イヤ~な汗の臭いを何とかしたい・・・。
IFSCC Congress 1988 第15回 ロンドン大会 最優秀賞
「汗臭成分の解明とその新規消臭剤の開発」
汗が臭う原因を解明!未然に防ぐだけじゃなく、臭い始めてから使っても、臭いの素から消してくれるデオドラント製品ができた!
夏になると多くの人が使用するデオドラント製品。受賞当時の1980年代でも、こうしたデオドラント製品はすでに発売されていました。しかし、それらは臭い自体を消してくれるわけではなく、制汗剤や殺菌剤によって汗が臭うのを予防するというものや、柑橘系や花などの香りで汗の臭いを目立たなくする(マスキングする)ものでした。
今回の受賞研究は、汗の臭いの原因を特定し、そこから対応成分を探り、ついに臭いを素から消してくれる成分を開発したというものです。これまでの臭いを予防する機能に加えて、臭ってから使ってもきちんと臭いに対処してくれるデオドラント製品をつくれるようになったのです。
肌の上にいる菌が臭いの素をつくりだしていた!
皮脂や汗がでると、肌の上にいる常在菌といわれる菌が、汗の中にある有機物を分解して別の成分を生み出してしまいます。こうしてできた成分が臭いの素なのです。それまでのデオドラントは、菌をなくすことで臭いの発生を防いでいました。しかし、それでは臭い始めてから使っても効き目はありません。また、常在菌が有機物を分解して生み出す成分は非常に多いので、その中のどれが臭いの原因なのか、特定するのが難しいということもありました。
今回の研究では数ある臭いの素候補の中でも、汗はお酢のようなすっぱい臭いがすることから「低級脂肪酸」ではないかという仮説を立て、実験によって正しいことを証明したのです。
また、実験をしてみると、汗をかくと臭う人と臭わない人がいることが分かりました。どちらにも臭いの素である「低級脂肪酸」があるのに、臭わない人の「低級脂肪酸」は他の成分とくっついていたために臭わないことが分かったのです。ここからヒントを得て、臭いを消すには「酸化亜鉛」が有効であることが分かりました。しかし、この酸化亜鉛は固まりやすい性質があります。当時はデオドラント製品といえばスプレータイプが主流だったのですが、スプレーに入れると詰まってしまうという難点がありました。そこで、合成樹脂の周りに酸化亜鉛をくっつけた複合粉末を生み出し、詰まるという問題を解決したのです。
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