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化粧品の成分の動物実験廃止を目指す円卓会議

第二回「化粧品の成分の動物実験廃止を目指す円卓会議」を開催 ~ステークホルダーとの協働を目指して ~

第二回「化粧品の成分の動物実験廃止を目指す円卓会議」を開催 ~ステークホルダーとの協働を目指して ~
  • 開催日時:  2010年11月1日(月)14:00-17:10
  • 場所:    資生堂汐留オフィス会議室

・ダイアログにご参加いただいた方々(50音順)

  • 阿南 久氏      全国消費者団体連絡会 事務局長
  • 亀倉 弘美氏     NPO法人 動物実験の廃止を求める会(JAVA) 理事
  • 河口 真理子氏    大和証券グループ本社 広報部 CSR担当部長
  • 田中 憲穂氏     日本動物実験代替法学会 元会長
  • 中野 栄子氏     日経BPコンサルティング プロデューサー
  • 藤井 敏彦氏     経済産業研究所 コンサルティングフェロー
  • 山崎 恵子氏     動物との共生を考える連絡会
  • (司会)川北 秀人氏 IIHOE 人と組織と地球のための国際研究所 代表

・資生堂参加者

  • 株式会社 資生堂  執行役員 岩井 恒彦
  • 株式会社 資生堂  品質評価センター 代替法研究エキスパート 板垣 宏

・資生堂事務局

  • 株式会社 資生堂  CSR部長 高山 靖子

ダイアログで話し合われたこと

・今回の話し合いの流れ

・今後の課題が4つに絞られました

ご参加いただいた皆さまからのご意見・ご提案(50音順)
~各ステークホルダーが取り組めること~

阿南 久氏/全国消費者団体連絡会 事務局長・内閣府、厚生労働省、農林水産省の審議会等にも参画

阿南 久氏/全国消費者団体連絡会 事務局長・内閣府、厚生労働省、農林水産省の審議会等にも参画

【ご意見】私が長年の消費者活動を通して感じていることは、消費者にとっては安全性が一番大事だということです。一方で、消費者の中でも、動物愛護・福祉に関する関心は高まっており、この流れは止めることはできません。安全性確保のために多くの動物が犠牲になってきたこと、また代替法が諸々の事情でなかなか実用化されていないことなどはほとんど知られていません。メーカー各社が情報をしっかりと開示し、消費者が背景や現状を学び、双方が課題を共有し、どんな選択ができるか共に考え、コミュニケーションしていくことが必要です。私たち消費者団体としては、まずは状況を正しく把握する作業を進めます。私個人としては、関わっている各省庁の審議会などでも積極的に発言していきたいと思います。

亀倉 弘美氏/NPO法人 動物実験の廃止を求める会(JAVA) 理事

亀倉 弘美氏/NPO法人 動物実験の廃止を求める会(JAVA) 理事

【ご意見】動物実験を望まない消費者にとって、「美の追求のために動物を犠牲にしてほしくない」との思いが大前提にあります。それは安全性を軽視しているのではなく、新たに動物を犠牲にするならすでに安全性の確立された原料だけで十分だ、という考えです。新規原料開発は代替法確立後にしてほしい。私たちがいま取り組んでいることとして、消費者に「気づいてもらう」啓発活動のほか、他企業への働きかけ、来年の「動物愛護及び管理に関する法律」改正を見据えた国会議員へのロビー活動なども展開しています。1つの団体・組織だけではなく、研究者や専門家、企業などからの働きかけが加わることでさらに前進すると思います。特に代替法の問題を取り上げる際には、代替法開発の現場の声をもとに、行政の方々と一緒に考えていく必要があります。

河口 真理子氏/大和証券グループ本社広報部 CSR担当部長、社会的責任投資フォーラム理事&運営委員

河口 真理子氏/大和証券グループ本社広報部 CSR担当部長、社会的責任投資フォーラム理事&運営委員

【ご意見】企業とNPO両方の意見を聞いた印象から言うと現段階では、情報提供と問題提起を同時に行い、この問題を「密室」から出すべきと感じました。特定の専門家と反対団体だけの問題ではなく、日々普通に化粧する私たち皆に関わりがあることをまずは広めたいと考えます。動物実験なしでも安全な製品をつくれるのか、代替法の開発はどこまで進んでいるのか、素人に判断しづらい要点も多々あるので、専門用語を使わずに誰でも分かるように説明してほしいと思います。また、医療関連ならOKで、化粧品はダメだとすると、動物を犠牲にする人間のエゴはどこまで許されるのかという倫理も気になります。賛成か反対かの対立軸で捉えずに、議論を広げる仕掛けを作りたいものです。クラスター爆弾廃止のように、社会的責任投資の視点でいろいろな企業や団体の参加を募りながら道筋をつけた事例も参考になりそうです。

田中 憲穂氏/日本動物実験代替法学会 元会長 ・国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター薬理部 新規試験法評価室(JaCVAM)評価会議委員

田中 憲穂氏/日本動物実験代替法学会 元会長 ・国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター薬理部 新規試験法評価室(JaCVAM)評価会議委員

【ご意見】化粧品は直接肌に塗布するものですから、安全性の確保は極めて重要です。廃止に向けて現段階で最も力を入れるべきは、代替法の開発と実用化です。ただ、代替法に関わる課題として、研究・開発に時間と多額の資金がかかること、欧米の行政主導とは異なり日本においては学会主導がゆえの脆弱さ、代替法開発から実用化に向けた道筋の不明確さもあります。気になるのは、こうした諸々の状況に影響されて企業や研究者たちの志気がトーンダウンしてきてはいないかということです。良い流れを生みだすためにこの円卓会議を利用してできることは、社会に情報を発信し、代替法の研究・開発促進に向けた支持を世間から得られるようにすることと、関係機関への働きかけだと思います。

中野 栄子氏/日経BPコンサルティング プロデューサー・農林水産省、東京都食品安全情報評価委員会、埼玉県食の安全県民会議などの委員

中野 栄子氏/日経BPコンサルティング プロデューサー・農林水産省、東京都食品安全情報評価委員会、埼玉県食の安全県民会議などの委員

【ご意見】動物実験の廃止をいたずらに急いで、安全性の確認が後回しになってしまっては危険です。メディアに携わる者としての責務は、立場の異なる人たちを幅広く取材し、科学的に正しい情報を社会に伝えていくことたと考えます。「動物実験廃止」という言葉が一人歩きすることがないよう、国内外での代替法の開発の状況を正しく知らせ、どのようなロードマップで実現できるかを社会で共有することが大切です。消費者も正しい情報を知れば、適切な行動を取ることができます。そして、メディアもさらに深く掘り下げた情報を取りあげようという機運が高まることでしょう。さまざまな立場のステークホルダーとコミュニケーションの場をつくり、ウェブサイトでも発信されている資生堂の姿勢はとても評価できます。各メーカーも、今後大いに情報開示を進めていかれることを期待します。

藤井 敏彦氏/経済産業研究所 コンサルティングフェロー

藤井 敏彦氏/経済産業研究所 コンサルティングフェロー

【ご意見】さまざまなステークホルダーが膝を交える円卓会議を開催されたことは、高く評価できます。今後の道筋はいろいろ考えられますが、道の先に何を求めるか、立場を超えて共有することが重要になります。例えば、パーム油の認証スキームは、この会議と同じように企業とNPOが話し合うことからスタートし、議論を重ねて実現できました。時間はかかりますが、誰かが主張を100%押し通すのではなく、互いが合意できる点についてガイドラインというソフトローを作っていく方法もあります。また、目標は共有されているわけですから、その想いを文書化しステートメントとして社会に発信することもあり得るのではないでしょうか。この円卓会議に、さらに他企業やNGO・NPOが加わり、何か新しい動きが生まれることを期待します。

山崎 恵子氏/動物との共生を考える連絡会 幹事・農林水産省獣医事審議会委員・国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター薬理部 新規試験法評価室(JaCVAM)顧問会議委員

山崎 恵子氏/動物との共生を考える連絡会 幹事・農林水産省獣医事審議会委員・国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター薬理部 新規試験法評価室(JaCVAM)顧問会議委員

【ご意見】一企業が解決できることには限界があり、多方面からの働きかけを考えなければなりません。日本の行政の動物福祉・愛護に対する認識を高めてもらい、今後の優先課題として扱ってもらう必要があると考えます。また、企業としては、「動物福祉・愛護」をマーケティングツールであると捉えてみてはどうでしょうか。今、生産者が「うちの鶏は幸せです」と言えば、消費者はその卵を選ぶ時代になってきています。そして、もう一つのアプローチは、教育だと思います。研究者や専門家、学生などに対して、動物福祉・愛護のこと、動物実験のこと、3Rsについて、誰がどのように啓発を進めるのか考えていかなければなりません。私たちのような市民団体は、市民の意識を高める役割を担っており、さらに努力していきます。

(司会)川北 秀人氏/IIHOE 人と組織と地球のための国際研究所 代表

(司会)川北 秀人氏/IIHOE 人と組織と地球のための国際研究所 代表

【ご意見】状況が複雑な課題は、その解決に立ち向かうステークホルダーも多様で、その価値観や希望も多様です。だからこそ、大きな目標に向かって重なる部分を見出し、できることから互いの力を引き出し合って行動を起こすことが不可欠です。
どんなタイミングで何をすれば、社会全体にとってプラスに進むのかを冷静に考え、とにかく動き出すことが大切です。有機農業分野の国際規格づくりの際には、各国の状況や理想を訴えるだけではなく、民間主導で実効性のある案を3年ほどかけて積み重ね、それを実質的な制度化につなげたという経緯もあります。そうした他業界の前例も参考に、賛成・反対や廃止・継続といった二項対立から抜け出して、合意できるところから動き出す。次回からは具体的な協働を考える段階に入りましょう。

ステークホルダーダイアログを受けて