伝統は革新によって受け継がれる。
資生堂のDNAを体現し、グローバルで影響力を拡大する美容液
~ 新アルティミューンの誕生ストーリー
SHISEIDOグローバルブランドユニット チーフブランドオフィサー エコー ロー
1872年、東京銀座に誕生して以来、アートとサイエンスの融合で時代の美を創造し続けてきた資生堂。その名を冠し、DNAを継承するブランドがSHISEIDOです。そのSHISEIDOを象徴する美容液が「アルティミューン™ パワライジング コンセントレート」。2014年の発売以来、世界中のお客さまから愛され、2025年3月、先進の科学的知見と技術を融合し進化を遂げ「新アルティミューン」として発売されました。
グローバルな視点でブランドの成長を加速させるSHISEIDOのチーフブランドオフィサーのエコー ローに、商品誕生秘話、ブランドが目指すビジョンについて聞きました。
SHISEIDOグローバルブランドユニット チーフブランドオフィサー
エコー ロー
2011年に資生堂本社入社。アジアパシフィック地域のマーケティングマネージャーとしてマーケティングや商品開発に携わったのち、経営戦略を担当。台湾資生堂でCMOを務める。24年、ブランドSHISEIDOの副チーフブランドオフィサーに就任し、25年1月から現職。
SHISEIDOのユニークな商品展開
- ●「オイデルミン」 1897年発売。128年を経て今なお愛用者が多いロングセラー化粧液。
- ●「エッセンス スキングロウ ファンデーション」 2024年発売。美容液の中にファンデーションを閉じ込めるという新しい発想が話題になり、” ファンデ美容液” という愛称で知られるヒット商品。
- ●「アルティミューンTM」 2014年の発売以来世界で269のビューティーアワードを受賞している美容液。(※2014年に発売の初代商品から全世界における累計受賞数(2024年12月時点))
SHISEIDOについて
サイエンスとアートの感性を磨き上げ、感動をお届けし、イノベーションは完成する。
―新アルティミューンはどのような特徴がありますか?
エコー ブランドSHISEIDOはミッションとして「無限の美しさに向かって(Move Beauty Beyond Limit)」を掲げ、3つの価値観「アート」、「ビューティ」、「サイエンス」の融合を追求しています。これを体現すべく、アルティミューンはこれまでも成分を見直し美の未来を更新し続けてきました。
今回の商品開発の起点となったのは世界トップクラスの皮膚科学領域の研究機関との共同研究の中で発見された知見です。
この知見をスキンケアに応用するため、厳選された美容成分を3,000万個の角層細胞へすみずみまで届ける技術開発に着手しました。
最終的にたどり着いたのは、企業資生堂の象徴であり、ブランドSHISEIDOのロゴマークである日本の「椿」を使った「発酵カメリアエキス+※1」です。通常多く廃棄される椿油の搾りかすを日本酒で使用される麹菌「黄麹」を使って発酵させることで、美容成分へとアップサイクルすることに成功しました。この製法で抽出される成分はたったの2%、14種類の美肌に良いとされるアミノ酸を豊富に含みます。
- ※1:ツバキ種子エキス、アスペルギルス培養物、グリセリン:保湿
―椿はSHISEIDOのシンボルマークに使われていますね。
エコー はい。花椿マークは、初代社長 福原信三が1915年にデザインしたものです。日本に古くから伝わる花椿香油が当時の資生堂でいちばん人気があり、それを海外に輸出する計画があったため日本独特のモチーフにこだわっていたようです。
椿は日本が原産で「生命力」が強いのが特徴です。その中でも厳しい環境でも力強く咲き誇るのが五島列島の椿。新アルティミューンでは花びら、葉、種などほぼすべての部位を使用したエキスを採用しています。無駄を最小限に抑え、現地の生態系へ配慮し持続可能な取り組みにつなげています。
そして、「発酵カメリアエキス+※1」が日本の伝統的な発酵技術に着想を得た、ということも、SHISEIDOのストーリーとしてとてもエキサイティングです。
この画期的な技術をできるだけ早くみなさんにお届けしたく、グローバル規模で一丸となって通常よりも短期間で発売にこぎつけました。毎日のお手入れに加えていただくことで、肌のうるおいが自信と活力をもたらし、加齢という時間の捉え方を再定義いただけたらうれしいです。
―今回の進化の中で変えなかったことはあるのでしょうか
エコー アルティミューンは世界中でご愛用いただいているアイコニックな商品です。世界最新の皮膚科学研究の成果を投下する一方で「いつもの安心感」も大切にしています。
アルティミューンの特徴である「コクがあるのに、みずみずしくなめらか」な使用感は維持しました。
従来の使用感を損なわず、うるおい実感を両立させ、さらに今回は、自然由来指数91%※2を達成しました。サステナブルな視点からも進化を遂げているのです。
―安心感を維持しながら革新もしているのですね。
エコー 高評価をいただいている香りにもこだわっています。グリーンフローラルの調香はそのままに、今回は深呼吸したくなるようなリラックス感のある心地よい香りである天然香料のマツリカを加えました。アルティミューンの魅力がアップしたポイントです。
自然由来成分が増えたことによる製造工程の見直し、サステナビリティに応えつつプレステージ感を維持するパッケージの工夫など、ブランド価値の最大化に各部門が貢献してくれました。さまざまな垣根を超え、綿密な連携を取り、全社の力を結集し今回のローンチを迎えたことに感謝します。
生活者との共鳴を生み出すアートという装置
―アートはどのような役割を果たしているでしょうか。
エコー 新アルティミューンのキャンペーンキーワードは#FreedomFromAge #SlowAgingです。年齢を重ねるという時間に向き合うことを再定義する技術。それが詰まった印象的な赤いボトル。アイコニックな椿の花を科学がもたらす時間の再定義を象徴したビジュアルデザイン。ブランドカラーである「赤」は力強さを表現し「FREEDOM FROM AGE」を感覚的に伝えることができます。
―印象的な赤ですね。
エコー 実際にボトルを触ってみてください。この両側面にカーブをあしらったユニークなフォルムは初代から継承しているものですが、これは肌の悩みを跳ね返すような躍動感を表現しており、自らの力で美しさを手にいれ前向きに生きるパワーを感じていただけたらと思います。また、手になじむ心地よさにもこだわっています。毎日のスキンケアが優雅な時間であることを願っています。
サイエンスを社会に定着させるためには、商品を通じて人々のインスピレーションに訴えることが重要です。「とても美しい」「これは好きだ」そう思ってもらうためにアートの力は欠かせません。
直感的に感情を喚起し、商品を手に取り、特長を理解いただき、生活者の価値観に深く響く。強い結びつきを生み出す「共鳴」を作り出すことで、私たちの新しい価値を広げていけると考えています。
SHISEIDOという日本のビューティアイコンであること
―ここからはエコーさん個人のお考えも聞かせてください。まず、エコーさんが考える美しさとは何でしょう?
エコー 私が考える真の美しさとは、自己確信に根差すということです。自分を疑わず自信を持てるということ。この軸がないと、どこかで自分を見失ってしまうことにもなりかねません。
SHISEIDOは性別を問わず、自己確信につながる価値を提供できるブランドです。
私たちの最大の強みのひとつは、科学研究へのコミットメント。製品マーケティングに焦点を当てるブランドもありますが、私たちは基礎研究に多くの投資をしています。
肌を深く研究し、長期的な進歩を追求しています。この緻密なアプローチは、技術者と科学を融合させる日本の美の本質だと考えます。
このような「本質」が、ブランドへの安心感、使用時の満足感に繋がり、自分を労り愛する、ひいては自分に自信を持つというメンタリティへと繋がるのです。
さまざまな情報が一瞬で消費されてしまうデジタル時代に、ゆったり流れる時間の中で自分と向き合うマインドフルネスが求められるように、この本質は人の心を捉え続け、時代を超えて必要とされ続ける価値だと考えます。
大事に育て未来につなげていきたいですね。
―ブランドSHISEIDOのリーダーとしての挑戦についてお聞かせください。
エコー 日本を代表するリーディングブランドのひとつとして、ブランドについての魅力的な体験を提供し、日本の美の豊かさを世界に伝え、ブランドの認知度を高めることを目指しています。
SHSIEIDOは世界90の国と地域で販売されていますので、グローバルなビジョンとローカルなアクションの2つが必要です。グローバルではイノベーションの方向性を設定するリーダーシップが求められるのに対し、ローカル市場と密接に協力していく必要があります。ビューティの世界は地域によって好みが異なり、ローカルな洞察が必要です。
最新科学へのアプローチと、品質にこだわることは多くの国・地域のお客さまにとって重要だと認識しています。
グローバルスケールでの瞬発力をキープしながら、ローカルでは丁寧で緻密な行動をとるという連携で世界の常識を覆し、新しい歴史を作っていきたいと考えています。
そして、まだSHISEIDOの存在が周知されていない市場に対し挑戦し、強い存在感を確立する方法を探求しています。
―問題に対してはどのようにアプローチをしていますか?
エコー 私の現在の役割として、常に、「なぜ」から思考を開始し、未来に焦点を当て具体的に繋げるという視点を持ち、合理的な思考と感情のバランスを取ることに注力しています。
リーダーとして常に合理的な思考で判断すべきですが、市場は感情で動くからです。どちらが欠けてもうまくいかず、このバランスが重要だと考えます。
グローバルでは多様な視点、市場の特性とニーズのバランス、そして解決を一律に求めず、柔軟に対応することが大切です。
エンパワーメントの先駆者として
―エコーさんのグローバルなバックグラウンドは今後、SHISEIDOにどのように影響すると考えますか?
エコー 私は台湾で生まれ、日本語が話せる祖父母に育てられました。両親はアメリカンスタイルで、伝統的な東洋文化と自由な西洋文化の間を行き来する背景で育ち、異なる要素のバランスを取る「融合」という視点が形成されました。
企業資生堂は創業当時から東洋と西洋の美学とテクノロジーを融合した独自性を社会に提供してきました。私のユニークでハイブリッドなグローバルシチズンとしての強みと重なる部分があります。
企業資生堂は153年の伝統があり、その歴史とともに歩んできたブランドであるSHISEIDOを知らない人はいません。美容分野において、そのようなアーカイブを持つブランドはないでしょう。私はこのブランドをリードするという稀有な機会に恵まれたことに深い誇りを感じ、それが私を高い目標に駆り立てています。
私の目標は、アート、ビューティ、サイエンスをシームレスに融合させることで、SHISEIDOのブランド力を強化することです。そのために、日本の美の本質を再定義し、お客さまにより豊かな体験を提供することを目指しています。最終的には、世界でSHISEIDOが日本の美の象徴と言われるようにブランドを確立したいと考えています。
かつて企業資生堂が西洋文化を日本に紹介し、働く女性に道を切り開いてきたように、そのDNAを強く受け継ぐブランドSHISEIDOを舞台に、私も多様性とエンパワーメントの先駆者としてリードしていきます。
- ※1:ツバキ種子エキス、アスペルギルス培養物、グリセリン:保湿
- ※2:ISISO16128に基づき算出(水を含む)