毎日しっかり保湿ケアをしているのに、肌があれるのはなぜ?
IFSCC Congress 2010 第26回 ブエノスアイレス大会 最優秀賞(口頭発表・基礎部門)
「NMF産生酵素の発見と新たな肌あれメカニズムの解明」
酵素「BH」が足りないと、NMF(天然保湿因子)がつくられず、
バリア機能が低下。肌あれになることが判明!
私たちが普段、見て触れているのは「肌」といわれるものの中でも最も外側の層です。この外層は「表皮」といわれ、さらに4つの層に分かれています。その中でも最外層を「角層」といいます。角層には乾燥した空気や紫外線、細菌などの外的刺激から肌を守る役割と、体内にある水分などを逃がさないようにする役割があります。つまり、外と内に対してバリアの機能を果たしているのです。
この角層でうるおいを保っているのが「NMF」という天然保湿因子です。肌自らうるおうためにも、バリア機能を果たすにも非常に重要な因子で、この因子が足りないとバリアがくずれてしまい、肌の乾燥や肌あれを引き起こしてしまいます。
NMFはフィラグリンという物質から生まれるのは分かっていましたが、「どうやってつくられるか」をこの研究で初めて解き明かしたのです。NMF産生のカギを握っていたのは、「BH」と呼ばれる酵素でした。BHがフィラグリンを細かく切り刻み、NMFが生まれていたのです。
BHは加齢などのさまざまな理由により減ってしまいますが、乾燥肌、敏感肌、一部のアトピー性疾患の方には、健康な肌の人と比べてこのBHが非常に少ないことが分かりました。BHが少ないためにフィラグリンからNMFがつくられず、バリア機能が悪化してしまっていたのです。
乾燥肌・敏感肌向けの化粧品を発売。
さらに研究を深めて、新たな肌あれ解明に向けてまい進中です!
今回の受賞内容は、NMF産生のメカニズムの解明まで。しかし、その後も研究は続けられ、BHの発現を促進させる成分の発見に至っています。これらは「d プログラム」のエイジングケア プログラムや海外向けに発売している「SHISEIDO IBUKI」にすでに応用されています。また、この受賞内容はNMFとアトピー性疾患との関係に初めて言及したとして、医学会でも注目を集めました。
昔と違い、夏はエアコン、冬は暖房で1年を通して乾燥しやすい環境下にある今、乾燥肌、敏感肌の人が非常に増えています。今回の研究結果は、肌あれや肌が敏感になってしまうメカニズムの一部の解明に過ぎません。資生堂ではさらなる研究を続けていきます。
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