老化の象徴「シミ」や「しわ」「たるみ」は、早めに阻止したい!
IFSCC Congress 2000 第21回 ベルリン大会 最優秀賞(口頭発表)
「皮膚基底膜ケアに関する研究」
老化の初期段階は、どんな状態?を突き止めて、
肌内部で進む老化を早めにケアできるようにした!
女性たちが恐れる肌の老化。その象徴的なものが「シミ」や「しわ」「たるみ」です。これらの肌悩みは肌の表面だけを見ていると、あたかも突然現れたように思われますが、実は肌の内部では着々と進行してきた結果なのです。そういわれるととても恐ろしく聞こえますが、昔から「お肌の曲がり角」という表現があるように、老化の初期段階はなんとなく認識されてきたものです。
今回の受賞技術は、老化の初期段階に肌の内部で何が起きているかを突き止め、対応する薬剤を開発したというもの。この研究では肌の表面層「表皮」と奥の層「真皮」をつなぐ、「基底膜」というたんぱく質でできた1枚のシート状の構造物に着目しました。この基底膜の構造が乱れはじめると、しわやたるみといった老化現象を促進させる一因になっていたことを解明したのです。そこで、基底膜が乱れはじめる状態を「初期老化」と定義づけ、早くから基底膜を正常に保つケアを行うことで、肌老化を抑制するという新しいアプローチを生み出したのです。
紫外線などの影響により、基底膜が壊れると「表皮」にも「真皮」にも影響が・・・。
そこで、基底膜をより丈夫にする成分を開発した!
肌表面の「表皮」は多くの細胞からなっています。対して肌の奥の「真皮」は、血管やリンパ管、コラーゲン線維などが張り巡らされています。こうした全く違う構造の2つの層をつなぎ合わせているのが「基底膜」です。その他にも、表皮と真皮間での物質のやりとりを制御したり、表皮や真皮がダメージを受けると修復する因子を出したりと、肌を正常に保つために重要な働きをしています。
そのため、紫外線の影響などで基底膜が断裂するなどのダメージを受けると、上にも下にも悪影響が出てきてしまうのです。若く健康的な肌は基底膜が壊れにくかったり、断裂したとしてもすぐに修復できるのですが、老化が進んでくるにつれ修復する力が弱まり、懸命に修復しようとした結果、一枚のはずの基底膜が何層も見られる部分があることが分かったのです。
では、この基底膜を丈夫に保つためには、どうしたらいいのか。それを探るために、基底膜の構造をもっと詳しく調べてみることにしました。そして、基底膜の上部にあるたんぱく質の一種「ラミニン5」に着目したのです。ラミニン5は十字架のような形をしており、まるで人が手をのばして物をつかんでいるかのように、表皮をつかんでつなぎ合わせる役割があります。そのためラミニン5がたくさんあると、表皮とのつながりが強固になり、断裂されてもすぐに表皮をつなぎ合わせて修復することができるのです。
そこで、ラミニン5の産出を促す成分を探したところ、「リピデュール」が有効であることが分かりました。リピデュールはもともと、体内にある細胞の膜などからつくられる「リゾリン脂質」で、大豆由来のリン脂質からつくられます。真皮細胞の上に表皮細胞をのせた皮ふモデルにこのリピデュールを加えると、表皮細胞がラミニン5をたくさん産み出し、状態のよい基底膜を生み出したのです。
この受賞技術はその後も研究が進められ、現在ではリピデュール以上の効果を発揮する植物性エキスを発見するなど、さらなる肌の抗老化研究へと発展しています。
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