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肌内部の毛細血管と肌弾力には深い関係があった!?

IFSCC Conference 2019 ミラノ大会 最優秀賞(口頭発表部門)

「ホリスティックビューティ -毛細血管の3次元的可視化とその老化における皮膚物性への関与-」

「ホリスティックビューティ -毛細血管の3次元的可視化とその老化における皮膚物性への関与-」

2019年 IFSCCミラノ大会で最優秀賞(口頭発表部門)を受賞した高垣研究員

どんな研究なの?

肌内部の毛細血管を独自の特殊技術で画像化したことで、肌の弾力と深いかかわりがあることを突き止めた!

私たちの身体中に張り巡らされた血管。すべてつなげ合わせた長さは、約10万㎞(およそ地球を2周半)以上とも言われています。そのうちの90%以上を占めているのが毛細血管です。この毛細血管、加齢とともに減少するという話を聞いたことはありませんか? 初めて聞く方も、「加齢」という言葉とセットで語られると、なんとなく「そういうものなんだ」と納得してしまうのではないでしょうか。
この研究は、資生堂の独自技術「血管3次元可視化技術」を用いて毛細血管を可視化したことで、毛細血管と肌の弾力に深い関係性を見出したというもの。毛細血管の構造を3次元的に見たことで新たな視点が生まれ、始まった研究と言えます。

何が分かったの?

毛細血管の構造が加齢で変化すること、さらには血管状態と肌弾力に相関があることが分かった!

実際の3次元可視化画像を見ると、20代の毛細血管は密集して表皮近くまで立ち上がっているのに対し、50代では特に表皮近くの密度が減少しているのが分かります。まさに「加齢とともに毛細血管が減少する」ことが誰の目にも明らかになった画像と言えます。

毛細血管構造の加齢変化

この画像をよくよく見ていると、肌の表皮近くにおいて同じように加齢とともに減少していく代表的な現象が思い浮かんできませんか? そう、「肌弾力」です。こうして毛細血管が柱のような役割を果たすことで肌の弾力を支えているのではないかという新たな仮説が生まれ、肌弾力と毛細血管の関係を調べたところ、この2つに相関が認められたのです。

肌の弾力と毛細血管の関係性

また、肌弾力といえばコラーゲンが重要な存在として知られています。
そこで、毛細血管とコラーゲンの関係を調べたところ、毛細血管の周りにコラーゲンの産生が観察されました。これは、毛細血管が周囲の線維芽細胞に対してコラーゲン産生を促す指令役を担っている可能性を示しています。

毛細血管の周りに産生された「コラーゲン」画像

さらに研究を重ねると、血管の内皮細胞に発現し、周りの物質との接続を担う「インテグリンα5」が肌弾力の維持に重要な分子であることが分かりました。コラーゲンの産生にも関与しているこの「インテグリンα5」も、残念ながら加齢によって減少してしまう因子の一つ。つまり、肌の弾力を保つには、この「インテグリンα5」を減らさないようにするケアが重要なのです。
現在では「インテグリンα5」の発現を増やす成分の発見に至っています。今後はこの受賞研究を活用し、新たな商品の開発に役立てていく予定です。

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