資生堂は、これまでの知見や経験を発展させ、国際機関、民間企業、地方自治体、関係団体などと連携し、女性が経済的に自立すること、また意思決定機関における女性の参画があたりまえの姿になることなど、ジェンダーにかかわらず、公正な機会を得ることで、一人ひとりが自分らしく生きられる社会の実現に貢献していきます。
資生堂は日本社会全体のジェンダー平等の実現を目指すリーディングカンパニーとして、自社での取り組みをさらに進化させ、女性活躍のための支援活動に注力しています。
2023年に発足した「資生堂DE&Iラボ」では、多様な人財が持てる力を発揮することで、異なる価値観や考え方が新たなイノベーションを生むまでのプロセスを東京大学との共同研究で検証し、企業成長との関係を実証しようと取り組んでいます。また、これらの研究で得られた知見は自社内だけでなく社会にも共有することで、DE&Iの実現による日本経済の成長促進に貢献していきます。
2024年3月には、「資生堂DE&Iラボサイト」をオープンしました。「資生堂DE&Iラボ」で得た研究結果、および当社のこれまでの取り組みや学びを社内外に公表することで、日本社会のDE&I推進に寄与することを目的としています。先進企業としてDE&Iの実現による日本経済の成長促進への貢献を目指し、美容職社員の働き方改革や女性管理職育成プログラムなど、これまでの知見や実績を「ACTIONS」、東京大学の山口慎太郎教授のチーム※と共同で進めている、多様な人材の活躍と企業成長の関係についての実証研究で得た結果を「RESEARCH」として公表しています。
「資生堂DE&Iラボ」のサイトはこちら
日本企業の役員※1に占める女性比率の向上を目指す「30% Club Japan」は英国発祥のグローバルイニシアティブであり、日本では2030年をめどにTOPIX100企業で女性役員の比率30%※2を達成することを目標として2019年に発足し、2022年に第2期がスタートしました。当社 代表執行役 会長 CEO 魚谷雅彦が第1期に続き、第2期の会長を務め、TOPIX 100、TOPIX Mid 400に含まれる企業34社※3の会長・社長からなるコミュニティ「TOPIX社長会」で活動しています。
「TOPIX社長会トップ会議」は、2023年までに9回開催され※4、「30% Club Japan」のメンバーであるTOPIX100、TOPIX Mid 400の会長・社長、延べ172名が参加しました。イノベーションの創出には変化・対応力の高い組織カルチャーへの変革が必要であり、そのためには、とりわけ多くの部下を持ち、日常的な業務執行への影響が大きい執行責任者層(執行役員・ライン部長(組織長)層)のジェンダーバランスの実現が極めて重要であるとの考えに基づき、「執行役員・ライン部長への女性登用」というテーマに加えて多様性をいかす組織カルチャー変革など、より幅広いテーマについて参加各社の事例を通じて活発な議論を展開しました。また、参加企業の実務責任者で構成されたプロジェクトマネジメントチーム(34社約80名)では、「TOPIX社長会」を通じて浮き彫りになった女性のキャリア成長を阻む3つのゲートに対応すべく、企業横断でのプロジェクト体制を組み、若手女性社員のキャリア意識醸成や育児との両立期社員に対するベストプラクティスの共有、女性幹部候補者と同会のトップとの交流会など全社共通の課題解決に向けた具体的施策を推進しています。
また、第2期からは「30% Club Japan」の特長でもある、企業を起点とするステークホルダーで社会へ働きかける「統合的アプローチ」が本格稼働し、機関投資家33社から構成されるインベスター・グループ、9大学からなる大学グループと「TOPIX社長会」との連携によるアクションが具体化しています。
5年間の取り組みにより、「TOPIX社長会」参加企業の役員に占める女性比率は国内上場企業の平均を12.5ポイント上回る23%に上昇し、事業責任者や工場長などこれまで女性には不向きとされていたポストへの登用も進むなど、意思決定場面の女性参画が着実に進化しています。
資生堂は、女性活躍推進による同質性からの脱却と、そこから生まれるイノベーションの創出に向け、日本企業の変革をリードしていきます。
「30% Club Japan」のサイトはこちら
資生堂は、2023年に東京都が主催する「東京都くらし方会議」に株式会社資生堂 取締役 常務 チーフD&Iオフィサー 鈴木ゆかり(当時)が委員として全7回参加しました。この会議は、都民の働き方や生き方に関わるさまざまな社会の制度や会社組織の状況などについて、有識者との意見交換を通じて検討を進めることを目的に東京都が設置したものです。第4回目の会議では、当社のDE&Iの取り組みを共有し、女性活躍推進においてさまざまな制度や施策で保護するのではなく、活躍・成長を支援する視点が必要であることを伝えました。また、東京都、山形県、日本商工会議所などが主催する「女性首長によるびじょんネットワークin 栃木」では基調講演に登壇し、社内の女性活躍推進の具体的な取り組みを紹介しました。
このほか、企業、地方自治体、大学、省庁、各種団体から、ジェンダー平等や女性活躍推進についての外部講演を依頼され、2023年の講演参加者は延べ7,245名(主催約40社/団体)にのぼりました。講演では、女性リーダー育成のためのトップのコミットメントの重要性をはじめ、資生堂の女性活躍推進の歴史や、意識改革のためのさまざまな人事施策など幅広い内容を取り上げています。代表的なものとしては、福島県主催の「ふくしま女性活躍推進シンポジウム2023」や栃木県主催の「とちぎ女性活躍応援フォーラム 2023」に登壇しました。これからもジェンダー平等の実現に向けて蓄積した資生堂の知見や経験が、社会の変革に役立つよう取り組んでいきます。
資生堂では、「企業が連携して子育て環境を改善していく」という考えに基づき、2017年には企業が持つ事業所内保育所の運営受託を事業の中核としたKODOMOLOGY株式会社を設立し、保育事業をスタートさせました。「カンガルーム汐留(2003年)」※1「カンガルーム掛川(2017年)」の運営に加えて、他企業の事業所内保育所の設立支援、運営も受託しています(静岡県内2施設、神奈川県内1施設)※2。2022年から、男性の育休取得についての新たな法制度の段階的施行を受け、カンガルーム汐留において出産を控えた社員およびパートナーのための育児トレーニング「KODOMOLOGYイクトレ」を開催しています。また、2023年4月より、産前期および乳幼児から小学生までの幅広い年齢層の子どもを持つ当社および提携企業の社員向け子育て支援サービス「KANGAROOM+」(カンガルームプラス)を展開しています。2023年11月には、「KANGAROOM+」において、生後3カ月未満の子どもを持つ社員を対象にした「産後サポートサービス」を開始し、産後ケア専門資格を有するスタッフ(保育士)が社員の自宅に訪問し、産後家族の家事育児をサポートする仕組みを整備しました。
日本における女性研究者の比率は18.3%※1と欧米と比べて低い水準にとどまっています。この現状を改善させるため、資生堂は自然科学分野で世界をリードするイノベーティブな研究に従事する国内の女性研究者を継続して支援しています。2007年より助成制度「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」を運営し、16回目となる2023年は10名の女性研究者に対して研究助成金を贈呈しました。この助成金は、研究目的であれば出産や育児などの女性のライフイベントへのサポートにも活用できる柔軟さが特長となっており、これまで延べ159名の研究者の研究成果とキャリア形成に貢献してきました。
2023年は「サステナブルな社会の実現を目指した女性研究者ネットワーク構築」をテーマにした授賞式を資生堂グローバルイノベーションセンター(横浜)で開催しました。女性研究者の現状について、過去の受賞者を対象にアンケート※2を実施したところ、80%以上の研究者が「女性ゆえに困っていることがある」と回答し、「家庭と仕事の両立が困難」「女性研究者が少なく立場が理解されにくい」「周囲に相談・情報交換できる人がいない」という声が多く寄せられました。これらの回答から、日本社会に根づく性別役割分担意識を背景とした家庭と仕事の両立の困難さをはじめ、孤立しやすく、キャリア形成に不安を抱えている女性研究者の実態が浮彫りになりました。一方、助成金が得られたこと以外で本グラントを受賞してよかったことについては、「優秀な他の受賞者との交流が次の発想につながった」「受賞そのものが心の支えになった」「資生堂の研究員と交流がもてた」「周囲から認められるようになった」などがあげられました。
資生堂 女性研究者サイエンスグラントのサイトはこちら
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