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史上初!2大会連続受賞を達成! 資生堂のたるみ研究

たるんだ肌の内部には、空洞があった!?

IFSCC Congress 2016 オーランド大会 最優秀賞(ポスター発表)

「顔の老化を引き起す「真皮空洞化」現象の解明」

何が分かったの?

加齢により真皮が空洞化してたるみが起きることを発見。
ついに「たるみ」のメカニズムを解明!

人は年齢を重ねるにつれて、筋肉や骨などさまざまな身体機能が衰えてきます。たるみもその結果の一つで、特に顔のたるみは老けた印象を強めるため、できれば避けたいところ。2014年の最優秀賞(ポスター発表)受賞研究では、顔の肌を支える内部構造を明らかにしたのに対し、さらに今回の研究では肌自体に着目して、肌がどのようにたるむのかを明らかにしました。この2つの発見で、これまでわかっていなかったたるみですが、ついにたるみが起きるメカニズムの全容が見えてきました。

20代女性の平均顔60代女性の平均顔

肌表面の下にある「真皮」には、肌に弾力を与えるコラーゲンがぎっしり詰まっています。今回の受賞研究では、年齢を重ねてたるんだ肌では、この大切な真皮が大きく失われていることが分かったのです。加齢に伴い真皮がスカスカになることで、肌の弾力が失われて顔を支えられなくなり、たるみが起きていたと考えられます。この真皮が失われた状態がまるで空洞のように見えることから、資生堂では「真皮空洞化現象」と呼ぶことにしました。
さらに、この真皮の空洞化現象は汗を分泌する器官「汗腺」と深いかかわりがあることを発見しました。汗腺とは身体中にある器官で、通常ならばコラーゲンが張り巡らされ肌の弾力を維持する「真皮」の奥の方にあり、分泌された汗が細い管を通って肌表面に出てきます。真皮が空洞化している部分を中心に調べたところ、この汗腺が委縮して肌表面の方へ移動していたことが分かりました。汗腺が移動した後の真皮が大きく失われ、真皮の下にある白っぽい皮下脂肪に置き換わっていたので、あたかも空洞のように見えていたのです。つまり、汗腺が委縮することで真皮がスカスカになって弾力を失い、肌全体を支えられなくなってたるみが起きていたことが分かりました。

若齢の肌(弾力のある肌)高齢の肌(弾力が低下した肌)

若齢(30代女性)高齢(60代女性)

どうやって解明したの?何がスゴイの?

たるんだ肌の内部構造を解析する「ASAXA-CT法」を独自開発。 真皮の空洞化現象を発見し、汗腺との関係を明らかにした!

たるみの要因を明らかにするためには、当然、たるんでいる肌の内部を観察しなければなりません。しかし、これまでの受賞研究でも幾度かテーマとなっていた「どうやって肌の奥の方の内部構造を見るか?」という難題があります。今回は、医療分野で使われている「CT法」をベースに、肌の内部を見るための特殊な解析装置を開発することでこの難題をクリアしました。

CTというと健康診断などでお馴染みですが、実はこの医療用のCT法は肌内部のやわらかい部位はあまり鮮明に見えません。そこで、肌の内部構造に対応した特殊な解析方法「ASAXA-CT法」(特許出願中)を独自で開発したのです。 この新たな方法を用いてたるんだ肌の内部を見てみたところ、これまで誰も知ることのなかった「真皮の空洞化」と「汗腺とたるみの関係性」を発見するに至ったのです。
汗腺はそもそも汗をかかないと機能が低下し、汗をよくかくことでその機能も回復することが知られています。今後は汗腺とたるみのメカニズムを元に、汗腺に着目したソリューションの開発や「真皮の空洞化」を改善する新たな化粧品の開発などに役立ていく予定です。

肌のX線「ASAXA-CT法」を加工した三次画像