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特集・インタビュー

地域と環境との共生を目指す最新鋭の那須工場

2020年11月30日

地域と環境との共生を目指す最新鋭の那須工場
資生堂の高い品質を支えるサプライネットワーク 執行役員 三浦 昭宏
  • 2020年11月現在

資生堂はここ数年、いくつかの商品で品切れが続き、アジア市場を含めた需要に供給が追いつかない状況が生じていました。この状況を重要な経営課題だと捉え、解決に向けて、原材料サプライヤー、外部生産協力会社とともに市場への商品供給能力を向上してきた結果、品切れは確実に減少傾向にあります。
今後は、需要の変化や多様化等、刻々と変化するビジネス環境下において、いかに「アジリティ(敏捷性)」を兼ね備えた供給体制を構築出来るかが、これまで以上に重要になると考えています。
このことを実現するために、私たちは世界中の生活者のニーズを的確に把握しながら、取引先との連携を強化し、資生堂の強みを最大限発揮できるサプライネットワーク体制へと進化する必要があります。

資生堂のサプライネットワークには4つの強みがあります。1つ目は、当社の高い品質基準をベースとする厳選された原材料の使用や厳しい検査工程などによる、お客さまから評価されている品質の高さです。2つ目は、日本で培った匠の技術とカルチャーを海外の生産拠点でも展開していることです。地域ごとのニーズに対応した生産が可能になることに加え、非常時や大幅な需要変動が生じた際にも機動的かつ安定的に生産できることを目指しています。3つ目は、サステナブルな社会に貢献する技術力です。環境に配慮したパッケージの生産を行うなど、特に環境の面で取り組みを強化するとともに、イノベーティブな原材料を確実に製品化する技術開発も行っていきます。そして最後に、人材です。会社や自ら生み出す製品に誇りを持っている人材は価値創出の源泉となっています。

これらの強みを最大限活かすためには、日本国内での供給能力向上が必須であり、その第一弾として2019年末に那須工場の稼働を開始しました。今後は、大阪茨木工場、福岡久留米工場も順次稼働し、国内は6工場体制となる計画です。これらの工場では、最新の設備や情報システムの導入、IoTを活用することで、生産性の向上に取り組み、「WIN 2023」で目標としている原価率の達成を目指します。

那須工場は中高価格帯のブランドを中心としたスキンケア工場として稼働を開始し、地域の雇用創出、再生可能エネルギーの100%化、また、見学コースを完備するなど、地域と環境との共生を目指した最新鋭の工場です。また、コロナ環境下においては、手指用アルコール消毒液を生産するなど社会貢献という意味でも大きな役割を稼働1年目にして果たすことができました。また、BCPの観点からも東日本のスキンケア供給拠点として、今後の6工場体制においても非常に重要な位置づけの工場となります。

※事業継続計画:企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合でも、重要な業務が継続できる方策を用意し、生き延びることができるようにしておくための計画のこと

生産拠点

那須工場概要

那須工場は、MADE IN JAPANに代表される高品質を具現化するスキンケア工場としてだけでなく、「企業・ブランドの発信拠点」というもう1つの大きな役割を担っています。

見学施設「BEAUTY PLAYGROUND」は、「地域社会」との共生や共存をベースとして、PLAY BEAUTY!(美を遊ぼう!)をコンセプトとしています。

化粧品に、そして、美そのものに身近に触れ合い、その可能性にワクワクするような新体験を大人から子どもまで、訪れる人すべてに愛されるさまざまな美の体験を提供していきます。

化粧品の製造から出荷まで、製品が生み出される様子を見学できるのはもちろん、メイクシミュレーションやクイズで遊びながら化粧品の知識を学ぶことができます。

工場見学体験ゾーンのご紹介(抜粋)

ビューティーウォーク

ビューティーウォーク

見学コースは、ベルトコンベアをイメージした100mの廊下からスタート。製品が完成するまでのプロセスをさかのぼっていくイラストが壁に描かれています。

イノベーションシアター

イノベーションシアター

製造工程を見学する前に、資生堂の歴史や那須工場の概要などを映像で紹介します。

製造エリア

製造エリア

スキンケア製品の製造エリアをご案内します。原料を処方通りに製造釜の中で混ぜ合わせ、できあがった化粧水や乳液は後処理や品質検査を経て保管エリアに運ばれます。

充填・仕上げエリア

充填・仕上げエリア

容器に詰められ、包装の仕上げを行った製品は、機械によるチェックだけでなく、特別な訓練を受けた検査員が匂いや色、使用感、見た目などを入念にチェックします。

楽しみながら化粧品の知識を学ぶことができるエリア

楽しみながら化粧品の知識を学ぶことができるエリア

工場見学では見えなかった各生産工程のポイントや製造技術をプロジェクションマッピングで解説します。また、スキンケア成分の効果を紹介したり、バーチャルメイクや那須の土地をイメージして特別につくられた「那須の香り」を体験できるコーナーがあり、楽しみながら化粧品について学ぶことができます。

出荷エリア

出荷エリア

完成した製品を保管、仕分け、出荷する一連の物流に関わる作業工程をすべて自動で行っています。左の写真は、箱の大きさや形状を認識して積み上げ作業を行うロボットアーム。

那須工場の安心・安全、品質に関わる取り組み 那須工場長 長谷川 修嗣

那須工場は、MADE IN JAPANを体現する「高品質」、その高品質を支える「人」、そして人を育んだ地域やお取引先さまなどの「地域社会」との共生、この3つを特長としています。特に「高品質」に関しては、医薬品製造で用いる空気中に含まれる微細なホコリを取り除く高性能のHEPAフィルターを採用した空調設計として、さらに充填(じゅうてん)室と仕上げ室を完全に分離して、それぞれ気圧と気流の管理を行い医薬品レベルの「クリーンな製造環境」となっています。また、お客さまの肌に直接触れる化粧品の中味が、容器に充填される前の作業では、人由来の異物や微生物などの混入を排除するため「二次更衣」を行っております。そして、品質チェックは、特別に訓練された人のスキル・感性と最新のデジタル技術を融合して、厳しい品質基準に則り、徹底した品質管理を行っております。さらに、那須工場の安心・安全に関する取り組みの1つとして、那須連山の自然のろ過装置を通して浄化された、酒造りにも供されている安全で綺麗な水をさらに精製することで、那須工場で作られる化粧品の高品質のベースを支えています。また、豊かな自然環境への配慮として、排水処理は通常よりも厳しい自社基準を設けて24時間・自動監視することで、二重にも三重にも環境への影響が出ないように自然との共存を確実なものとしています。加えて、那須工場の電力は、水力発電によるCO2フリー電力である「とちぎふるさと電気」を100%使用しており、地球環境にもやさしい工場を実現しています。
このように那須工場は、安全・衛生・環境に配慮しながら、地域の皆さまやお取引先さまと共生していきます。そして新たなビューティーの生産拠点・発信拠点として、日本だけでなく世界のお客さまに向けて、最高の品質と喜びをお届けしてまいります。