化粧品の成分表示でよく見る「パラベン」って?
IFSCC Congress 1980 第11回 ヴェニス大会 優秀賞
「非イオン界面活性剤によるブチルパラベンの可溶化と抗菌特性」
「防腐剤」の化粧品成分との相性や最適な配合量などを導き出し、
より安全・安心な製品をお届けできるようになった!
化粧品には食品と同様、水分と栄養分が多く配合されています。そのため、カビや細菌などの微生物に侵され、臭いが変わったり腐敗したりすることがあります。微生物の汚染には、工場での製造時に汚染される「一次汚染」と、お客さまが使われている間に汚染される「二次汚染」があります。一次汚染は生産現場の衛生管理で防ぐことができますが、二次汚染はお客さまが容器に指を入れて中味を取り出したり、ふたを開けたままにしてしまうことで汚染するため、微生物から化粧品を守るには「最適な防腐剤」を配合することが有効な手段となります。
しかし、「防腐剤」といってもさまざまな種類があり、1970年代当時は製品に配合する最適な防腐剤の種類や配合量の根拠があまり明確ではありませんでした。今回の受賞研究は、防腐剤の特性と、製品によっては同じ種類・同じ防腐剤を配合してもその防腐力に差が出ることに着目し、防腐剤と他の成分との相互作用についても研究したものです。その結果、製品ごとに防腐剤の最適な配合量を決定するための基準を導き出し、それまで以上に安全で安心な化粧品をお届けできるようになりました。
防腐剤の特性、相性を一つひとつていねいに検証。
現在でもほぼすべての製品に活かされている、防腐剤研究の集大成!
「防腐剤」にはさまざまな種類があります。今回の受賞研究はその中でも、化粧品や天然物中にも存在し、医薬品や食品にも用いられている防腐剤「パラベン」に着目。防腐剤と化粧品成分との組み合わせによる防腐力の違いなどを調べました。
また、化粧品開発にとって乳化(水と油を混ぜ合わせる)は欠かせない技術ですが、その際に必要となる界面活性剤に防腐剤がどれだけ溶けるのか、どのような影響を受けるのかについても調べています。
これにより、防腐剤とその他のさまざまな成分との相性を見出し、成分や界面活性剤によっては防腐力が変化するということを明らかにしました。この長年にわたる地道な研究の積み重ねの末、化粧品の処方ごとに防腐剤の最適な配合量を割り出す指標を導き出したのです。その結果、防腐力だけでなく、安全性や製品への溶解性、製品との相性を加味して配合するようになりました。
この研究内容は、今でも防腐剤の配合の基本指標となり、ほぼすべての製品に活かされています。現在では、配合したい原料を打ち込むと最適な防腐剤とその配合量が算出されるよう、プログラム化もなされています。
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