資生堂では、お客さまに安心して製品をお使いいただくため、研究・開発・生産活動を行っています。肌を正しく知ることが重要だと考え、化粧品に関わるあらゆる分野の最先端技術(生命科学、皮膚科学、界面科学、人間工学、心理学など)と連携した研究や、国内外の皮膚科医、大学・研究機関との共同研究なども推進しています。新しい領域として、情報科学と密接に関連したデジタル・デバイス研究や、身体全体をとらえたホリスティック研究を融合することで、新たな美容体験を生み出します。
これらの研究から開発された製品は、原料、処方、容器も含めて使用場面を想定した安全性評価を実施し、徹底的な品質確認をしたうえで市場に提供し、販売後のお客さまの声によって継続的な改善を行っています。
資生堂において新たに採用する化粧品原料は、当社独自の厳しい基準を設けて厳選したうえで導入しています。国内外の安全性評価ガイドラインに基づいて項目別にデータを検証し、動物実験を行わない方法で安全性を評価しています。さらに、原料規格のみならず、製造工程から想定される不純物も含めて安全性に問題がないことも確認しています。最新情報や最先端技術などの収集を欠かさず、外部専門家とも議論し安全性を評価するうえで重要な専門性を深めています。
環境に関わるリスクは多岐に渡り、法規制は世界各国において年々強化されています。
このような状況を踏まえ、資生堂では本社が中心となって新しい環境に関する法規制や社会動向について情報収集・リスク分析を行ったうえで、海外を含む関連部門と情報を共有化し、対応を図っています。さらに、生産部門においてはISO14001のシステムに基づいて環境法規制などの遵守評価を実施し、法令遵守を徹底しています。
洗浄料などに含まれるマイクロプラスチックビーズ※について、2018年8月末までに代替素材への切り替えを完了しました。
資生堂は、PRTR法(化学物質管理促進法)で義務づけられた行政報告を実施するだけでなく、工場や研究所などで原料や試薬などの化学物質の使用と廃棄の自主管理を徹底しています。また、充填をお取引先さまに委託する場合など、PRTR法、労働安全衛生法などで指定された成分を含む内容物などの化学物質をお取引先さまへ提供する際には、労働安全衛生の観点からSDS(Safety Data Sheets:安全データシート)発行をシステム化するなどの対応を図り、お取引先さまへのSDS交付を徹底しています。
資生堂は、2002年のヨハネスブルグサミット(WSSD:World Summit on Sustainable Development 持続可能な開発のためのサミット)において採択された、「2020年までに化学物質の製造と使用による人の健康と環境への悪影響の最小化を目指す」という国際合意を念頭に、製品や容器等に使用している化学物質について管理しています。
資生堂は、欧州、米州、アジア、日本などの化学物質法規動向や化学物質に関する安全性の情報を収集しています。そのうえで最新の科学的知見に基づいて製品に用いる化学物質の人や環境に対する影響を評価し、安全性を確かめています。
資生堂の製品中の成分に関して、人の健康や環境への影響に対する懸念情報が報告された場合は、その時点での最新の科学的知見に基づき、使用継続の是非を判断します。その判断に基づき、必要に応じて速やかに当該物質の使用を止め、代替物質への変更を行っています。
資生堂は、欧州REACH規則の遵守に努め、高懸念物質(Substances of Very High Concern: SVHC)などの有害物質を配合した製品数の削減に取り組みます。例えば、環状シリコーンの一種であるD4については、リンスオフ製品への配合規制対応を完了しました。さらに、リーブオン製品に関しても欧州向けの製品は、2024年までの抜去目標を前倒しで達成し、すでに使用を停止しました。
欧州REACH規則は2007年6月に施行された、欧州の化学物質規制です。日本から欧州域内に輸出する化粧品および容器など、化粧品に関する全ての化学物質が規制の対象となっています。
特に、欧州域内への年間輸入量が1トン以上の物質については、REACH規則で定めた手続きに沿って登録が必要となります。資生堂は、登録が必要な物質について全て把握し、必要な対応を行っています。
(単位:t/年) | ||||||
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指定番号(法) | 物質名称(法指定) | 排出量 | 移動量 | |||
大気 | 公共用水域 | 土壌 | 下水道 | 廃棄物 | ||
1 | 亜鉛の水溶性化合物 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
13 | アセトニトリル | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
56 | エチレンオキシド(20%) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
82 | 銀及びその水溶性化合物 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
87 | クロム及び3価クロム化合物 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
207 | 2,6‐ジ‐ターシャリ‐ブチル‐4‐クレゾール | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
275 | ドデシル硫酸ナトリウム | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 |
334 | 4-ヒドロキシ安息香酸メチル | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
405 | ほう素及びその化合物 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
407 | ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル (アルキル基の炭素数が12から15までのもの及び その混合物に限る。)(97%含有) | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
409 | ポリ(オキシエチレン)= ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム27 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 |
資生堂では、品質と安全性をなにものにも優先し、お客さまに安心して製品をお使いいただけるよう、法令遵守はもとより自主基準として「グローバル品質ポリシー」を設定し品質の維持・管理に努めてきました。化粧品をはじめとし、医薬品・食品などについても品質と安全性を守るため「原材料選定・製品化・生産・流通」の各段階で、徹底した品質管理を行ない、お客さまに安心してご愛用いただける製品を生産しています。
原料選定では、何からつくられているかの由来などの原料情報を世界中から収集・確認し、安全な原料のみを使用しています。
製品化・生産・流通においてもGMP※1 、ISO22000、HACCP※2などの各種基準や自主規格を遵守することで常に高品質な製品を安定供給する体制を整えています。例えば、化粧品製造では、国際規格として制定されたISO22716(化粧品GMP)で規定されているすべての項目(組織・体制、構造設備、製造管理、検査など)を遵守し、徹底した品質管理のもとで生産した高品質で安心・安全な製品をお客さまにお届けしています。
お客さまにご満足いただける安全な商品を研究、開発、製造、販売するため、製品の設計・製造・販売等の品質保証と製品事故予防に関わる権限と責任の所在を明確にしています。また、製品事故が発生した場合に備え、お客さまの安全性を最優先に、かつ速やかに事態収束に向けた全社的取り組みを実施できるよう対応マニュアルを策定し、資生堂およびグループ企業の品質保証活動、製品事故予防活動を強化・徹底しています。
万が一、自社の製品により品質事故およびPL事故が発生した場合には、ただちに情報を受けた部門は、品質保証部門、事業部門、リスクマネジメント部門に報告します。リスクマネジメント部門は、事故のレベルに応じて対応方法を決定します。品質保証部門は原因究明を行い、事業部門は市場対応等を進めます。
資生堂グループで働く一人ひとりがとるべき行動を「資生堂倫理行動基準」としてまとめました。その中に、「私たちは、製品の情報・表示や広告・表示についても、国ならびに地域の法令や社内規則の遵守はもちろんのこと、より高い倫理観をもって業務に取り組む」ことを定めています。
化粧品に表示すべき内容は医薬品医療機器等法に定められています(法定表示)。一方、広告に関しては「医薬品等適正広告基準」(平成29年9月29日厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)で規制されています。この基準をもとに、さらに業界団体である日本化粧品工業連合会からその例示・解説を明確にした業界自主基準「化粧品等の適正広告ガイドライン」が出されています。
資生堂では法定表示については「表示規程」を定めて運用しています。広告に関しては業界の自主規制ガイドラインである「化粧品等の適正広告ガイドライン」に従うことで法令を遵守しています。
なお、日本化粧品工業連合会の組織の中に「広告宣伝委員会」があり、これに付属する機関として「化粧品広告審査会」が設置されています。この「化粧品広告審査会」は、化粧品の広告表現を適正化してその信頼性を一層高めるため、独立して審査を行っています。この審査は、医薬品医療機器等法、医薬品等適正広告基準、化粧品等の適正広告ガイドライン等を基準としています。審査はテレビ、新聞、雑誌の広告を対象として年間3回実施されています。
資生堂では、1年に2回、「法定表示セミナー」「広告表示セミナー」を開催し、広告・表示において医薬品医療機器等法を遵守するための知識を高めています。
世界保健機構は糖尿病の増加を報告しています。国際連合児童基金(ユニセフ)は「世界子供白書2019」において、若者や子どもにおける糖類の過剰摂取や劣悪な栄養バランスを取り上げ、それらが加工食品や飲料の不適切なマーケティング・広告と関連していると報告しています。
当社は「資生堂倫理行動基準」において、お客さまの美しさと健やかさの実現のために安全で優れた商品とサービスの提供に努めること、お客さまが商品とサービスを選択する際に必要な情報を正確にわかりやすく表示することを宣言しています。食品事業*を行う企業として、私たちには健康的な食事によって、栄養の偏り・肥満・生活習慣病を防ぐ責任があります。よりよい栄養バランスや健康志向といった消費者ニーズに応える商品を開発し、加工食品・飲料に関する適切なマーケティング・広告や正確でわかりやすい表示を行います。
加盟する主なイニシアティブ
日本菓子BB協会 | 菓子商品の安全性・適正な表示・公正な取引など菓子に関連する課題解決へ向けて、消費者と企業・行政をつなぐ協会。 | ||||
公益社団法人 東京洋菓子協会 | 洋菓子業界関係者への技術・衛生に関するセミナーを行う協会 | ||||
一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会 | 飲食店がサステナビリティに配慮した運営ができるよう、責任ある調達・栄養バランスのとれたメニュー・食品ロス対策等を支援する協会 | ||||
公益社団法人 日本食品衛生協会 | 食品等事業者において食品衛生の向上や自主管理体制の確立を支援する協会。同協会が掲げるガイドライン、マニュアルを参照し加工食品の衛生的な製造に取り組んでいます。 |
食品によるネガティブインパクトを抑制するために、不必要な添加物を減らす商品の開発に取り組んでいます。資生堂グループが日本地域で販売している健康美容食品では、脂質・カフェインを含まない商品を開発しています。
主な取り組み
脂質・カフェイン | 資生堂グループは日本地域で健康美容食品を販売しており、主力商品であるコラーゲンのドリンク飲料は全て脂質ゼロ、ノンカフェイン、保存料無添加です。 | ||||
糖質 | 株式会社 資生堂パーラーは、食品の安全性や健康といった専門家と連携し、商品開発や適切なマーケティングにいかしています。 科学的根拠に基づき美味しさと低糖質を推進する一般社団法人 食・楽・健康協会の山田悟先生と低糖質の商品を開発しており、2018年には同協会の監修で低糖質のメニューを開発しました。資生堂パーラー銀座本店、銀座本店サロンド・カフェでは、糖質に配慮したメニューを提供しています。同社のレストラン「FARO」では上白糖100%カットのデザートを提供しています。 資生堂パーラーの菓子では少量ずつ個包装した商品を充実させており、保存性の向上と一度に摂取する糖質量へ配慮しています。 | ||||
人工保存料 | 株式会社 資生堂パーラーのレストラン「FARO」および、資生堂グループが日本地域で販売している健康美容食品では人工保存料を使っていません。日本の法令に則り、レトルトパウチ製品には保存料は含まれません。 | ||||
栄養バランスの改善 | 株式会社 資生堂パーラーの飲料製品「ビューティープリンセス」には、ヒアルロン酸やコラーゲンペプチドを配合しています。 | ||||
オーガニック | 株式会社 資生堂パーラーのレストラン「FARO」では、農薬や肥料の量を減らして栽培された有機野菜を使っています。コース料理の80%で有機野菜を利用しています。 |
資生堂パーラーでは、食品表示法で表示が義務付けられている食物アレルギーの情報「特定原材料」7品目だけでなく、法定を超えて「特定原材料に準ずるもの」21品目を積極的に表示しています。食品ラベルにおける適正な表示のために、食品表示法・景品表示法などから社内で作成したガイドラインをもとに、法令に適合することを確認しています。社内では食品表示担当者に対し研修を行っています。また、製造委託先への工場監査を行っており、その中には品質・表示に関する項目も含まれます。
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