1. Home
  2. サステナビリティ
  3. 人権尊重と責任ある調達
  4. 主な取り組み

主な取り組み

人権尊重と責任ある調達に関する主な取り組みを紹介します。

人権デュー・ディリジェンス

ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP:United Nations Guiding Principles on Business and Human Rights)に基づき、EUを中心に各国で国別活動計画(NAP:National Action Plan)が策定されており、多くのNAPにおいて「人権デュー・ディリジェンス」に関する記載が含まれています。資生堂は、2020年人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、 資生堂が社会に与える人権に対する負の影響を特定し、その防止および軽減のための改善アクションを行っています。そして、実施や結果の開示を求める各国の規制にも遵守・対応しています。
人権デュー・ディリジェンスプロセスでは、まず人権リスクアセスメントを行い、すべてのステークホルダーに関わる人権リスクを評価、特定します。次に特定した人権リスクに対する負の影響の停止、防止、軽減に向けた改善活動を推進します。この活動の推進状況をチェックし、更なる人権リスク軽減に向けた活動を継続するとともに、進捗報告・開示を行います。

人権デュー・ディリジェンス

人権リスクアセスメント

Step1: 人権課題の抽出

人権に関する国際規範や、非財務情報開示に関する基準、企業人権ベンチマークのCHRB(Corporate Human Rights Benchmark)の内容等を参照し、考慮すべき人権課題を抽出しました。この人権課題の中には、強制労働や児童労働などの現代奴隷に関する課題のみではなく、結社の自由、団体交渉権、差別など、人権に関連する幅広い課題が含まれています。バリューチェーン全体を通して、当社が関連する対象先におけるリスクを抽出し、人権デュー・ディリジェンスの領域と対象を整理しました。

  • - 影響を及ぼす対象:取引先、社員、消費者、社会。具体的には、サプライヤー社員、直接雇用・間接雇用を問わず社員、女性、児童、先住民族、地域住民、移民。
  • - 化粧品・パーソナルプロダクト業界の状況。
  • - 考慮する人権課題:人権の尊重と侵害への非加担、ハラスメントと虐待、児童労働(教育を受ける権利の尊重)、差別的行為・差別的表現、強制労働(人身売買の禁止を含む)、結社・団体交渉権の制限、ジェンダーを理由とした不利益(ジェンダー平等および同一労働同一賃金を含む)、などを含めた25項目をリスト化しました。
  • - 人権に関する国際規範や企業人権ベンチマーク:「国連グローバル・コンパクトの10原則」、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、「労働における基本的原則及び権利に関するILO 宣言」、「ILO中核的労働基準」、「世界人権宣言」、「Global Reporting Initiative」、「Corporate Human Rights Benchmark」、「Dow Jones Sustainability Index」、「FTSE」。

Step2: 人権課題の評価

抽出した人権課題に関連する当社の活動の状況を、国内外の社内関係者へのヒアリングや資料閲覧によって確認しました(潜在的な人権影響の発生可能性については社外資料も参考としました)。上記によって確認した国内外での潜在的・顕在的な人権影響の発生可能性、またそれらに対し当社が実施している予防・是正措置の状況から、各人権課題のリスクを評価しました。

  • - 第三者機関による評価:人権リスクアセスメントを専門とする第三者機関に委託し、当社の人権にかかわる各種資料・記録、国内外の資生堂グループ社員へのヒアリングで得られた情報をもとに、バリューチェーン全体における人権リスクの発生状況(潜在的リスク・顕在的リスク)の有無で点数化。予防・是正措置の状況確認も含めて、第三者機関が当社の人権リスクのマネジメントシステムが十分であるかを評価しました。
  • - 潜在的な人権影響の調査:国ごとの人権リスクについては、差別に関する国際労働機関(ILO)の調査、研修教育や消費者の権利に関する世界銀行の調査、ジェンダーの平等に関するWIN World Survey、児童労働に関するユニセフ調査等の資料より抽出しました。
  • - 予防・是正措置の状況:国際機関CHRB、DJSI、FTSE、GRIが取り組みや開示を求める項目から、人権に関する予防・是正措置のチェックリストを作成し、当社の予防・是正措置の有無の状況を評価しました。

結果と対応:

  • 順不同

人権リスクの軽減活動

人権リスクアセスメントにより特定した8分野を課題や対応策に応じて6項目に整理・統合し、担当するエグゼクティブオフィサーを定め、2021年より人権に対する負の影響の停止、防止、軽減に向けた改善活動を実施しました。社員の人権は人事部門、リスクマネジメント部門が対応し、サプライヤーや生産委託先の社員における人権はサプライネットワーク部門が対応にあたり、サプライヤーアセスメントプログラムの継続実施や調達方針の見直しを行いました。

サプライチェーン全体でのリスク把握

資生堂は、製品の原材料および間接材(販促物)を世界各国のさまざまなサプライヤーから調達しています。現在、約800社のサプライヤーと直接取引をしています。私たちは、持続可能なサプライチェーンの構築とサプライチェーン全体におけるリスクを可能な限り排除することを目指し、資生堂はサプライヤーアセスメントプログラムの実施を進めています。2022年以降は改定した調達方針に基づき、サステナビリティ観点の評価の高い取引先とのビジネス機会を増やしていきます。また、直接取引のある取引先だけでなく、2次取引以降のお取引先のリスクも確認を行います。

当社が人権について高リスクと判断した原材料(パーム油、マイカ)については、国際的なイニシアティブへ参画することで対応を強化しています。持続可能なパーム油の調達のために、当社は2010年からRSPO※1(持続可能なパーム油のための円卓会議)に加盟し、原産地の環境保全と人権に配慮したRSPO認証原料の調達によりリスク低減を図っています。また、持続可能な鉱物マイカの調達のために、当社は2017年から責任あるマイカのサプライチェーンを目指すイニシアティブRMI※2に加盟しました。今後はこれらの原材料についてサプライチェーンのトレーサビリティ・透明性向上を目指します。詳細は「サステナブルで責任ある調達の推進」をご覧ください。

  • ※1:RSPO: Roundtable on Sustainable Palm Oil
  • ※2:RMI: Responsible Mica Initiative

生活賃金

資生堂は社員に対して、賃金が社員およびその家族が人間らしく生活するために必要な額となるよう考慮します。国内資生堂グループにおいて子どもを扶養する社員に対しては、ベース給与に追加して、子どもの育児や教育を賄うための手当を毎月支給しています(カフェテリア制度の育児・教育費用補助)。
株式会社資生堂・資生堂ジャパン株式会社の社員においては、日本労働組合総連合会が発行する2021 連合リビングウェイジ報告書と比較して基本的な給与が生活賃金を上回る設計となっていることを2022年にセルフアセスメントにて確認しています。

ステークホルダーとの対話

サプライヤー向けの通報・相談窓口

社員向けの通報・相談窓口

社員への人権教育研修

国内資生堂グループの社員