「皮脂が多いけど、乾燥もする」人は、何タイプ?
IFSCC Congress 1984 第13回 ブエノスアイレス大会 優秀賞
「肌質の科学的判別法の開発」
「乾燥肌」「普通肌」「脂性肌」の3つだった肌の分類に「混合肌」を加え、
混合肌向けの商品がつくられるきかっけをつくった!
受賞当時の1980年代には、化粧品市場はすでに成熟期を迎えており、さまざまな化粧品が世の中にあふれていました。そのため、これまでの「みんなと同じ化粧品を使う」から「自分の肌に合った化粧品を使いたい」へと、女性たちの意識が大きく変わり始めた時代でもありました。
自分に合う化粧品を選ぶ際に、一つの指標となるのが肌タイプです。当時はこれまでの経験や主観、感覚を元に、「普通肌」「乾燥肌」「脂性肌」の3つに分類していました。しかし、より自分の肌に合う化粧品を選び、その効果を高めるためには、客観的に分類する必要があると考え、肌測定の結果を分析することで「肌質判別法」を開発したのが、今回の受賞研究です。
肌状態を詳しく調べた結果、それまでの3つの肌タイプには当てはまらない方々がいることが分かったのです。それが「皮脂量は多いけれど、肌が乾燥して肌あれを起こしている」、今でいう「混合肌」の方たちです。皮脂量が多い方はさっぱりした化粧品を好みがちですが、混合肌の方は皮脂量は多いけれどうるおいが不足しているので、十分な保湿ケアが必要となります。これまで「脂性肌」用の化粧品を使っていた混合肌の方が、肌の調子がよくならないと思っていたのは、まさに保湿ケアが足りなかったからなのです。
この研究によって「混合肌」というタイプが科学的に見出され、その結果「使用感はさっぱりしながらも、しっかり保湿してくれる」混合肌向けの化粧品が開発されることになりました。この研究が発端となった肌タイプの4分類は、現在でも世界中で活用されています。
「脂っぽさ=皮脂量」と「しっとりさ=水分量」を軸に、4タイプに分類。
現在の美容機器を使った肌診断のベースに!
お客さまの意識調査では、多くの方が「脂っぽいかどうか(皮脂量)」「しっとりしているかどうか(水分量)」でご自身の肌タイプを判断していたことが分かりました。そこで、「皮脂量の測定」「きめの状態をみる」「アミノ酸の代謝率を測る」「水分蒸発量の測定」の4つの測定を行い、お客さまの実感と実際の肌状態との関わりを分析することにしました。
その結果、これまでの分類にはない「混合肌」を見出し、さらには脂っぽいかどうかを皮脂量で判定し、しっとりしているかどうかを肌表面のきめの状態から判定するという、比較的簡単に肌タイプを分類できる科学的方法を開発したのです。
この研究によって確立された肌タイプの分類法は、後に店頭でスコープを当てるだけで肌の水分量・皮脂量・きめの状態などが分かる美容機器「スキンビジオム」の設計基盤となっています。また、測定の結果から得た肌の情報は、今の美容理論の礎となりました。例えば水分と皮脂量のバランス(モイスチャーバランス)が大切だというのも、この研究がきっかけとなり、提唱してきたものです。
研究当時、実際に肌を測定をしてみると、ご自身では「普通肌」だと思っていた方が実は「乾燥肌」や「混合肌」だったなど、実感と現状が異なっている例も少なくありませんでした。肌は加齢はもちろん、紫外線や乾燥などの環境などによっても変化します。「いつもの化粧品が合わなくなった」「シミやしわなどの新たな肌悩みが出てきた」など、肌がいつもと違うように感じたら、ぜひ店頭で肌診断を受けてみてください。今の肌状態を詳しく知ることで、適切なお手入れ方法を選ぶことができるはずです。
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