資生堂は、「美の感性を磨き、強い意志と情熱で未来を創る人」で会社を埋めつくすことを目指し、人材育成への取り組みを進化させています。創業初期より、銀座界隈では「書生堂」と呼ばれるほどに店員教育に熱心な企業であり、現在に至るまで人材育成のカルチャーは受け継がれています。人の力を大切に考える「PEOPLE FIRST」の考えのもと、すべての社員がそれぞれの分野における専門性を高め、プロフェッショナルとしてそれぞれの強みを行かせる業務で活躍することで、さらなる成長につなげています。
2020年に全社共通の人材像であるTRUST 8コンピテンシーを策定しました。グローバル共通の選抜・評価や人材育成プログラムの基礎とすることで、グローバルな人材マネジメントをより効果的に実践しています。
2023年に創業の地である銀座にShiseido Future Universityをオープンし、選抜型研修を中心にリーダーシップ開発プログラムを実施し、社員に自己成長の機会を提供しています。2024年には、ラーニングカルチャーの醸成を目的に全社員を対象とした「資生堂ラーニングフェスティバル」をShiseido Future Universityにて開催しました。
人材育成においては、不確実性や課題に直面しながらも、企業使命を実現するために、また、このような環境のなかで生まれるチャンスをいかすために、変革をリードするマインドと能力を兼ね備えたリーダーの育成が重要と考えています。そこで資生堂におけるリーダーシップモデルを「Futurists, Leading Change(未来を創造する変革リーダー)」と定義し、導入・展開しています。
当社は、社員の専門性を強化し「グローバルで勝てる組織」となるよう、日本国内の管理職・総合職・美容職(生産技術職を除く)を対象としたジョブ型人事制度を導入しています。以下に記す4項目により、社員のレベルを判定する基準を個人の「能力」から「職務(ジョブ)」に改定し、グローバルスタンダードに沿った客観的な評価や処遇を可能にしています。各部署における職務内容と必要な専門能力を明確化することで、社員一人ひとりのキャリアの自律性を高めることを意図しています。
当社ではグローバルにおける資生堂グループ全体での適材適所な人材配置と、戦略的タレントを育成するためのマネジメントを行っています。毎年定期的に、グローバル/リージョナル/ファンクショナルレベルでそれぞれタレントレビューを実施し、重要なキーポジションに対する後継者の指名・育成計画を作成しています。後継者の育成計画では、能力開発を主目的とした難易度の高い業務へのアサイン(ストレッチアサインメント)やグローバルにおける異動機会、リーダーシップ開発プログラムなど、社員それぞれの強みや開発課題に基づく個別育成計画が策定され、CEOの承認・支援のもと、実行されます。
ビジネスと社員の持続的成長のために、パフォーマンスマネジメントを強化しています。2021年よりグローバルで共通のスキームを導入し、「業績目標達成度」とTRUST8コンピテンシーに則った「行動発揮度」の両方を評価するよう改定しました。これにより中長期的な業績の向上と社員の成長を図っています。
資生堂のすべての社員は年度初めに、上司との面談を通じて個人業績目標を設定します。目標設定の際は所属グループの目標を各個人にカスケードし、各個人の目標がグループ目標の達成につながる設計となっています。
1年に1回以上の評価面談のみならず、期中は、日々の上司との対話やフィードバックを通じて、進捗状況を定期的に確認し、必要に応じ軌道修正します。年度末には、上司との面談を通じて最終達成度を確認します。また、上司は他の社員にも自分の部下に対する評価を求めることができ、それらを含めてフィードバックすることで直属の上司の評価だけでなく、多面的に社員を評価することができます。
評価の揺れを回避するため、評価基準を確認する評価カリブレーション会議が行われ、正式な評価が確定します。また、期首においても、期待される水準のパフォーマンスに基づいた目標が設定されているかを確認(目標カリブレーション)することで、各自がストレッチした業務アサインメントに挑戦し専門性を高めていきます。
資生堂グループは強固な企業集団であり続けるためにグローバルパフォーマンスマネジメントとして評価・処遇などについてのルールとガイドラインを定めています。
日本国内の資生堂グループでは、業務の成果とプロセスを適切に評価し、公平で納得性が高い制度を構築しています。評価の公正さを保つために、部下を持つ職制マネジャーに向けてマネジメントスキルの研修を充実させています。また、新任職制マネジャー研修やマネジャー向けトレーニングといった機会を通じて、マネジメントスキルの向上を図っています。
当社は、社員のみずから成長する姿勢を奨励し、一人ひとりの自律的なキャリア開発を支援しています。ジョブ型人事制度導入に際して、主体的なキャリア開発と専門性を強化するために、2020年から国内資生堂グループ全社員に対しキャリアワークショップやeラーニングを実施しています。また、社員自身が作成した中長期的なキャリアゴールを描くキャリア・ディベロップメントプラン(CDP)はパフォーマンスマネジメントの一環として扱われます。年度初めに業績目標を策定する際に、CDPを実現するための活動計画を上司と共有し、上司は効果的な業務アサインメントと人材育成につなげます。社員はみずからのキャリア開発にいかす基礎的なビジネススキルや、所属するジョブファミリーで必要な専門性を高めるさまざまな研修プログラムを自発的に利用できます。また、キャリア形成の機会を幅広く・多く提供するため、インターナルジョブポスティング(社内公募プログラム)を通年で実施しています。
資生堂の人材育成は「70:20:10の法則」※を重視していますが、とりわけトレーニングプログラムは、集中して新しい知見を学ぶ機会であり、優秀な社員と交流し、さらに成長意欲を高める機会となります。目的と対象者に応じ、選抜型プログラム・選択型プログラム・必須プログラム、の3種類の研修プログラムを提供しています。
戦略的タレント育成を目的に、資生堂グループ各領域の幹部候補社員に対しては、Shiseido Future Universityにおいて、リーダーシップや経営スキルなどの能力開発と国を超えたネットワークの構築を目的としたリーダーシップ開発プログラムを実施しています。女性リーダー育成塾「NEXT LEADERSHIP SESSION for WOMEN」は、幹部候補の女性社員がマネジメントや経営のスキルを学びながら、自分らしいリーダーシップスタイルを見つけるプログラムです。同プログラムが女性社員へのエンパワーメントとなり、日本国内の女性管理職比率は2017年の29%から、2025年は41.1%に上昇しました。
社員が高いパフォーマンスを発揮し自律的なキャリアを形成するよう、みずから手を挙げて受講することができるプログラムを実施しています。日本国内では、職種を問わない基礎的なビジネススキル研修のほか、それぞれの専門領域のジョブファミリーでさらに専門性を高めるためのセールスアカデミーやマーケティングアカデミーなどを実施しています。
また、社員が専門性を高めるために、自律的な学習を推奨するラーニングプラットフォームとしてLinkedIn Learningを導入し、グローバルに働く社員が同じプラットフォームで受講できるよう展開しています。
新入社員研修や3年目研修、新任職制マネジャー研修など、キャリア形成の節目となるタイミングで、必須プログラムを提供しています。職制マネジャーに対してはマネジャー向けトレーニングでマネジメントスキルの研修を強化し、公正な評価と各部門での人材育成に努めています。
社員向け教育研修の実績は「社会データ」ページをご覧ください。
社員一人ひとりが、信頼できるオープンな職場で、自分の仕事に意義ややりがいを感じて働けるよう、資生堂グループ全社員を対象に「グローバルエンゲージメント調査」を実施しています。「エンゲージメント」「総合的体験」「継続勤務意向」「インクルージョン」「ウェルビーイング」「戦略」「組織構造」「業務プロセス」「成長」「パフォーマンスマネジメント」「リーダーシップ」「組織風土(文化)」「顧客志向」「CSR」「企業倫理」などの設問を設け、年1回の定期調査として組織のエンゲージメントレベルを把握します。
また、資生堂の社員は経営改革に対して多くの課題に挑戦する必要があり、社員は常に、意識と行動の変革が求められます。社員によって意識や取り組みの格差が生じると改革のスピードに影響する可能性があるため、この調査を通じて経営層みずからが社員の声に耳を傾け、現状の課題を明らかにするとともに、社員もまた、調査結果を見て、会社をよりよい場にするための具体的なアクションを考えます。資生堂は、経営者と社員とが双方向にコミュニケーションをすることで、真の変革を成し遂げられると考え、経営陣と直接対話できる機会を増やしています。また社内外に通報・相談窓口を設置し、雇用形態を問わず労働環境や職場の人間関係に関する相談や、就業規則違反や法令違反といった内部通報に対応しています。
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