「白浮き」という言葉はこの研究から生まれた!
IFSCC Congress 1992 第17回 横浜大会 優秀賞
「酸化チタン系フォトクロミック顔料の開発とファンデーションへの応用」
光が強い屋外では暗くなり、室内では元に戻る顔が「白く浮いて見える」のを防ぐファンデーションを開発した!
朝、ファンデーションでキレイに仕上げたはずなのに、屋外では顔だけ白く浮いているように見えたという経験はありませんか? 受賞当時の90年代では、こうした現象を「白浮き」と呼んでいました。この「白浮き」という言葉が誕生したきっかけとなったのが、今回の受賞技術です。
通常、ファンデーションには光を反射することで、肌に明るさやカバー力を与えるパウダーが配合されています。そのため、朝、ご自宅でファンデーションを塗ったときは自然に見えるのに、光の強い屋外に出ると顔だけが白っぽく不自然に見えてしまうのです。その事実を発見したのは、たまたま開発途中のファンデーションの色みをチェックしようと、屋外へ出たときのことでした。シミやソバカスなど肌悩みや色むらをカバーするためにファンデーションを厚めに塗ると、その傾向はより顕著になります。
このことに発想を得て、光の強い屋外では暗く、室内では明るく色が変化するファンデーションの開発に取り組んだのです。こうしてできたファンデーションは、初めて「白浮き」を防止する理想のファンデーションと謳われ、人気を博しました。
光で色が変わる「フォトクロミック現象」を応用し、化粧品に配合できるよう、安全性を高めたものを開発した!
光によって色が変わる物質は、当時でもさまざまなもので使われていました。しかし、肌に直接つける化粧品ではまだ配合したことがなかったため、安全性の高い物質を開発することにしたのです。こうしてできたのが「フォトクロミック酸化チタン」です。
フォトクロミック現象とは、ある物質が光を浴びると色が変わり、暗いところでは元に戻るという現象のこと。フォトクロミック酸化チタンはこの機能をもつ「酸化チタン」です。酸化チタンは化粧品にも普通に配合されている成分で、安全性が高いことはもちろん、熱を加えて加工することで紫外線の強弱により微妙に色が変化することが分かったのです。
しかし、ここからがまた苦難の道。色が変わるといっても、オークル10のファンデーションがオークル30まで暗くなってしまったのでは意味がありません。ちょうどオークル10とオークル20との中間、15くらいまで変化するよう調整を重ねました。
こうしてできたフォトクロミック酸化チタンは、当時「光感応パウダー」と謳われ、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「エリクシール」、「プルミエ」「ユーヴィー ホワイト」などの主要なファンデーションに配合され、レイジェニック効果※で白浮きせずに、いつでも自然な仕上がりを得られると好評を得ました。また、後にこのパウダーは肌に健康的な赤みを加える効果も認められた他、パウダー自体も進化を遂げています。
会社案内
ブランド
サステナビリティ
研究 / サプライネットワーク
投資家情報