資生堂では社員一人ひとりがプロフェッショナルな専門性とリーダーシップを発揮することで働きがいのある職場を実現し、当社の成長を支えてきました。現在ではオフィスワークとリモートワークを組み合わせた多様な働き方に移行しています。こうした日々の新しい挑戦によって、社員の健康と自己成長を実現していきます。
当社では、機会均等を推進するためにフレックスタイム制度や在宅勤務(テレワーク)制度、パートタイム勤務オプション、独自の保育サービスや保育費・教育費の補助、ジェンダーにかかわりなく有給での育児を目的とした特別休暇(育児休暇)などを導入しました。さまざまなダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の取り組みにより、家族とキャリアの両立を支援しています。
社員一人ひとりがワーク・ライフ・バランスを実現できると、新たに生み出される時間を使うことで、社員が社会でも活躍できるようになります。資生堂は、そのことが社員の成長につながるだけでなく、会社の業績や企業価値を高めることにつながると考えています。社員のライフスタイルを尊重し、育児・介護といったライフイベントにかかわらずキャリアアップできるよう、法律で定められた以上の充実した制度を導入しています。日本国内においては、2017年から同性パートナーを異性の配偶者と同等に処遇しています。子育て中や家族を介護する社員へのサポートについては、事実婚および同性パートナーが対象に含まれます。
国内の資生堂グループでは2023年に642名の社員が育児休業を取得しています(うち男性167名)。出産後に復職する社員に対して、育児と仕事の両立への不安を軽減するための「ウェルカムバックセミナー」などを実施し、その結果、国内資生堂グループにおける育児休業からの復職率は92.3%に及び、高い水準を維持し続けています。
また、男性社員の育児休業取得率100%を目標に掲げ、促進のために育児休業を取得した男性社員のインタビュー記事や育児に関する情報を社内に発信するなど、2023年末に国内資生堂グループ男性社員の育児休業取得率100%を達成しました。
資生堂の社員が子育てと仕事を両立するために、日本国内では以下に記したような充実した環境を整備しています。いずれも法律上の親子関係がある実子・養子だけでなく、特別養子縁組のために試験養育期間にある子どもや、養子縁組里親に委託されている子どもも対象としています。各種制度は社員が理解しやすいよう「仕事と育児・介護の両立支援ガイドブック」にまとめ、上司から対象者に案内することとしています。
産前6週間は有給の産前休暇、産後8週間は一部有給の産後休暇を取得できます。無給部分は、積立休暇や年次有給休暇を利用が可能です。無給の産休とする場合は、資生堂健康保険組合を通じて出産手当金の給付を請求できます。
法定を超えて、資生堂では子どもが満3歳になるまで、通算5年まで育児休業を取得できます。子どもが1歳未満の場合は、いかなる理由にかかわらず2回まで取得できますが、特別な事情がある場合は2回目以降の申請が可能です。育児休業中は無給となりますが、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。なお、資生堂では女性社員が妊娠中から出産後の職場復帰までのプロセスを上司と確認し合えるようなコミュニケーション体制「チャイルドケアプラン」を整備しています。このプランは、社員の妊娠・出産・育児に対する社員の不安を減らし、上司が交代した際の情報共有に用いることで、スムーズな職場復帰に活用されています。
育児休業制度とは別に、子どもの出生後8週間以内に4週間を上限に育児休業を取得できます。なお、初めにまとめて4週間分を申請すれば、同一子につき分割して2回取得可能です。育児休業中は無給となりますが、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。出生時育児休業中は労使協定を締結し、社員と会社(上司)が合意した範囲を事前調整したうえで就業することを認めています。
社員のパートナー(配偶者など)の出産に際しては、5日以内の特別休暇(有給)が取得できます。また、子どもが3歳までの期間に、育児を目的とした有給の特別休暇(連続1週間以内(土・日含む)を2回)を取得できます。この休暇は育児休業の対象外となる勤続1年未満の社員も利用でき、一度に連続2週間の休暇を取得することも可能です。
日本の法令では子どもが満3歳になるまでの短時間勤務制度を導入するよう要請されていますが、資生堂では子どもが小学校3年生(9歳の3月末)まで、1日最大2時間の勤務時間を短縮できます。子どもが1歳に達するまでは、短縮した勤務時間のうち1時間分は有給となります。
店頭でお客さま対応に従事する美容職の社員が育児時間制度を取得して勤務時間を短縮する際に、夕刻以降の店頭の販売業務を支援する代替要員「カンガルースタッフ」を派遣しています。2007年からカンガルースタッフを雇用することで、販売に携わる社員も仕事と育児を両立しやすくなりました。
資生堂は「子育て時期もキャリアアップにできる会社」を目指し、「誰もが<こどもも社員も真ん中の育児>と<新たな価値を生み出す仕事>を両立できる」ことをコンセプトにサポートしています。
その一つとして、企業主導型保育施設「カンガルーム掛川(静岡県掛川市)」があります。カンガルーム掛川は掛川工場に隣接し、常時保育と一時保育を運営しています。地域への貢献や連携を目的に、資生堂社員だけではなく、地域の住民の方々にも一部開放しています。
もう一つが、「多様な働き方に合わせた、柔軟な保育」の実現を目標に、2023年4月より開始した「KANGAROOM+(カンガルームプラス)」です。地元の保育施設では対応しきれないニーズに合わせ、首都圏を中心に展開しています。1対1のベビーシッター事業を中心に、社員の産前から子どもが小学校を卒業するまで一貫したサービスの提供で日々のニーズをサポートすることを目指しています。
両サービスとも「資生堂の100年先を社員が考える」というプロジェクトによって2017年に設立された「KODOMOLOGY株式会社」が、保育サービス全般の運営とコンサルティングを担っています。
国内の資生堂グループの子どもを扶養する社員に対しては、子どもを保育園やベビーシッターに預ける際の保育料や子どもの教育費を補助するための手当を支給しています(カフェテリア制度※の育児・教育費用補助)。
当社の汐留オフィスと浜松町オフィス、資生堂グローバルイノベーションセンター(横浜)には、授乳や搾乳のためのスペースを設置しています。(一部の工場ではお客さまの見学コースに授乳室を整備しています。)国内の資生堂グループの子どもを扶養する社員に支給する「育児・教育費用補助」を、搾乳機の購入に充てることも可能です。1歳未満の子どもを育てる女性従業員が請求すれば、雇用形態に関わらず通常の休憩時間とは別に1日2回各30分以上(労働時間が4時間以内の場合は1日1回30分)の育児時間を付与しており、授乳や搾乳の時間に充てることができます。日本の法令では育児時間中の賃金の取り扱いに関する定めはありませんが、資生堂では育児時間制度を利用すれば、子どもが1歳に達するまでは、短縮した勤務時間のうち1時間分は有給となります。
小学校入学前の子どもの病気・ケガの看護や、子どもの健康診断・予防接種のために、1時間単位で取得できる有給休暇です。子どもが一人であれば年間5日(40時間)、二人以上であれば10日(80時間)まで、日本の法定を超えて有給で取得できます。
現在までのキャリアが途切れないよう、小学校3年生以下の子どもを持つ社員は、パートナーに国内転勤が発生した際にパートナーの転勤地への同行を希望できます。
日本の育児・介護休業法では、社員の転勤に際して育児・介護の状況へ配慮するよう事業主へ求めています。資生堂は育児期にある社員の転居を伴う異動に関する運用ガイドラインを定め、育児時間や介護時間を取得中の社員は本人の意向に応じて転居を伴う異動の対象外としています。
介護の対象者は社員自身の家族だけでなく、パートナーの家族も含みます。
要介護状態の家族一人について、回数制限なし(1回1年以内)で休業できます。通算3年以内となっています。
1日2時間まで、病院への付き添いなどの用途で介護時間を取得できます。一人の家族につき、1回につき1年以内。通算3年以内となっています。
要介護認定を受けた家族への介護サービス・施設料を賄うための手当を支給しています(カフェテリア制度※の介護補助)。
社員のパートナーに海外転勤が発生した場合、パートナーの勤務地への同行を前提に、3年以内の休業を認めています。
社員が平日に社会貢献活動を行う際には「ソーシャルスタディーズデー制度」を有給で年間3日まで利用できます。社員一人ひとりが社会課題解決の視点を持ち、みずから考え行動する風土をつくることにつながり、社会参画と視野の拡がりを仕事に活用することで、資生堂の価値創造に発展させることができると考えています。
社外の専門相談員が、健康やメンタルヘルスの悩み、育児・介護と仕事との両立の助言など、年中無休で受け付けています。
信仰の多様性への配慮として、汐留オフィスには祈祷室を設けています。
育児・介護の支援制度利用実績は「社会データ」をご覧ください。
日本国内の資生堂グループは労働基準法第36条に則り、残業(時間外労働)や休日労働に関する労使協定(36協定)を締結しています。臨時的に限度時間を超えて労働させる特別な場合でも、1カ月あたり最長80時間(45時間超80時間までは年間6回以内)と制定しています。上司が命じた場合のみ残業するというルールのもと、各部門の責任者や管理職へ36協定を周知徹底し、長時間労働の削減に取り組んでいます。36協定を遵守するために、各事業所は(1)時間外労働の削減、(2)年次有給休暇の取得率向上、(3)総実労働時間の削減に取り組んでいます。日本国内の資生堂グループ主要会社では人事部が労働組合員の残業時間を毎月モニタリングし、残業の多い部門責任者への指導および長時間労働者の健康チェックを促しています。当社は労働時間や有給休暇取得率の実績を労使で共有し、長時間労働を是正する取り組みに反映しています。
資生堂では一人ひとりの社員が働きがいを持ちながら就業できるように、職場環境や制度の整備に取り組んでいます。その一環として、女性社員のさらなる活躍推進や育児に携わる社員の両立をサポートするさまざまな施策を実施しています。株式会社資生堂では2007年と2013年に、資生堂ジャパン株式会社では2007年に次世代育成支援対策推進法に基づく「次世代認定マーク(くるみん)」を取得しています。
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画詳細はこちら
資生堂は、一般社団法人 女性の健康とメノポーズ協会が主催する「女性の健康経営®※1アワード」において、法人・団体を対象とする「推進賞」を2023年に初めて受賞しました。今回の受賞は、当社が2020年に「女性の健康プロジェクト」を立ち上げ、2023年から3カ年中期計画でテーマを決め、ヘルスリテラシー向上に向けた取り組みを実施していることが評価されたものです。
「女性の健康経営アワード」は、女性の健康とメノポーズ協会が主催する「女性の健康検定※2」に合格した「女性の健康推進員※3」および「女性の健康経営推進員※4」の個人、また、これらの方が在籍する法人・団体を対象に、女性の健康支援・健康教育・健康経営に結びつく積極的な取り組みを表彰する制度です。
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