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記念すべき初受賞は今でも使われている!?

ベタつかないクリームをつくる新技術を開発!

IFSCC Congress 1976 第9回 ボストン大会 最優秀賞

「アミノ酸またはそれらの塩によって安定化された油中水型エマルジョンに関する研究と応用」

賞状

何ができるようになったの?

油と水を均一に混ぜ合わせるために必要な、乳化技術を新たに開発。
ベタつかないのに保湿効果の高いクリームをつくれるようになった!

健康的な肌を保つには、水分と油分のバランスが大切です。スキンケア化粧品はこのバランスを正常に保ったり、整えたりするのが主な役割。従って、水も油も補給しなければなりません。
しかし、「水と油のような関係」というように、この2つは全く溶け合いません。そこで、どちらか一方を微粒子にして、もう一方に均一に分散させる「乳化技術」が必要となってくるのです。実はマヨネーズにもこの乳化が使われています。マヨネーズの主成分であるサラダ油と塩水に、卵黄を入れることで2つが上手く分散されます。というのも、卵黄に入っている「レシチン」という成分が、2つをつなぎ合わせる役割を果たしているからです。
今回の受賞技術は、水と油を混ぜ合わせる新たな乳化技術を開発したことにより、それまでのクリームと比べて、ベタつかないのに保湿効果の高いクリームをつくれるようになったというものです。

どんな技術なの?

油の中に水を入れると分離してしまう。だからといって固めるとべたつく・・・。
油をジェル状にしたら、水も動かず使用性も各段にアップ!

スキンケア化粧品で使われる乳化技術には、大きく分けて2つあります。油を微粒子にして水の中に分散させる「o/w」タイプ、または水を微粒子にして油の中に分散させる「w/o」タイプです。
「o/w」タイプは水がベースなので主に水分を補う乳液やさっぱりタイプのクリームに活用されています。o/wタイプの乳化技術はとろみをつけたり、透明にしたりとさまざまな方法があります。
一方、油分がベースの「w/o」タイプはより肌表面の構造に近く、肌内の水分を逃がさないようフタをする保湿効果に優れるため、主にクリームに活用されます。w/oタイプの乳化技術は安定化が非常に難しく、現在でも新しい乳化技術を生み出すのは至難の業といわれています。今回の受賞技術は、この「w/o」タイプの方です。
油と比べると水の方が重いため、微粒子化してもそのまま入れると下に沈んでしまいます。受賞した1976年当時までは、水が動かないように固めるのが一般的でした。しかし、固めてしまうとベタベタする上、肌の上でものばしにくいという難点があったのです。
今回の受賞技術は、油の中に水の微粒子を入れても沈まないように、油をジェル状(ゲル化)にして水が動かないようにしたというもの。アミノ酸を溶かした水と、天然由来の界面活性剤「グリセリン脂肪酸エステル」を合わせたことにより、ゲル化乳化が可能になったのです。さらに、乳化のために配合した「アミノ酸」は栄養価の高い成分のため、保湿など肌への効果も高いことが分かりました。
この技術が受賞したのは1976年で、日本企業としても初めての受賞でした。その後、1981年に発売された「リバイタルクリーム」などで活用されて以来、長い月日が経った現在でも主にクリームやアイクリームなどで幅広く活用されています。

主な乳化の種類

新たな乳化技術