誰もが一度は経験したことのある肌あれ。
IFSCC Congress 2002 第22回 エジンバラ大会 最優秀賞(口頭発表)
「新規肌あれ抑制成分スキンケアパウダーの開発」
肌あれの原因となる成分が、実は肌表面にあることを発見。
そこで、特殊なパウダーを開発し、メイクアップしながらケアできるようになった!
肌あれとは、肌が乾燥して皮がむけたりきめが乱れている状態のこと。肌があれていると、ファンデーションが上手くのらなかったり、ひどくなると肌が炎症を起こして赤くなってしまうこともあります。
では、肌あれしている肌の中は、どうなっているのでしょうか。ひとつは、タンパク質を分解してしまう「プラスミン」という酵素の一種が肌の表皮層に広く存在することが分かっています。この「プラスミン」は、元は「プラスミノーゲン」という酵素で、「ウロキナーゼ」という別の酵素によって活性化され「プラスミン」となり、肌に悪影響を及ぼすようになってしまうのです。
酵素というと、最近では「酵素ドリンク」など肌に良いようなイメージがあるかもしれません。しかし、酵素にもいろいろな種類があり、ウロキナーゼのような他の酵素を活性化させ、肌に悪影響を与えてしまうものもあるのです。今回の受賞技術のきっかけは、このウロキナーゼが実は肌の表面にいることを発見したことに端を発します。
これまで肌あれを予防するには、スキンケアで肌の保湿をしっかりして・・・というのが一般的でした。しかし、肌あれを引き起こすウロキナーゼが肌の表面に存在するため、ここで取ってしまえばいいのではないかと考え、ファンデーションに配合できる特殊パウダーを開発したのです。この技術により朝晩のスキンケアだけではなく、日中にメイクアップをしながら肌あれを防ぐケアができるようになりました。
引き寄せて&やっつける粉体を合体させてパワーアップ
パウダリーファンデーションに配合し、肌あれ防止効果を確認!
このウロキナーゼに有効な粉体を探したところ、ウロキナーゼの活性を抑える働きのある「酸化亜鉛」と、吸着する働きのある「シリカ」と「タルク」が見つかりました。これらを同時に配合できれば、ウロキナーゼを引き寄せて活性化を抑えることができます。しかし、これらの粉体は、バラバラに配合しても上手く機能しないことが分かりました。そこで、これらを合体させてしまおうと、酸化亜鉛にシリカとタルクをそれぞれ組み合わせた、2種類の複合粉体「スキンケアパウダー」を開発したのです。
これらのパウダーは、2001年の「エリクシール」のファンデーションに配合された他、「インテグレート」など資生堂の主要なファンデーションに配合され、パウダーなのにスキンケア効果があるという意外性と、化粧のりが良くなるという実感で人気を博しました。
現在ではさらに研究が進み、タルクやシリカよりも応用性の高い素材が見出され、白粉のようなサラサラのものやクリームやバームなどの液状のものにも配合されるようになりました。受賞した当時から数えると、これまでに600品以上の商品に配合されています。
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