資生堂は、美の力を通じて、人々が幸福を実感できるサステナブルな社会の実現を目指し、社員一人ひとりが社会および環境問題に対して意識を高め、その解決に向けて、みずから考え、行動することを重要と考えています。資生堂ではサステナビリティ戦略に沿って、重要課題である「社会」「環境」の領域で社員が自発的に社会貢献活動に参加できる社内体制を整えています。例えば、日本をはじめ欧州や米州、アジアパシフィック、トラベルリテールの地域本社では、社員が平日に取り組む社会貢献活動を業務時間と認めています。
2017年より欧州地域本社でスタートし2021年には世界の各地域本社すべてに拡大した、社員による社会貢献活動の日「資生堂カメリアデー」を2023年も実施しました。「資生堂カメリアデー」は、勤務時間内にボランティアに参加する社員同士の絆を醸成するとともに、地域の団体に市民として関わり、情熱やスキルを共有することで、社会に貢献することを目的としています。
2023年は、対面の社会貢献活動も徐々に再開し、世界中で多くの社員がそれぞれの地域社会の課題解決に向けて取り組みました。
欧州地域では、ベルギー、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、スイス、イギリスなど各国の社員960人以上が、環境保全活動やジェンダー平等に向けての支援、文化やヘリテージへの啓発活動などに自分たちのスキルや知識を活かし、地域社会に貢献しました。イタリアでは、資生堂と長年にわたり協力関係を築いてきた、がん患者支援団体「La Forza e il Sorriso」と連携し、がん治療を受ける女性にメイクアップによる心理的サポートを行いました。その他の地域においても、都市の緑地帯の保全のための活動や、生態系を守りながら農業活動を推進する「La Sauge協会」の支援などを行いました。
米州地域では、社員1,200人以上が「コミュニティの力」をテーマに、アメリカ、カナダ、ブラジルそれぞれの地域で社会貢献活動に取り組みました。米州地域の社員が年間を通じて社会貢献活動に参加するプログラム「THE BEAUTY OF HELPING OTHERS」を通じ、16のNPO団体と協働し、22以上の活動を実施しました。カリフォルニア州、フロリダ州、カナダではビーチの清掃やプラスチックの回収、ニューヨーク州、ニュージャージー州、オハイオ州、テキサス州、ブラジルでは地球環境を守るさまざまな活動を行い、地域社会に貢献しました。
アジアパシフィックおよびトラベルリテール地域本社では、シンガポール、台湾、タイ、ベトナムなど各国・地域の社員700人以上が、1週間にわたり各地域で社会貢献活動に取り組みました。
シンガポールでは150人以上の社員が、6つの地元のチャリティパートナーを支援するさまざまなボランティア活動に参加し、貧困層の若者のメンタリングから弱い立場にある女性の支援などを行いました。また、日用品や食料などの必需品を詰め合わせたフードパックを支援が必要な世帯に配布しました。
台湾では、「社会への感謝・思いやりの心を育む」をテーマに台北女性救援財団と協力し、クリスマス仕様の「カメリアギフトボックス」を作成しました。このギフトボックスは資生堂の関連製品だけでなく、日常必需品、文房具、お菓子などの寄付アイテムのラインアップを拡大し、より包括的な物資支援の提供を目指しました。手書きのクリスマスのメッセージも添えられ600名以上の恵まれない家族の生活支援に役立てられました。その他にも各地域で、働く母親たちへのメイクアップ支援や学生育成活動、海岸清掃活動などに取り組みました。
「資生堂カメリアファンド」は資生堂社員および退職した社員の寄付金により、社会課題の解決に取り組むNPOやNGO 団体を支援する社会貢献活動です。「資生堂カメリアファンド」は、2005年から日本でスタートし、2020年に欧州や米州、アジアパシフィック、トラベルリテールの地域本社にも拡大し、「社会」および「環境」の領域を中心に、女性活躍推進、子どもの教育、環境保全、災害支援など、各地域で必要とされる取り組みを支援しています。
領 域 | 団 体 名 | 支援内容 | |
---|---|---|---|
環境 | WWFジャパン | 地球環境を守る持続可能なインドネシアの「認証パーム油」生産農家の育成 | |
社会 | 全国女性シェルターネット | 卑劣なDV被害から母子で逃れて生活する子どもたちへの就学支援 | |
ジョイセフ | ザンビアのお母さんが安全に出産できる保健環境の整備と出産キットの提供 | ||
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン | 栄養不足が深刻なウガンダ西部の母子の食料確保のための農業と栄養指導 | ||
資生堂子ども財団 | 施設や里親の元で育ち18歳で巣立つ子どもたちの進学支援 | ||
全国色素性乾皮症(XP)連絡会 | 難病XPの子どものための紫外線防御用品や医療介護用品の購入とXP啓発 | ||
日本対がん協会 | がん患者と家族の支援、無料がん相談、チャリティ活動、がん経験者の支援 | ||
文化 | アーツ イニシアティヴ トウキョウ | 障がいや生い立ちなどにより芸術との接点や自由に表現する機会が限られた児童や若者に芸術体験を創出し、アートが持つ力で心の栄養や自己肯定感を育む取り組み |
私たちは企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」のもと、資生堂は平和で健全な社会とともにあることを表明し、ウクライナの未来を担うウクライナの留学生を支援しています。2022年3月、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)を通じて、避難民の支援活動への100万ユ―ロ(約1億3,000万円)の寄付に加え、スキンケア製品と生活必需品を提供し、全世界の社員から集まった寄付金額の同額を当社がマッチング(上乗せ)する人道支援寄付プログラム(約6,000万円)を実施しました。大阪茨木工場では2名のウクライナ避難民を雇用し、安心して働ける環境を整備しました。「資生堂チャリティーコンサ―ト“MUSIC for PEACE”(サントリーホール)」※1を主催し、その収益金(約3,000万円)を難民支援団体の一般財団法人 パスウェイズ・ジャパン※2を通じて寄付しました。また、ウクライナから避難しICU(国際基督教大学)で学ぶ5名のウクライナ留学生が学業に集中できるよう生活支援金を提供しました。
2023年は、5名のウクライナ留学生には卒業までの学費を提供するとともに、約100名のウクライナ留学生の日本での生活やキャリアを支援するために、避難民採用イベントに参加するなど他企業への知見共有や、留学生からの就職やキャリアの相談などさまざまな支援活動に取り組んでいます。資生堂グループは、今後も世界中の社員および支援団体などとウクライナへの長期的な支援を継続していきます。
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