「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」。これは資生堂の存在意義であり、「美」によって人の心を豊かにし、生きる喜びやしあわせをもたらすことを通じて、美しく健やかな社会と地球が持続していくことに貢献することを示した企業使命です。この理念の実現には、社員が健康で豊かでしあわせな生活を送り、その健やかな美を体現していなければなりません。そして、その社員を支える基盤として、安心・安全に働く環境が必要です。これをかなえるため、資生堂は資生堂健康保険組合と協力し、社員が健やかに美しく生活することへのサポートを明確にするために「資生堂健康宣言」を策定しています。そして、このたび資生堂グループで働く人にとって安心・安全な職場環境を実現する「労働安全衛生マネジメントシステム体制」を構築しました。さらにすべての職場において休業災害ゼロを目指す「資生堂ビジョン・ゼロ宣言(安全宣言)」を策定しました。私たちは、今後もこれらの宣言に基づく活動を進化させ、労働安全リスクを最小限とすることはもちろん、健康投資を行うことで、社員がより健やかになり、結果として社会へ還元する、このような好循環を目指します。お客さまに美を提供する資生堂。100年先も輝きつづけ、世界中の多様な人たちから信頼される企業になるべく、健康経営および安全衛生施策に全力で取り組んでまいります。
代表取締役 会長 CEO
資生堂は、「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」を目指します。そのために、美と健康を活力の根源と捉え、社員やその家族がみずから美しく健やかに生活するための取り組みを推進します。
一人ひとりが美を提供する企業の一員として、心身ともに健やかに働くために自覚と知識を持ち、
積極的に行動します。
美しい生活習慣や健康について、お互いに語りあい高めあえるよう努めます。
資生堂はより安全で快適な職場環境の形成に努めるとともに、資生堂健康保険組合と協働し、社員や家族の取り組みを積極的にサポートしていきます。
推進にあたっては、人事担当役員が健康管理責任者となり、直属の人財本部ウェルネスサポートグループと資生堂健康保険組合が協働して各事業所(国内資生堂グループ)をサポートし、社員の健康保持・増進活動を積極的に牽引します。また、健康管理責任者より各役員・部門長・責任者へ働きかけ、社員の自主的な健康への取組みを支援します。
健康管理体制
国内資生堂グループは下記を健康課題と捉え、その課題解決に取り組んでいます。
①健康施策を支える産業保健体制の基盤強化
衛生委員会・安全衛生委員会・産業医職場巡視の強化、ストレスチェック受検率の向上、健康診断受診率100%の継続、健康診断事後措置としての再・精密検査の受診勧奨による早期治療の実現、効果的・効率的な保健指導に向けた運用ルールの改善と内容の充実、健康データの多角的な分析、メンタルへルスケア対策、感染症対応、長時間残業削減について課題の明確化・基盤の強化、などさまざまな活動に取り組んでいます。
②健康施策の実施
美しい生活習慣の浸透、喫煙対策、女性の健康度向上、メンタルヘルスケア対策、がん治療と仕事の両立支援について各事業所の健康課題を踏まえた施策を健康保険組合と共同して展開していきます。
施策 | 課題 | 取り組み | |
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国内資生堂グループ | 資生堂健康保険組合 | ||
美しい生活習慣 | 生活習慣の改善 |
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喫煙対策 | 禁煙の推進と維持 |
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女性の健康 | 女性特有の健康課題への取り組み |
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メンタルヘルス対策 | ストレス耐性習得 繰り返し休務の削減 |
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健康サポートダイヤル24による電話相談(365日24時間)・メンタル面談対応(2021年よりリモート対応開始) | |||
がん治療と仕事の両立支援 | 早期発見と治療・仕事の両立 |
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健康経営で解決したい経営課題に対し、健康投資・取り組みから期待される効果とのつながりを健康経営戦略マップにまとめ、取り組み状況、意識・行動変容における管理指標および健康関連の最終的な目標指標を定めています。
2022年度は、特に戦略マップにおける喫煙率の低下、運動習慣のある者の割合増加、睡眠習慣が良好な者の増加、朝食欠食習慣のある者の割合低下を目指して喫煙対策、健康イベントやセミナーなどの取り組みを重点的に行っていきます。
投資額としては、禁煙率の低下に向けた禁煙施策について計490万円、運動習慣のある社員割合増加に向けた健康イベントや施策について計240万円、メンタルへルス不調の発生予防・早期発見に向けたメンタルへルス施策について計3,858万円を投資し、取り組みを推進しています。(2021年度実績)
社員の健康に対する取り組み状況を、KPIを設定して評価しています。分析した社員の健康データは、国内資生堂グループの健康施策実施に役立てています。
項目 | 分析対象年齡 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 目標 (2025年) |
---|---|---|---|---|---|
定期健康診断受診率 | 全年齢 | 100% | 100% | 100% | 100% |
ハイリスク者への施策の参加状況 (医療職面談実施率) *血糖值、血圧、Hb(2021年度~) | 全年齢 | 50% | 60.6% | 86.5% | 100% |
血圧リスク 1万人当たり人数 180mmHg, 110mmHg | 全年齢 | 11.9 | 16.9 | 16.0 | 10 |
35歳以上 | 14.8 | 23.7 | 20.9 | 15 | |
血糖値リスク 1万人当たり人数 HbA1c9.0%以上 | 全年齢 | 23.4 | 27.5 | 16.1 | 15 |
35歳以上 | 30.0 | 37.6 | 21.6 | 20 | |
貧血リスク 1万人当たり人数 Hb8.5未満 | 全年齢 | 29.1 | 39.2 | 31.5 | 30 |
35歳以上 | 35.1 | 50.0 | 41.2 | 35 | |
運動習慣がある者の割合 *1日30分以上週2回以上 | 全年齢 | 14.9% | 17.3% | 17.8% | 20% |
35歳以上 | 15.4% | 17.6% | 18.3% | 22% | |
睡眠習慣が良好な者の割合 *睡眠で休養が十分に取れている | 全年齢 | 59.4% | 69.2% | 66.4% | 70% |
35歳以上 | 56.8% | 66.1% | 63.6% | 65% | |
朝食の欠食率 | 全年齢 | 25.5% | 25.2% | 26.0% | 20% |
35歳以上 | 22.8% | 21.5% | 22.7% | 18% | |
喫煙率 | 全年齢 | 20.8% | 18.8% | 17.8% | 5%(2030年) |
35歳以上 | 23.2% | 21.4% | 20.1% | ― |
項目 | 分析対象年齡 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 目標 (2025年) |
---|---|---|---|---|---|
禁煙プログラム参加者の禁煙成功率 (参加申込者における禁煙成功者の割合) | 全年齢 | 50.9% | 70.0% | 76.8% | 70%以上を継続 |
行動変容ステージが実行期以上の割合 | 全年齢 | 18.7% | 21.9% | 21.4% | 23% |
35歳以上 | 20.7% | 23.4% | 23.4% | 25% | |
健康に関心がある社員の割合※1 | 全年齢 | 95.4% | 95.3% | 94.8% | 97% |
35歳以上 | 95.7% | 95.3% | 95.1% | 97% | |
メタボリックシンドローム 基準該当者率 | 40〜74歳 | 6.2% | 7.1% | ― | ― |
ストレスチェック受検率 | 全年齢 | 78.0% | 73.4% | 80.7% | 90% |
ストレスチェックの集計結果 (高ストレス者割合) | 全年齢 | 13.2% | 10.3% | 12.4% | 10.0% |
メンタルヘルス研修の参加人数 (e-learning) | 全年齢 | 7,003人 | 11,040人 | 9,779人 | 13,000人 |
がんならびに女性の健康に関する研修の参加人数 | 全年齢 | ― | 11,746人 | 8,898人 | 13,000人 |
健康イベント参加人数 (健康フェア、セミナー視聴含) (20-21年度は健康フェア未実施) | 全年齢 | 1,446人 | 617人 | 1,399人 | 2,000人 |
プレゼンティーズムによる 生産性損失割合※2 | 全年齢 | ― | 35.8% | 35.8% | 34% |
アブセンティーズム※3 | 全年齢 | ― | ― | 100 (基準年) | 95 |
ワークエンゲージメント※4 | 全年齢 | 76点 (従業員満足度) | ― | ― | 社員エンゲージ メント※5 前年比+ (2023年) |
健康経営戦略マップの立案により中長期的な評価指標を定め、健康施策の実行の結果について定量的に効果検証を実施しています。健康診断や生活習慣問診等に加え、時間外労働、ストレスチェック結果および生産性(労働生産性損失割合)等のデータを集計し、健康白書として年度ごとに作成しています※。また、2019年度より、グループ内120組織それぞれに対し集団の健康度をスコア化し、組織の責任者に専門職からフィードバックする仕組みを構築しています。
①喫煙対策 |
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②美しい生活習慣 |
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③女性の健康 |
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当社の喫煙率は、かねて全国平均よりやや高い状況にあったため、2010年には社内禁煙デーや禁煙治療費補助施策をスタートし、その後も事業主と健康保険組合が協働し、取り組みを継続しています。2019年には禁煙推進企業コンソーシアムに参画し、他社の先進的な事例の情報収集や意見交換を行うとともに、社内アンケート等を通して社員の声もヒントに禁煙推進に努めています。
喫煙率
2021年度には17.8%まで低下し(2010年比▲15.7ポイント)年々減少傾向です。今後はさらなる低下を目指し、2030年には5%未満を目標とします。
禁煙支援
保健指導での個別禁煙指導加え、禁煙相談窓口のトライアル実施(一部事業所)により、禁煙に関する幅広い相談に応じる体制づくりを目指しています。健康保険組合では、通年での禁煙治療費用一部補助に加えて、2019年からは期間限定での禁煙治療費全額補助、2021年度には「リモート禁煙外来プログラム」(健康保険組合の全額費用補助)を開始し、2021年度は87.1%と高い禁煙成功率でした。今後も70%以上の禁煙成功率を継続することを目標にしていますが、禁煙成功率を上げることだけでなく、禁煙にトライしやすい施策を展開していきます。
社内禁煙ルール・受動喫煙対策
2012年には建物内禁煙を実現させ、併せて制服着用時禁煙・社用車禁煙とし、2019年5月からは労働時間内禁煙もスタートさせました。新入社員にリーフレットを配布、衛生委員会等を通じて定期的に周知することで禁煙ルールの徹底、受動喫煙の防止を目指します。
情報発信
ポスターやリーフレット、衛生委員会、社内イントラ、社内LIVE配信等を通じて、定期的に情報発信を行っています。喫煙の害や禁煙に関する情報だけでなく、トップメッセージやアンケート結果も紹介し、全社員が禁煙推進に関心を持てるように工夫をしています。
ヘルスサポートプログラム(特定保健指導)の2020年度終了率は53.2%と全国平均(26.9%)との比較において高水準となっています。
| 2018年 | 2019年 | 2020年 |
---|---|---|---|
対象者 (うち、40歳以上) | 1,456人 (1,314人) | 1,541人 (1,382人) | 1,752人 (1,574人) |
終了者 (うち、40歳以上) | 805人 (728人) | 773人 (700人) | 928人 (837人) |
終了率 (うち、40歳以上) | 55.3% (55.4%) | 50.2% (51.4%) | 53.0% (53.2%) |
終了率全国平均 | 25.2% | 27.4% | 26.9% |
毎年、国内資生堂グループ各拠点の健康課題に合わせた健康フェアを実施しており、健康に関する測定会や健康教育、カフェテリアとのコラボ企画を行っています。
※2021年度は、新型コロナウイルス感染症対策として集合型のフェアは開催しませんでしたが、今後は、予防対策を実施しながら集合型での健康フェア開催も検討していきます。
<カフェテリアとコラボによる健康フェア特別メニュー>
【参加社員の声】
「健康を意識するイベントがあるのは良い。」
「基礎代謝はよく聞くけれど、自分がどれくらいなのか初めて知りました。
勉強になりました。」
2019年度より、各組織の健康課題に合わせて、運動・食事・睡眠に関わるセミナーを実施しており、参加者から好評を得ています。21年度はオンラインでのヨガやストレッチセミナー、睡眠セミナーを実施し、セミナー後の睡眠満足度は2割増加するなど、睡眠改善への行動変容への取り組みへと繋がっています。
今後も、運動や睡眠、食習慣等生活習慣改善のための動機づけとなるよう展開していきます。
<セミナー参加者の様子>
【参加社員の声】
「健康と美はつながることを再度認識しました! なりたい姿の大切さを実感しました」
「一人だとあきらめてしまうが、みんなで取り組むことで最後までチャレンジすることができました」
運動習慣が良好な者の割合(30分以上週2回以上):20% 【2021年:17.8%】
睡眠状態が良好な者の割合(睡眠で休養が十分に取れている):70% 【2021年:66.4%】
朝食の欠食習慣がある者の割合(朝食を抜くことが週3回以上ある):20% 【2021年:26.0%】
社員が性別や年齢、国籍に関係なく、個々人の違いを認め尊重し合い、それぞれが力を発揮しイノベーションを生み続ける組織風土をつくるため、ダイバーシティ&インクルージョンを重要な経営戦略の柱と位置づけています。社員が女性の健康課題(月経・妊娠・出産・不妊治療・更年期など)についての理解を高め、誰もが働きやすい環境づくりができるよう、日々取り組みを進めています。
女性の健康セミナー
事業所の特徴やニーズに合わせて、女性のライフステージと健康(女性ホルモン、月経、更年期など)に関する研修を実施しています。
がん(婦人科系がんの内容を含む)eラーニング実施
2019年度より、eラーニングによるがん教育を行っています。がんに関する基礎知識、がん治療と仕事の両立支援制度や相談窓口、がん治療経験社員の経験談をテーマとし、社員のがんリテラシーの向上に取り組んでいます。2021年度eラーニング理解度は98.6% 満足度は96.4%と効果的な内容となっています。
株式会社Cradleサービス導入
株式会社Cradleが提供する、医師や専門家によるオンラインセミナーを通じた社員啓発や婦人科受診に使えるクーポン配布を通して、女性活躍および健康推進に一層取り組みます。
今後の女性の健康に関する目標
女性の健康に関する研修への参加人数:13,000人(2025年) 【2021年:8,898人】
資生堂は、経済産業省と日本健康会議が推進する「健康経営優良法人2023大規模法人部門(ホワイト500)※1」に資生堂グループ国内関係会社20社とともに認定されました。
近年、ウェルネスやウェルビーイングが注目され健康経営※2を目指す企業が増えています。
今回、健康経営度調査の参加企業数が3,169社と過去最多(昨年比10%増)のなか、資生堂グループは大規模法人部門で上位約10%に入り、過去最高の成績でホワイト500の認定を受けることができました。
今後もさらなる高みを目指して、社員の健康と安全を保持・改善するための取り組みを行っていきます。
認定法人名 | 左記法人とともに認定された法人名 |
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株式会社資生堂 | 株式会社ジャパンリテールイノベーション |
KODOMOLOGY株式会社 | |
株式会社ピエールファーブルジャポン | |
資生堂アステック株式会社 | |
株式会社イプサ | |
株式会社エテュセ | |
株式会社エトバス | |
株式会社エフェクティム | |
株式会社ザ・ギンザ | |
株式会社資生堂パーラー | |
花椿ファクトリー株式会社 | |
資生堂インタラクティブビューティー株式会社 | |
資生堂ジャパン株式会社 | |
学校法人資生堂学園 | |
資生堂企業年金基金 | |
資生堂健康保険組合 | |
公益財団法人 資生堂子ども財団 | |
資生堂美容室株式会社 | |
資生堂薬品株式会社 | |
労働組合 |
国内資生堂グループでは社員の安全・健康を第一に考え、新型コロナウイルスへの感染予防・感染拡大予防を実現すると同時に、社員・組織のパフォーマンスや生産性を向上させる新たな働き方(資生堂ハイブリッドワークスタイル)を導入しました。
資生堂ハイブリッドワークスタイルにより、業務内容に応じて「オフィス」「リモート」勤務を柔軟に選択できるようになり、社員の働き方が多様化しています。国内資生堂グループでは、リモート勤務において生じる、これまでとは異なる健康課題に対して取り組みを行っています。
社員への情報発信
リモート勤務を選択している社員へアンケート調査を行い、現状やニーズを把握しました。アンケート結果を踏まえ、食事や運動に関するコラムや動画、産業医やカウンセラーのコラム、リモート勤務中の過ごし方のポイントについて情報を発信しています。
ランチタイムセッション(LIVE配信)
社員のストレス軽減やコミュニケーションを目的として、腰痛、女性の健康、飲酒対策など様々な情報をLIVE配信しています。
<ランチタイムセッション(LIVE配信)>
オンライン面談の実施
リモート勤務を選択している社員に対する面談や、感染予防策の一環で、ビデオ通話を用いた面談を実施しています。リモート勤務中でも産業保健スタッフとのコミュニケーションが取りやすくなり、迅速な対応が可能となりました。
健康管理室の感染対策
出社した社員が、健康管理室を来室した際の新型コロナウイルス感染対策徹底のため、消毒用アルコール設置、面談スペースへのアクリル板・パーテーション設置などを行い、感染予防・感染拡大予防に努めています。
コロナワクチン職域接種
2021年8月より、国内資生堂グループの各拠点にて、社員および社員の家族等を対象に新型コロナウイルスワクチン職域接種を実施。約1万名の方々に2回接種を完了することができました。また、2022年は4月より、3回目接種を実施しました。
資生堂は、資生堂グループで働く人※1が成果を出すことで社会へイノベーションを発揮する、その大切な経営理念であるPEOPLE FIRSTを追求します。そのために、資生堂グループで働く人が安心・安全に働くことのできる環境を整備し、すべての職場における休業災害※2ゼロを実現することをビジョンとして掲げます。
この指針は、国内外の資生堂グループに従事する役員・社員(派遣社員・協力会社社員含む)へ適用します。
<予防対策>
リスクアセスメント等※3の徹底や、労働災害データの分析をもとに、それぞれのビジネス領域の課題を特定し、改善策を立案・実施することで、誰もが健康で安全に働ける職場づくりを実践します。
<継続的教育・ルール順守>
自身の安全と周囲の人々の安全に責任を持ち、安全衛生に関する教育を定期的に受け、それを実践するとともに、決められたルールに従い行動します。
<改善活動>
資生堂グループ内で発生した、労働災害事例、並びにその改善策を、労働安全衛生マネジメントシステム委員会において、トップマネジメントおよび各ビジネス領域の安全衛生担当者、現場社員で共有・協議し、安全対策を積極的に実践します。
この行動指針は、「米国国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health)」の労働衛生のヒエラルキーコントロールを参照し作成しています
推進にあたっては、人事担当役員が安全衛生管理責任者となり、国内外のビジネス領域を管轄し、資生堂グループで働く人の健康・安全保持および増進を積極的にけん引します。また、労働安全衛生における重要なコミットメントについては、取締役会の管理監督を受けています。安全衛生管理責任者より各役員・部門長・責任者へ働きかけ、資生堂グループで働く人の自主的な健康・安全への取り組みをサポートします。
資生堂グループの国内拠点では、法令に従い衛生委員会および安全衛生委員会を設置し、調査審議を通じて安全で快適な職場環境づくりに努めています。研究所・工場では、労働安全衛生方針を定めるとともに安全衛生委員会を設置し、危険箇所や危険行為の改善・改良を行っており、国内工場では、休業災害ゼロを目標とし、重大事故の発生防止に努めています。
労働安全衛生マネジメントシステム体制
資生堂グループはグローバルでトップレベルの安全を推進する企業になることを目指します。そのKPIとして2030年までに休業度数率※4「0.1以下」達成を目標値として設定しました。安全衛生のリスクに対処するために、定量的な目標を伴うアクションプランと優先順位を組み入れています。安心・安全に働くことができる環境を整備し、すべての資生堂グループで働く人がいきいきと働くことは、事業リスクやコストの低減、収益拡大につながります。現在は、国内全産業および、化学工業・製造業と比較し、資生堂グループで働く人の安全を十分に確保できていますが、さらなる充実を図るため、さまざまな施策を実施していきます。
<2023年目標>
▼国内資生堂グループと国内全産業・化学工業・製造業界の休業度数率の比較
資生堂グループは労働災害データの分析をもとに課題を特定し、定量的な目標を伴うアクションプランと優先順位を策定しています。
資生堂グループの2022年の国内社員・派遣社員の労働災害発生件数は111件でした。そのうち、休業を伴う災害は26件であり、派遣社員が被災したケースは2件でした。
全111件の労働災害のうち、転倒・転落の事故は42件発生し、そのうち階段での事故が18件と多く発生していることをふまえ、「階段昇降時は手すりを持つ」ことを全社の共通ルールとしています。さらに転倒・転落での災害発生件数のうち、76%がパーソナルビューティーパートナーや、美容室勤務などの店頭で勤務し、発生する事業場の特徴も明確であるため、よりよい職場環境のためにはテナント側との日々の連携が重要です。まずは本社部門において効果的な取り組みを見極め、関係会社へも展開していく必要があります。
また、資生堂グループで働く人が日常的に安全に働く意識を高めていくことが、安全施策を効果的に導入するために必要な課題ととらえています。今後の適切な施策・行動を明確にするため、資生堂グループで働く人の安全認知度を図る指標として「安全文化診断」を安全衛生教育に取り入れていく予定です。
2030年までの安全衛生に関する目標を達成するには、各拠点のガバナンスに委ねるのではなく、全社共通の安全教育の実施や、ビジネス領域を超えた情報共有を通し、未来の事故を予防する必要があります。さらに、特に労働災害の多い50~60代への安全教育の強化、今後より規制が強まる安全衛生法規制への対応が必須であり、加えて、重篤な労働災害に伴う操業停止のリスクや、社会からの信頼を損なうリスクを低減する必要があります。
上記課題を考慮したうえで目標達成に向けて、2022年度より「労働安全衛生マネジメントシステム体制」を構築し、経営層が関与すべき取り組みとして位置付け、安心・安全に働く環境を守る活動を実践しています。国内資生堂グループの取り組みとしては、毎月の労働災害の発生状況や発生の要因、対策を分析し、四半期ごとに開催する労働安全衛生マネジメントシステム委員会において、安全衛生管理責任者に報告・共有しています。
7回目の開催となる2023年4月の委員会では、トップマネジメント・各ビジネス領域の安全衛生担当者が集い、掛川工場でキックオフイベントを開催しました。参加メンバーは、掛川工場で実際に労災が発生した場所を確認し、担当者から発生原因や事故後の対策について説明を受けることで、社内でも多く発生している「階段での事故について考える機会となりました。また、安全体感研修や同日に実施した労働安全衛生マネジメントシステム委員会では、労働組合も参加し、国内資生堂グループの健康と安全について意見交換しました。
今後も定期的に実際の現場を安全衛生担当者が直接確認する機会を設け、現場担当者の意見を聞き、資生堂グループで働く人が安心して働ける環境づくりを推進します。
工場・研究所・店頭・オフィスの担当者と各領域の役員が参加
労災発生場所と、その対応策の共有
さらに、安全衛生活動を通じた企業内における「安全文化」の醸成、過去に発生した労働災害結果および人間の行動特性を分析し、未来の事故を予防するための自衛策や、発生しやすい場所や条件などを網羅した安全教育トレーニングの実施も継続的に行っています。今後は業務災害のみならず、資生堂グループで働く人を守るため、通勤災害の削減も推進します。
各ビジネス領域における今後の取り組み内容は以下の通りです。
工場・物流センター
工場・物流センターでは、国内外共通の労働安全衛生基準を定めるGSMS(グローバル・セーフティー・マネジメント・システム)の展開を進めています。工場・物流センターでは、過去の労働災害の検証を含め、さまざまな教育訓練を実施していますが、掛川工場では、生産エリアの従事者全員(間接雇用や障がいのある社員を含む)を対象に、安全体感研修として、「危険を危険と感じる」訓練を行いました。2023年度からGSMSの運用を開始し、併せて2024年度末までに世界各国・各地域の生産拠点において、ISO 45001の認証を取得することを計画しています。(2023年4月時点で取得済みの自社工場:上海工場・北京工場・ベトナム工場・新竹工場・掛川工場・ジアン工場・バル・ド・ロワール工場)ISO 45001取得工場では、起こり得る緊急事態への準備および対応のために必要なプロセスを確立し、実施しています。また、そのプロセスの維持管理、継続的改善のため計画的な教育訓練、定期的な内部監査と評価を行っています。
2023年にISO 45001を取得した掛川工場のメンバーとチーフサプライネットワークオフィサー
研究所
研究所では、国内外の拠点ごとに安全衛生についての管理責任者を設定し、国内外で発生した労働災害やヒヤリハット(危ないことが起こったが、幸い災害には至らなかった事象のこと)についての情報共有を行っています。また国内の研究所では保有する化学物質を独自のITシステムで管理しており、増加する化学物質に対するリスクアセスメントを厳格かつ効率的に実施することで遵法対応を実現し、将来にわたって研究員の健康と安全を守ることを目指します。
店頭・営業&オフィス
店頭・営業およびオフィスでは、毎月の安全衛生委員会を基軸とした労災事故の予防活動を推進しています。事故の発生状況や原因を分析し、その情報をエリア間で共有しています。ヒヤリハットの情報も継続的に収集して危険の予測に努め、多角的な視点で対策の検討を行い、わかりやすい表現で現場へフィードバックすることに努めています。近年はとくに、店頭などでの転倒事故の再発防止に力を入れ、安心・安全な職場環境づくりを一歩一歩進めています。
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