1. Home
  2. 研究 / サプライネットワーク
  3. 資生堂イノベーションカンファレンス2023
  4. Shiseido Innovation Conference 2023 - Beauty for the Future - 開催レポート

資生堂R&Dの最新知見をプレゼンテーション

Shiseido Innovation Conference 2023
- Beauty for the Future - 開催レポート

2030年ビジョン「Personal Beauty Wellness Company」に向けR&D戦略を着実に実行
『イノベーションを創出し価値を最大化。新ブランドへの実装で美の新たな提案へ。』

ビジョン実行の鍵である「肌・身体・心の関係性に基づいた資生堂独自の美のアルゴリズム」を紹介。
2024年2月に事業化する測定ツールも含めた、
測定体験イベントを実施。

日時:2023年11月28日(火)1部 12:30~13:50 2部 14:00~15:00/場所:資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK)​

資生堂は、最新の研究成果を発表する「Shiseido Innovation Conference 2023 - Beauty for the Future -」を、2023年11月28日(火)に資生堂グローバルイノベーションセンター(S/PARK)​にて開催。
カンファレンスでは、資生堂R&D戦略の3つの柱である「Skin Beauty INNOVATION」「Sustainability INNOVATION」「Future Beauty INNOVATION」における最新知見を発表した。

Shiseido Innovation Conference 2023 - Beauty for the Future -

Shiseido Innovation Conference 2023 - Beauty for the Future -

【資生堂の未来ビジョンを実現するR&D 戦略の実行】R&Dとマーケティング双方の視点を掛け合わせ、研究成果の価値を最大化し、新たな美の提案として生活者に届ける

岡部 義昭

資生堂 副社長 チーフマーケティング&イノベーションオフィサーの岡部 義昭から、資生堂の未来ビジョンを実現するR&D戦略の着実な実行とその価値化を発表。かつてブランド「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ」の責任者としてマーケティングに携わってきた岡部は、本年9月よりR&D部門に加えてマーケティング部門のトップに就任。「基礎研究の成果を骨太にし、価値を最大化し、新たな美の提案に昇華させ生活者に届けること、その結果、事業やブランドに貢献することが使命。」と述べた。

中でも「未来の新規ビジネス基盤の創出を目指して進めている『Future Beauty INNOVATION』は、来年以降強化していく戦略の柱であり、肌・身体・心に関する独自の美のアルゴリズムを応用し、資生堂の2030年ビジョンである“Personal Beauty Wellness Company”実現に向けて、来年2月に本格始動するインナービューティー事業へ実装する。」と今後の展望を語った。

【Skin Beauty INNOVATION】資生堂30年以上におよぶ「肌の免疫研究」の成果
免疫細胞が多い肌ほど老化細胞は少なく、免疫が“肌の老化を予防”していることを発見

加治屋 健太朗

肌の奥に存在する血管・神経・免疫などの状態を可視化する、独自の技術の開発を進めながら、資生堂は肌の美しさとの関連を次々に明らかにし、肌の内側から美しくなる「ホリスティックビューティー」の重要性を説いてきた。
研究成果は美容業界を最先端でリードするものとして、これまでIFSCC※1大会で複数の受賞をし、世界の化粧品メーカーの中で最多の受賞回数へとつながっている。さらに世界最高峰の学術誌と言われるCellに、肌免疫研究の最新知見が掲載された。
今回資生堂が30年以上におよぶ肌免疫研究の最新知見として、免疫が“肌の老化を予防”していることを、みらい開発研究所の加治屋より紹介。

免疫細胞が多い肌ほど老化細胞は少なく、免疫細胞が肌の老化細胞を除去する役割を持っていたという新発見について解説。最後に「今後の肌免疫研究とそこから生み出されるソリューションにぜひご期待下さい。」と研究への期待感を高めた。

  1. ※1:IFSCC:国際化粧品技術者会連盟(The International Federation of Societies of Cosmetic Chemists)

【Sustainability INNOVATION】化粧品の成分・処方の透明性を高めていく取り組みにも注力
業界内外での連携を強化し、循環型原料を開発・活用する未来に向けた取り組みを発表

資生堂はこれまで「2025年までに100%サステナブルな容器※2を実現」するというKPIを掲げ、循環型の容器包装、処方・成分、リサイクルモデルの開発に注力している。冒頭のパートでは、化粧品の成分・処方も、さらにサステナブルなものが求められていることを伝え「私たちは規制への速やかな対応や、科学的根拠に基づいた対応に取り組んでいます。たとえば、海洋環境に悪影響を与えると言われ、ハワイ州などで規制が設けられている紫外線吸収剤に対しては、対象となる商品の原料切り替えを速やかに進めました。また、研究機関やスタートアップとの連携で、環境評価など科学的根拠に基づいた原料の使用方針を立て、資生堂の『成分選定ポリシー』としてウェブ上に公開しています。」とこれまでの取り組みを紹介したうえで、今後、化粧品の成分・処方に力を入れて取り組むことを伝えた。
プレゼンテーションの後半では、今年7月に戦略提携を開始した「ちとせグループ」の代表である藤田 朋宏氏をゲストにお招きして、R&Dサステナビリティ&コミュニケーション部の大山と1000年先の未来を考えた、長期的な視点でのサステナブルかつプレミアムな新たなビューティーソリューションの創出を“藻類を起点に”めざし、業界内外での連携を強めてオールジャパンで取り組む「MATSURIプロジェクト」について語った。
そして取り組みのマイルストーンも発表。現在藻類の原料メーカーの選定・契約の締結が終了。2025年までに藻類を活用した化粧品のプロトタイプを作り、2030年には商業化を目指していくと述べた。

  1. ※2:プラスチック製容器について

藤田 朋宏 大山 志保里

藤田 朋宏 大山 志保里

【Future Beauty INNOVATION】
「Personal Beauty Wellness Company」実現に向けての戦略の柱
肌・身体・心の関係性に基づいた“資生堂独自の美のアルゴリズム”を新ブランドへ実装

岡村 智恵子

資生堂は「Personal Beauty Wellness Company」を実現するための付加価値経営を推進しており、未来に向けた重要なR&D戦略の柱である「Future Beauty INNOVATION」の成果として、「肌・身体・心」の関係性に基づいた“資生堂独自の美のアルゴリズム”を構築。

業界をリードしているホリスティックビューティーの研究知見なども活かし、今まで明らかにされていなかった肌・身体・心の関係性を網羅的に解明。複数の肌状態と体内指標をつなげ、肌を改善・予測・予防に導く独自の美のアルゴリズム構築により“肌に影響を与える要素”を洗い出した。従来見過ごされていたその要素をケアすることで、肌がこれまでにない良い刺激を受け、美しい肌へとつながることが期待できる。

資生堂は、国立研究開発法人理化学研究所との共同研究で肌の状態に関係する身体や心の状態を網羅的かつ定量的に明らかにした予測モデルを構築。今後もより多くの方の多様なデータを集めるべく、2023年までにのべ1万7,000人以上もの人が参加し、3,000に及ぶ項目について測定・検査を行う「岩木健康増進プロジェクト」を手掛ける国立大学法人弘前大学との共同研究への参画や、研究で得られる大量のデータを速く・正確に解析すべく、データ解析を得意とする株式会社DeNAライフサイエンスとの連携など、外部研究機関、企業との取り組みを強め、アルゴリズムを充実、進化させていく。

みらい開発研究所の岡村は「資生堂は将来的に、このアルゴリズムを2,000以上の肌・身体・心の関係性を含むものへと進化させていく予定。」と述べ、その実現のために、2030年までに、3万人、150万個のデータを蓄積していく計画を打ち出した。

アルゴリズムの最新知見は、来年2月に本格始動する資生堂のインナービューティー事業へも実装し、お客様へ新たな美の体験を提供していく。

“資生堂独自の美のアルゴリズム”に基づいた3つの測定体験を実施

カンファレンスの第2部では、”資生堂独自の美のアルゴリズム”に基づいた鼻骨格測定、歩容測定、肌・身体・心の複合測定(自律神経・血管・握力)の体験時間を設けた。体験者は、測定後は結果を踏まえた肌のお手入れのアドバイスや、美肌へ導く栄養素を補うオリジナルドリンクを楽しんだ。

・歩容測定
足元にセンサーを装着し歩く姿をタブレットで撮影。
歩き方の特徴を測定し、美肌に導くための理想的な歩き方をアドバイス

歩容測定

【概要】むくみやくすみ、肌のゆらぎなどの悩みは、研究の結果「美しい歩容※3」と関係性があることがわかった。
例えば、歩行時に大腿部などにある大きな筋肉が動くことで、血液の循環が良くなり、血色がよくいきいきとした肌と表情を導くことなどを解明。資生堂のオープンイノベーションプログラム「fibona」で共創を行う株式会社ORPHEとの共同研究で足元にセンサーを装着し、歩く姿をタブレットなどで撮影することで、足元の動きや姿勢のさまざまなデータから歩容の美しさを簡便にスコア化する技術を確立した。

  1. ※3:歩容: 歩く姿勢のこと

・鼻骨格測定(※2024年2月 事業へ活用)
一人ひとり特徴が異なる鼻の形(鼻骨格)をアプリで読み取ることで、
将来どのような肌の悩みを抱えやすいか予測し、結果に応じたアドバイスを実施

鼻骨格測定

【概要】資生堂は、鼻骨格と肌の状態や、肌の内部にある血管などの状態と関連があることを見出した。さらにこの知見をより手軽に活用できるよう、鼻骨格を表す「鼻根」「鼻梁」「鼻翼」など鼻が作り出すわずかな影を利用し、鼻の形を細かく検出することに成功。これにより、スマートフォンなどで簡単に鼻骨格の特徴を検出することが可能になり、鼻骨格から将来どんな肌悩みが出やすいか、画期的な予測が可能となった。

・肌・身体・心の複合測定

肌・身体・心の複合測定

【概要】資生堂は肌・身体・心の関係性を見出し、肌を心身指標から複合的に評価。
今回は自律神経・血管・握力の測定から”資生堂独自の美のアルゴリズム”を使用し「肌」の状態を複合的に測定。筋力や血流量、自律神経の乱れから導き出される肌の潤い不足やくすみ、ハリのなさなどの肌の特徴や、計測から導きだされる生活習慣へのヒント(運動不足・睡眠不足など)を総合的に示唆した。