~大田原市の地下水を大切に使い、高品質なスキンケア製品を届ける~
2022年12月22日
「資生堂」の社名は、中国の古典「易経」の「至哉坤元 万物資生(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか、すべてのものはここから生まれる)」という一節に由来しています。創業時からその先の未来へ、サステナブルな価値創造の使命が資生堂の名には刻まれており、近年特に深刻化している環境課題に対しても様々な取り組みを行っています。
私たちの生活や事業に欠かすことができない存在、かつスキンケア製品をつくる上で大切な原料のひとつである「水」。栃木県大田原市の水が豊富にあるという地域特性を活かして2019年に竣工した那須工場では、「美しい水を大切に使用し、さらには循環させる」という独自の視点で、高品質なものづくりと環境への取り組みの両立を実践しています。その内容について、那須工場工場長の西田美晴、那須工場環境事務局の上村友美に話を聞きました。
―那須工場ではどんな製品を中心に生産しているのですか。
西田 資生堂は現在国内に6つの生産拠点があり、那須工場は2019年に4番目の国内工場として竣工しました。
那須工場の生産ラインでは、エリクシールなどの国内外向け中高価格帯スキンケアを中心に生産しています。
那須工場は当社の強みである「高品質」を実現する設計・設備を取り入れ、その高い品質を支える「人」が働きやすく、成長できる職場環境も整っています。だからこそ、高品質な製品を持続的かつ安定的に生産できるといった面もあります。
―那須工場で生産されるスキンケア製品に使用している水の特長について教えてください。
―地域の資源である「水」をどのように管理・活用していますか。
上村 この地域の地下から汲み上げた井戸水の水質はとても良く、そのまま飲めるほどの純度ですが、安心して使える高品質なスキンケア製品に活用するために、それをさらに精製し、ろ過、電気処理、殺菌……といった約10工程のプロセスを踏んで、さらに純度を高めています。
その上ではじめて、化粧品の原料として使うことが許容されます。
―10工程とは。とても厳しい基準が設けられているのですね。
―排水に関してもかなり厳しい自社基準を設けられているとか。
上村 那須工場の排水処理施設は、見ていただくとわかるようにとても立派なものです。ここ栃木県は農業が盛んなため、県の条例で厳しい排水基準が定められているのですが、那須工場ではそれをさらに上回る厳しい自社基準を設け、工場で使用した後の水の処理を行っています。
4段階の工程を経て水質を測定機器と中央監視システムでしっかりと確認した上で、放流します。当然、放流する水は周辺の環境に影響を与えるため、よりきれいな水質のものでなければなりません。
私たち那須工場では、水を「消費する」ではなく、最終的に「循環させる」ことを目指しています。
―工場内では節水にも取り組んでいるそうですね。
―半分ほどに削減とは、大きいですね。
―那須工場は地域とも共存共生していますね。
西田 そうですね。水は地球規模で循環する資源です。世界を見ると、日本のように水が潤沢にある地域ばかりではありません。
日本はありがたいことに世界の平均の2倍に相当する雨が降るため、水が豊富にあります。さらに国内においても、ここ大田原市は、水が豊富な地域です。地域の貴重な資源を使わせていただいているという意識を忘れずに水を大切に扱うことが、地域に対しての責任だと思っています。節水はもちろんしなくてはならないことの一つですが、循環させていくことが重要です。
そして資生堂の那須工場で生産し、世の中に提供する製品が、自然豊かな大田原の地から生まれたものであることや、その水の質のよさについて積極的に発信していくことも私たちの使命だと思っています。
―新しい工場を建てる際、地域からの反発はなかったのですか?
―ほかの環境視点での取り組みはいかがですか?
―今後、那須工場でどんなチャレンジをしたいですか。
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