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オイルは垂れ落ちするものという常識を覆した!

さらさらオイルにとろみをつけて使用性をアップ

IFSCC Congress 2010 第26回 ブエノスアイレス大会 最優秀賞(ポスター部門)

「オイルを透明なとろみ状にジェル化する新規な自己組織構造体と化粧品への応用」

賞状

何ができるようになったの?

手にとっても、もう垂れ落ちしない!
さらさらオイルにとろみをつける方法を世界で初めて開発した!

オイルクレンジングを手のひらにとり、顔になじませる前に指の間から垂れ落ちてしまいそうになった経験はありませんか?オイルクレンジングや美容オイルなど、オイルが主成分となるものは大半がさらさらした感触になります。それは肌の上でスルスルとのびるようなオイルが、元々さらさらしたものだからです。しかし、さらさらのままだと冒頭のオイルクレンジングのように垂れ落ちしてしまったり、落ちたオイルを取り除くのも大変です。そこで、垂れ落ちしないくらいに、オイルにとろみをつける技術を開発したのが、今回の受賞技術です。

これまで水にとろみをつける技術はあったものの、オイルにとろみをつける技術は世界を見渡してもありませんでした。たとえオイル自体をとろみ状に変えられたとしても、肌の上に塗布する際にはスルスルとのび広がらなければなりません。その両立が非常に難しく、オイルを加工する場合はワックスを使って固める方法が一般的でした。
今回の受賞技術は、これを世界で初めて実現させたというもの。この技術が製品に応用されるようになれば、もうオイル主体の製品を使っても、垂れ落ちに困ることはなくなるのです。

どうやってとろみをつけたの?

特殊なポリマーがネットワークをつくり、さらさらしたオイルの動きを制限。
肌にのばすときはネットワークがくずれてさらさらに戻る!

オイルにとろみがあってほしいのは手にとるときで、肌の上にのせてもどろどろと重たいままだと、逆に使いづらくなってしまいます。今回の開発のポイントは、この「戻る」ということ。それを可能にしたのが「トリブロック型コポリマー」です。ポリマーはもともと小さい分子が結合して、網目状や鎖状になった物質のこと。今回開発したポリマーは、「水になじみやすい」部分の両側に「オイルになじみやすい」部分を配しています。
すると、中央の「水になじみやすい」部分が少量の水に引き寄せられることで、一つひとつのポリマーが結合し、さらに結合したポリマー同士がからみ合って網目状のネットワークをつくります。そのネットワークによってオイルの動きが制限され、さらさらだったオイルがとろみ状になるという原理です。
手にとったときはネットワークが働いてとろみ状のままですが、混ぜたり肌の上にのばすときにはネットワークが壊れるため、元のさらさらした状態に戻るというわけです。

この技術は、「リバイタル グラナス クリームコンデンス」で活用されています。このクリームは使う直前に1剤と2剤を手のひらで混ぜ合わせると、高濃度オイルと美容エッセンスが濃縮されたクリームになるという製品。手のひらで混ぜ合わせる際に、垂れ落ちしないという使用性を実現しました。また、この受賞研究は現在でも応用研究が続けられています。垂れ落ちしないのに「スルスルのびる」オイルクレンジングがお目見えする日も近いかもしれません。どうぞご期待ください。

トリブロック型コポリマー