資生堂企業理念を実現するため、私たちは「PEOPLE FIRST」の考えに基づき、ジェンダーや年齢、国籍といった属性や考え方の違いにかかわらず、一人ひとりの違いを認め尊重し合い、新しい価値創造に向けて議論する風土醸成、人事制度や施策を進化させ続けています。職場でのダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進することで、新しい価値を創造します。
資生堂グループの80%以上が女性社員です。グループ社員のうち女性管理職はグローバルで58.8%を占めます。また、取締役会における女性比率は45.5%(2024年4月時点)、日本国内の女性管理職比率は40.0%(2024年1月時点)となっています。女性のエンパワーメントがイノベーションを創出し、資生堂のさらなる成長と社員の自己実現につながると考え、2030年までに日本国内のあらゆる階層における男女比率を機会均等の象徴である50:50にすることを目指しています。
日本国内では、1990年代初めから育児・介護休業法に先駆け、育児休業制度、育児による短時間勤務制度を導入するなど、長きにわたり、女性のライフイベントを支援するさまざまな制度や支援策を推進してきました。具体的には、事業所内保育所「カンガルーム汐留(2003年)※1」「カンガルーム掛川(2017年)」を開設し、いずれも近隣企業にも開放してきました。さらに「多様な働き方に合わせた柔軟な保育」を実現するため、2023年4月にシッターサービスを中心とした総合的な保育サービス「KANGAROOM+(カンガルームプラス)」を開始しました。集団保育ではなく1対1の保育サービスにすることで、時間と場所の自由度を上げるとともに、「小1の壁」※2に代表される社員の保育ニーズに合わせて、対象を未就学児から小学生までに広げています。
また、育児による短時間勤務を取得する美容職社員の代替要員体制として「カンガルースタッフ制」を2008年に導入し、2023年は全国で1,411名の育児期の美容職社員の両立を479名のカンガルースタッフが支えています。このような取り組みの結果、国内資生堂グループにおける育児休業からの復職率は92.3%に及び、高い水準を維持し続けています。
資生堂は女性リーダー育成塾「NEXT LEADERSHIP SESSION for WOMEN」を開催しており、2023年は64名の女性社員が参加しました。この育成塾は、女性社員がマネジメントや経営のスキルを学びながら、自分らしいリーダーシップスタイルを見つけるプログラムです。同プログラムの開始から7年経ち、受講した241名の女性社員(退職者を除く)のうち47%(114名)が昇格を遂げました。女性管理職比率を50%に引き上げるために、次期課長・部長・経営幹部候補向けの3つのプログラムに拡大し、着実に次世代のリーダーを育成するリーダーシップパイプラインの強化につなげています。また、エグゼクティブオフィサー※3と女性社員によるメンタリングプログラム「Speak Jam」には、2020~2023年にセールス、生産、R&Dなどさまざまな領域から累計165名の社員が参加しました。
その他にも社員の健康や安心・安全、働きがいと、さらなる生産性の向上を通じた事業成長を目指し、「コアタイムのないフレックスタイム制度」への改定や「テレワーク制度の国内グループ全社への展開」、業務の目的に合わせてリモートワークとオフィスワークを柔軟に組み合わせる「資生堂ハイブリッドワークスタイル」を導入するなど、女性に限らずさまざまな属性の社員が働きやすい職場環境の整備を推進しています。
多様な社員がその能力を発揮し、それぞれが主体的にキャリア構築しながら活躍するための風土醸成を強化しています。
資生堂では、3月8日の国際女性デーを機に、ジェンダー平等、DE&Iについて理解を深めることを目的に毎年さまざまな取り組みを進めています。
2024年は、資生堂チーフDE&Iオフィサーの廣藤綾子、資生堂グループマネージャーのBea Asavajaru、Angelina Puzikovaの女性リーダー3名が、それぞれの経験から資生堂のDE&Iについて語り、資生堂ウェブサイトをはじめインスタグラム、LinkedIn、イントラネットなどで社内外に共有しました。
また、各リージョンでも国際女性デーについてさまざまな取り組みをしています。
シンガポールに拠点を置くアジアパシフィック地域本社とトラベルリテール地域本社では、資生堂の歴史とインクルージョンをテーマに、社内外のリーダーによるバーチャルパネルディスカッションを開催しました。また、ネパールの女子教育を支援する社会的企業「Books Beyond Boarder」とパートナーシップを組んで、ネパールの女性のしおり職人への支援の一環として、資生堂 International Women's Dayのロゴ入りのしおり作成を依頼し社員に配布、創設者からネパールの女性職人支援について学びました。そのほか、「Project Dignity(特別支援を必要とする成人のために活動している地元企業)」とパートナーシップを組み、社員同士のネットワーキングを開催しました。
資生堂マレーシアでは、職場と社会における女性の功績と貢献を称え、社内のDE&I促進を目的に約50人の社員が集まり、国際女性デーを記念したイベントを開催しました。
台湾資生堂では、女性の心の健康に焦点をあて、アートを通じて自分自身の内面を探求するイベントを実施しました。
米州地域本社では、社内の自主活動グループ「Women Empowering Women」の呼びかけで、リージョン横断キャンペーンを実施し、国際女性デーをテーマとした社員のポートレート写真をSNSで発信しました。また、「Women Empowering Women」のエグゼクティブスポンサー、グループリーダーから社員にビデオメッセージを配信。社内イベントや、女子へのメンターシッププログラムに取り組む非営利団体「Step Up」との活動を紹介し、国際女性デーを盛り上げました。
女性リーダーによる資生堂のDE&Iインタビューはこちら
性自認や性的指向による差別やハラスメントをなくし、社員がありのままの姿で職務にあたれるよう環境の整備や啓発に取り組んでいます。
日本国内では、2017年から社員の同性パートナーを異性の配偶者と同じように福利厚生等の処遇を受けられるように就業規則で定めています。人事部による社員向けのLGBTQ+の理解促進も行っています。2017年と2022年には企業のLGBTQ+支援を評価する「Work with PRIDE」にて最高のゴールド認定を受けました。また、2020年には婚姻の平等(同性婚の法制化)キャンペーン「Business for Marriage Equality」に資生堂も賛同しました。
店頭に立つ美容職社員約8,000名はLGBTQ+対応研修を受講し、すべての人を受け入れ支える対応応対にいかしています。
資生堂では、社員のDE&Iリテラシー向上の取り組みを実施しています。2023年からは日本地域でマーケッター、クリエイターに向けたDE&Iトレーニングを推進しています。生活者と重要な接点を持つマーケティング、クリエイティブを担う社員が、DE&Iのアプローチからブランドや事業活動を通じて新たな価値を創造できるよう、マーケティング・広告における適切な表現、対応方法などを学び、⾏動変容につながるポジティブな反応を得ました。
2024年には、日本地域のエグゼクティブオフィサー、部門長といったリーダー層に向けたDE&Iトレーニングを開始しています。
日本国内の資生堂グループでは約400名の障がいのある社員が職場や職種を限定することなく、それぞれの経験や強みをいかして働いています。障がいの内容や程度もさまざまですが、一人ひとりの状態に合わせた配慮や工夫を重ね、職場の貴重な人材として活躍しています。
株式会社資生堂の障がい者雇用率は4.52%、日本国内の資生堂グループの障がい者雇用率は2.82%です(2023年6月時点)。主に知的障がいのある社員で構成されている特例子会社の花椿ファクトリー株式会社は、東京をはじめ、栃木、神奈川、静岡、大阪、京都、福岡の地域に9カ所の拠点を持ち、約60名を超える障がいのある社員が働いています(2023年6月時点)。
障がい者雇用ポリシー:
上記の障がい者雇用ポリシーに基づき、障がいのない社員と同じ人事制度で多くの障がい者が正社員として勤務し、研修を含めた人材育成プログラムも障がいのない社員と同じ内容となっています。
採用活動においては、希望する障がいへの配慮を事前にヒアリングしたうえ、面接を実施し、障がいのある学生向けには仕事の理解促進を目的に、仕事体験ワークショップを実施しています。入社前においては、配属先の上司と人事が必要な配慮を確認し合うとともに、必要に応じて配属部門の社員を対象に障がいへの理解を深めるためのセミナーなども行っています。
入社後も、上司や障がいのある社員の定着を支援する専任の担当者、産業医や保健師と連携しながらフォローアップを継続しています。障がいに関わる検査や通院、リハビリの際は「障がい者通院休暇」を利用することができ、障がいの状況に応じた支援ツールや設備も、本人の要望に応じた柔軟な環境整備を進めています。さらに、2019年から始まった「SWING視覚障がい者の職域拡大プロジェクト」では、視覚に障がいのある社員がみずから提案し「通信営業」という新しい職域を生み出しました。視覚に障がいがあっても働けるシステムや体制を構築し、2021年から3年にわたって採用を継続し、2023年も1名、3年間で4名の視覚に障がいのある営業担当が業務に就いています。管理職向けにはトレーニングの中に障がい者雇用についてのコンテンツを取り入れ、人事担当者向けに情報交換の場を設けるなど、全社的に障がい者雇用への理解を深める取り組みを行っています。
2021年には「インクルーシブ社会」の実現を目指す国際イニシアティブ「The Valuable 500」の考えや活動に賛同し、加盟しました。「The Valuable 500」は、障がい者がビジネス、社会、経済にもたらす潜在的な価値を発揮できるような改革を、ビジネスリーダーが起こすことを目的とした取り組みです。今後も、障がい者の雇用や障がいのあるお客さまへのサービス提供など、本業であるビューティービジネスを通じて障がい者インクルージョンへの取り組みをさらに進めていきます。
資生堂は、海外地域事業所だけでなく、日本国内においても多様な国籍・文化的背景を持つ人材を積極的に採用しています。人材の多様化を価値創造につなげるため、2018年より日本国内においても英語公用語化を推進しており、アンコンシャスバイアスに関するワークショップやeラーニングを通じてインクルーシブな組織風土を醸成することで、多様なバックグランドを持つ社員がさまざまな部門で活躍しています。なお、本社において外国籍の方を採用する際は在留資格など入国管理制度を遵守し、入社後は就業規則を遵守して適切に処遇しています。また、信仰の多様性への配慮として、汐留オフィスには祈祷室を設けています。
東京証券取引所は、「コーポレートガバナンス・コード」において、実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を公表しており、その中で、「上場会社は、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の多様性の確保に向けた考え方と測定可能な目標およびその状況を開示すべき」としています。
資生堂は、女性・外国人・中途採用者も含めて、個々の属性や考え方の違いにかかわらず、個々人の違いをお互いに尊重し合い、「個の力を強くする」「人の力を最大化する」ことで組織力を強化し、「強い会社」をつくることを推進しています。それによって、中核人材も多様性が確保されると考えています。
女性・外国人・中途採用者の状況は、「社会データ」をご覧ください。
女性活躍支援に関する測定可能な目標については、上記の社会データのサイトに示されているとおりです。外国人や中途採用者の中核人材登用については、㈱資生堂での2024年1月時点の管理職のうち外国人は約2%、中途採用者は約33%となっています。当社は、その他のバックグラウンドを持つ社員との差がないと捉え、特段の目標設定は行っていません。
コーポレートガバナンス・コードの各原則と資生堂の対応はこちら
資生堂のベテラン社員が意欲と能力のあるかぎり働き続けられるよう、2006年より60歳で定年を迎えた後の再雇用制度を導入しています。2021年には、担う役割と処遇体系を強化した「ELパートナーズAdvanced制度」として改訂しました。人生100年時代の到来を見据えて、定年後も引き続き自己成長と会社への貢献に高い意欲を持つ社員が、年齢に関わらず積極的に活躍できるよう制度を転換しました。
日本国内の資生堂グループでは、労働関連法規に則り、有期契約社員を雇用し、法令で定められた各種の社会保険や休暇についても、就業規則や各種規程に則り適切に処遇しています。法令に則り、2018年からは契約期間が通算5年を超える有期契約社員から申し込みがあった場合には無期契約への転換を進めています。
国内資生堂グループでは、労働者派遣法に基づく派遣社員が就労しています。資生堂グループでの派遣社員の就労にあたっては、労働者派遣法や派遣先の講ずべき措置に関する指針、その他の法令に基づき、派遣会社との契約書の締結や台帳の作成・管理、管理責任者の設置などを行っています。今後も、法令の改正や解釈の変更に対して適切に対応していきます。
資生堂のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の取り組みは、さまざまな団体から表彰を受けました。今後も、女性に限らず外国人やキャリア採用者など多様なバックグラウンドを持った社員の活躍を支援し、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)をさらに加速させていきます。
外部評価・受賞についてはこちら
世界経済フォーラムとマッキンゼー・アンド・カンパニーが「DE&I」(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を加速させることを目的として立ち上げた「The Global Parity Alliance」において、2022年度の「DEI Lighthouse」に唯一の日本企業として選定されました。
一般社団法人work with Prideが職場におけるLGBTQ+などのセクシュアル・マイノリティへの取り組みを評価する指標「PRIDE指標」において、資生堂は2017年、2022年に最高のゴールドを獲得しました。
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