。

掛川工場のソーラーパネル(日本)

掛川工場のソーラーパネル(日本)

●水力発電の利用

日本列島は、地理的条件から降雨量が多く、しかしながら、急峻な地形によって降った雨はすぐに海に流出するため水源として安定的な利用が難しく、治水および利水を目的として歴史的に日本各地でダムが活用されてきました。このような背景から、再生可能エネルギーの中でも水力発電が基盤電力として位置づけられてきました。日本の大阪、久喜、掛川、那須の各工場では、CO₂フリーの水力発電由来の再生可能エネルギーを積極的に利用しています。特に那須工場の電力は、栃木県の県営水力発電所から供給されるCO₂フリーの「とちぎふるさと電気」を利用し、電力の100%再生可能エネルギー化を達成しました。資生堂は、電力について地域との連携と地球環境配慮の両立に取り組んでいます。

エネルギー効率の向上

資生堂の工場では、新しい高効率設備の導入などにより、エネルギー効率の向上を図ることでCO₂排出量の削減に努めています。2020年は掛川工場にEMS(エネルギーマネジメントシステム)を導入し、電気使用量の観測点を400カ所以上に増やすことで特に夜間における電気使用量の削減につなげています。エネルギー使用の最適化により年間で約7%のCO₂排出量削減が見込まれます。今後はEMSをすべての生産工場に順次導入し、環境負荷の低減設備 への投資やエネルギーの効率改善計画の策定・実行を積極的に推進していきます。

  • EMS(エネルギーマネジメントシステム)情報通信技術を用いてエネルギーの使用状況を可視化することで、省エネルギーおよび負荷平準化など、エネルギーの効率的な利用を実現するシステム

輸送時のCO₂削減

輸送では、地域内および地域間の輸送効率を高めることでCO₂排出量削減を推進しています。日本と香港では、地域内の主要な取引先と協力して配送頻度を最適化してトラックの稼働率を高め、運用車両数を減らしています。日本と米国での海上貨物については、貨物の集約と積載効率の最適化により、コンテナの利用率を向上させ、運用コンテナ数と出荷回数を削減しました。2020年、日本の工場から物流センターまでの輸送によるCO₂排出量は最適化が進んだことが寄与し、前年比で17%削減しました。

気候関連リスクと機会の評価

気候変動は環境問題であるだけではなく、規制や自然災害、消費者意識などさまざまな側面から中長期にわたり経営戦略や財務計画に影響を与える現実的なリスクと捉えています。企業が長期的かつ持続的に成長していくためには、事業や社会全体に広く影響する気候関連リスクの影響を緩和しつつ、機会に転じていくことが求められます。このような背景から2020年に資生堂は気候変動緩和に向けて、Scope1※1およびScope2※2のCO₂排出量について2026年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を公表し、気候関連のリスクと機会についての分析と全社対応アクションへの組み込みを進めています。

  • ※1 Scope 1:自社のサイトで使用される燃料の燃焼由来の排出
  • ※2 Scope 2:他者から供給されたエネルギーの使用に伴う排出

ガバナンス

資生堂は、サステナビリティに関連する課題について経営陣が集中的に議論し意思決定を行う会議「Sustainability Committee」を設置しています。同コミッティは代表取締役を委員長とし、経営戦略・R&D・サプライネットワーク・広報・社会価値創造・ブランドホルダーなど各領域のエグゼクティブオフィサー、および監査役で構成されています。特に重要な案件は「Executive Committee」や「Innovation Committee」、取締役会にも諮り、「Sustainability Committee」と合わせると2020年は年間で合計12回の審議実績があります。同コミッティでは、環境の諸課題に積極的に対応するため、CO₂排出量、水、廃棄物、紙・パーム油調達、パッケージに関する中長期目標が議論されました。こうした環境領域の中長期目標は当社の方向性にも影響を与えるものであるため、取締役会に提案されました。取締役会では、気候変動問題の重要性に鑑みて、ステークホルダー(お客さま、取引先、社員、株主、社会・地球)からの期待を反映する必要性が指摘され、野心的な目標設定が促されました。

戦略(シナリオ分析)

1.5/2℃および4℃の気温上昇の世界を想定し、IPCCが示したRCPとSSPシナリオに沿ってリスクと機会について分析を実施しました。リスクについては、1.5/2℃シナリオでは、脱炭素社会への移行に伴う政策、規制、技術、市場、消費者意識の変化による要因を分析し、積極的な気候変動対策がとられない4℃シナリオにおいては、気温上昇に伴う洪水の発生や気象条件など急性/慢性的な変化による物理的影響について分析を行いました。その中で、特に影響の大きな炭素税、市場や消費者動向、洪水、水不足などに伴うリスク要因について、2030年時点での財務影響の定量化を行いました。
一方、機会に関しては、1.5/2℃シナリオでは、消費者の環境意識の高まりに伴い、サステナビリティに対応したブランドや製品への支持が高まると予想されます。4℃シナリオでは、気温上昇に対応した製品の販売機会が拡大すると予想されます。イノベーションによる新たなソリューションの開発により、サステナブルな製品を提供していくことで、リスクの緩和と新たな機会の創出を目指しています。

リスクマネジメント

資生堂は2020年に、重視すべきリスクを総合的・多面的な手法を用いて抽出し、特定しました。その中には、「自然災害・疫病・人的災害」「当社ならではのESC(環境・社会・文化)」といったサステナビリティ領域のリスクも含まれています。気候関連リスクも、事業継続や戦略に影響を及ぼす要因のひとつとして科学的または社会経済的なデータに基づいて分析され、自然災害やESCに関わるリスクとして全社のリスクマネジメントに統合されます。特定されたリスクは、当社CEOが委員長を務め、世界各地域CEO、および当社エグゼクティブオフィサーなどをメンバーとする「Global Risk Management & Compliance Committee」や「Executive Committee」にて定期的に対応策などが審議される体制となっています。

指標と目標

気候変動による物理的リスクの緩和を目指して資生堂のCO₂排出量を指標として設定し、定期的にモニタリングを実施しています。特にScope1およびScope2の排出量については2026年までにカーボンニュートラルとすることを目標として設定しました。また、化粧品容器に関してはサーキュラーエコノミーに賛同し、2025年までに100%サステナブルな容器包装という目標を掲げてシングルユースプラスチックとCO₂排出量の削減に取り組むことで、1.5/2℃シナリオにおける市場リスクの緩和と機会創出を目指しています。一方、4℃シナリオにおける渇水リスクの管理を目的として、当社事業所における水消費量を指標として選定し、2026年までに40%削減することを目標として設定しました。その他の物理的リスクについても、長期的なリスクマネジメントの視点から適切な管理指標を検討していきます。

TCFD情報開示のロードマップ

資生堂は、気候変動問題が事業成長や社会の持続性に与える影響の重大性から、2019年4月にTCFDへの賛同を表明し、TCFDフレームワークに沿った情報開示に着手しました。2020年はリスクと機会の定性分析の結果を開示し、2021年は定量的リスクと主な対応アクション領域とをあわせて開示します。今後は、事業と連携して対応アクションを策定し、経営・事業計画に反映させることでバリューチェーンを通じたリスクの緩和に努めるとともに、機会創出につながる取り組みについて、順次開示していきます。同時に、科学的な証拠に基づいた分析も進め、リスク低減と機会創出に努めます。

リスクと機会のシナリオ分析


リスク 機会
移行リスク
(主に1.5/2℃)

  • 炭素税によるコスト増☑
  • エネルギーミックスによるコスト増
  • 規制の強化☑
  • エネルギー効率の向上
  • 消費者意識と関心の変化(サステナブルやエシカルな製品に対するニーズ増加)
物理的リスク
(主に4℃)
急性
  • 自然災害による生産活動の停止☑
  • 自然災害による物流機能の断絶
  • 環境にやさしい製品への期待(ドライシャンプー/コンディショナー)
  • 気温上昇に伴う環境対応製品に対するニーズ増加
慢性
  • 農作物由来原料の調達コスト増
  • 水不足による生産活動の停止☑

☑ のついている要因は定量分析も実施

詳細はこちら[ PDF : 1.62MB ]

水消費量の削減

資生堂は限りある水資源を大切に使うため、2026年までにグループ全体で水消費量を2014年比で40%削減するという目標を設定しました。この達成に向けて、バリューチェーン全体におけるサステナブルな水消費の取り組みを推進しています。特に水の消費量が多い工場では、稼働を開始した当初から、水の効率的利用のために製造設備における自動洗浄装置の導入や設備部品の洗浄場所の集約など節水に取り組んできました。その結果、2020年においては2014年比で16%の水消費量を抑えることができました。生産現場ではさらなる水の有効利用を図るため、設備の洗浄に使用した水を繰り返し利用できる水再生設備を順次導入していきます。

  • 売上高原単位

生産プロセスでの節水

資生堂の工場ではさまざまな方法で水消費量の削減に取り組んでいます。日本の久喜工場では、製造後における製品の中味の保管・運搬に使用しているタンク・ドラムの洗浄用に節水式洗浄機を導入しました。自動制御式のフレキシブルな洗浄ノズルと、残渣や容器の種類によって洗浄パターンを最適化できることから、1回あたりの水の消費量を90%削減しました。同じく久喜工場では、タンクや部品に付着すると落ちにくいという特性のあるサンスクリーン製品用に、専用の洗浄剤を新たに開発し、洗浄時間の短縮と水の消費量の削減を実現しました。大阪工場では製造釜の冷却方法を見直し、一度使用した水を再利用して冷却する循環型にした結果、2020年には水消費量を年間8%削減しました。
フランスのジアン工場では、フレグランス製品の製造設備と輸送のための部品洗浄を水洗浄からアルコール洗浄に変更し、かつ使用したアルコールはリサイクルしています。2020年は、これらの対策により2009年比81%の水消費量の削減につながり、同工場における水の利用効率が大幅に改善されました。

那須工場の自動洗浄装置(日本)

那須工場の自動洗浄装置(日本)

地下水の活用

水資源は河川水系の上流から下流まで、地域社会との共有資源です。資生堂は、地域と連携した2次利用など「共有財産としての資源管理(Water Stewardship)」を進めています。2019年12月に稼働を開始した那須工場では、豊富で良質な地下水を工場の製造プロセスや化粧品の原料として活用しています。排水処理をして浄化した水を、地域の農業用水として利用できる水質にして再び地下に戻す試みを推進しています。

  • Water Stewardship:自社の操業に関わる水の管理にとどまらず、地域の水資源への責任に対して行動すること

廃棄物の削減

私たちは、国や地域によって廃棄物の再生・再利用のためのさまざまな取り組みを行ってきました。資生堂の工場では、長年にわたり廃棄物を素材別に徹底的に分別管理して資源化するなど、リユース・リサイクルを推進してきました。

工場での廃棄物削減の取り組み

2003年には日本の国内全工場でゼロエミッションを達成し、廃棄物の分別と資源化の継続により2020年時点で世界全12工場において埋め立て廃棄物ゼロを達成しました。大阪工場ではプラスチック減容機を導入し、廃プラスチックを再利用するなど資源循環を推進しています。久喜工場では汚泥を減量化する脱水方法を乾燥方式からスクリューブレス方式に変更し、年間250トンの廃棄物を削減しました。また、資源活用の観点から余剰在庫削減も推進しています。在庫の有効活用や需要予測精度の向上による余剰在庫の発生防止、生産調達リードタイム短縮による短納期化を図っています。

  • ゼロエミッション:廃棄物の再資源化率99.5%以上

社員教育

日本国内では、グループ会社の廃棄物処理実務の担当管理職および担当者に対して、廃棄物処理法の理解促進のためオンライン講習会を開催し、全国から164名が参加しました。受講者は資生堂オリジナルのチェックリストをもとに遵法の徹底に努めています。これらの活動の結果、2020年には、廃棄物管理・処理に伴う事故や法令違反はありませんでした。