化粧品に配合する成分の開発や、それを安定した製剤として完成させるマテリアルサイエンス技術は資生堂の強みのひとつです。成分一つひとつの機能・品質の追求はもちろん、有効成分を安定して配合し、心地よい感触を実現するには高度な技術が求められます。
さらに私たちはスキンケア製品はもちろんのこと、サンケアやメイクアップ製品においても、「肌に塗布している時」に最も感触がよく、機能を発揮することが重要と考え、実際に肌に塗布した様子を詳しく研究しています。
ヒアルロン酸(以下、HA)の体積をコントロールする「Shape-Shifting HA技術」を開発しました。新技術ではマグネシウムイオン(以下Mgイオン)の添加によってHAが収縮し、通常のHAと比べて角層への浸透性が劇的に高まります。
高い乳化安定性と使用感・効果感を高次元で両立させる、画期的な乳化技術の開発に成功しました。さらに、東京理科大学との共同研究により、世界で初めて本技術による乳化界面の撮影に成功し、本乳化メカニズムを解明しました。
これまでの乳化で一般的に用いられている界面活性剤を使うことなく、さまざまな種類の油と水を自由な配合比率で自在に混ぜることができる、全く新しい乳化技術「コアコロナ乳化」を開発しました。両立が困難だった「みずみずしい塗り心地でありながら水に強いサンスクリーン」や「劇的にうるおうのにべたつかない保湿クリーム」など、画期的な化粧品のレシピを生みだす可能性を持つ新たな乳化技術となります。
心地よい使用感触を実現する化粧品の研究開発を進めています。この度“塗布中にリッチなコクがありながらもスッと肌になじみ、塗布後の肌がべたつかない”という特徴をもった、これまでにない心地よい感触を実現する成分(新規水溶性高分子)の開発に成功しました。
マスクへの色移りのしにくさとみずみずしい透明感のある仕上がりの持続を両立することに成功しました。
分析技術は基礎研究や化粧品開発を支えるとともに、お客さまにもわかりやすい情報として提供しています。
3つの分光技術(「近赤外分光イメージング」、「自発ラマン分光法」、「非線形ラマン分光法」)により、皮膚切片を特殊な薬剤等により処理する必要のあった従来の技術では観察が難しかった、「生きたまま」の状態の皮膚の構成成分の分布とその変化挙動を、非侵襲的に評価することを可能にしました。これにより、水・タンパク質・脂質などの皮膚成分の外部環境応答や、皮膚の新陳代謝に関係する表皮の分化の詳細な過程を、可視化することに初めて成功しました。令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰で科学技術賞(研究部門)を受賞。
関連する論文 (1) Egawa M et al, Visualization of Water Distribution in the Facial Epidermal Layers of Skin Using HighSensitivity Near-Infrared (NIR) Imaging. Appl Spectrosc. 2015 Apr;69(4):481-7.
化粧品の微細な構造を観察するために、最新の電子顕微鏡“cryo FIB-SEM”を活用した観察技術を開発しました。この観察技術は瞬時に試料を凍結してダメージを極限まで抑えながら高倍率で観察することが可能なので、化粧品中の乳化粒子や粉末の分散状態を「リアルに」かつ「ありのままの姿」をナノオーダーで観察することができるようになりました。また、化粧品を塗ったときに肌の上にできる膜(塗布膜)の状態や塗布膜中の構造の変化も精細に観察でき、さらに生体試料の3次元画像化も可能となったため、生体試料の状態観察ができるようになりました。また化粧品の有用性評価などへも幅広く活用しています。
企業情報
ブランド
サステナビリティ
イノベーション
投資家情報