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日本社会のジェンダーギャップ解消と女性活躍支援

資生堂は日本社会全体のジェンダー平等の実現を目指すリーディングカンパニーとして、自社での取り組みをさらに進化させ、女性活躍のための支援活動に注力しています。

資生堂DE&Iラボ

2023年、社内研究機関「資生堂DE&Iラボ」を発足しました。多様な人財が持てる力を発揮することで、異なる価値観や考え方が新たなイノベーションを生むまでのプロセスを検証し、多様性と企業成長の因果関係を実証すると同時に、施策効果の実証により、多様性の力をいかすためのノウハウの抽出を目指します。また、これらの研究で得られた知見は自社内だけでなく社会にも共有することで、DE&Iの実現による日本経済の成長促進へ貢献していきます。

SHISEIDO DE&I Lab

企業の意思決定機関における健全なジェンダーバランスを目指す「30% Club Japan」への参画

日本企業の役員※1に占める女性比率の向上を目指す「30% Club Japan」は英国発祥のグローバルイニシアティブであり、日本では2030年をめどにTOPIX100企業で女性役員の比率30%※2を達成することを目標として2019年5月に発足し、2022年5月に第2期がスタートしました。当社代表執行役 会長 CEO 魚谷雅彦が第1期に続き、第2期の会長を務め、TOPIX 100、TOPIX Mid 400に含まれる企業34社※3の会長・社長からなるコミュニティ「TOPIX社長会」で活動しています。

「TOPIX社長会」は、これまで9回開催し※4、「30%Club Japan」のメンバーであるTOPIX100、TOPIX Mid 400の会長・社長、延べ172名が参加しました。イノベーションの創出には変化対応力の高い組織が必要であり、そのためには、とりわけ多くの部下を持ち、日常的な業務執行への影響が大きい執行責任者層(執行役員/ライン部長(組織長)層)のジェンダーバランスの実現が極めて重要であるとの考えに基づき、「執行役員・ライン部長(組織長)への女性登用」というテーマに加えて多様性をいかす組織カルチャー変革など、より幅広いテーマについて参加各社の事例を通じて活発な議論を展開しています。また、参加企業の実務責任者で構成されたプロジェクトマネジメントチーム(34社約80名)では、「TOPIX社長会」を通じて浮き彫りになった女性のキャリア成長を阻む3つのゲートに対応すべく、企業横断でのプロジェクト体制を組み、若手女性社員のキャリア意識醸成や育児との両立期社員に対するベストプラクティスの共有、女性幹部候補者と同会のトップとの交流会など全社共通の課題解決に向けた具体的施策を推進しています。

また、第2期からは「30% Club Japan」の特徴でもある企業を起点とするステークホルダーで社会へ働きかける「統合的アプローチ」が本格稼働し、機関投資家33社から構成されるインベスター・グループ、9大学からなる大学グループと「TOPIX社長会」との連携によるアクションが具体化しています。

5年間の取り組みにより、「TOPIX社長会」参加企業の役員に占める女性比率は国内上場企業の平均を12.5ポイント上回る23%まで上昇し、事業責任者や工場長などこれまで女性には不向きとされていたポストへの登用も進むなど、意思決定場面の女性参画が着実に成果を上げています。
資生堂は、女性活躍推進による同質性からの脱却と、そこから生まれるイノベーションの創出に向け、日本企業の変革をリードしていきます。

  1. ※1:役員は取締役と監査役と定義
  2. ※2:TOPIX100の取締役会における女性役員比率(監査役会設置企業は監査役を含む)
  3. ※3:2023年12月末時点
  4. ※4:2023年12月末時点

TOPIX社長会

TOPIX社長会

30% Club

地方自治体との協働による女性活躍支援

資生堂ジャパン株式会社と広島県は2021年に「女性活躍の推進に関する協定」を締結しました。以降、女性活躍支援活動として、美容セミナーを中心に広島県の女性の社会参画や子育て世代の女性の就労サポートを行っています。2022年は就職を希望する子育て世代の女性に向け、「就活メイクセミナー」を実施しました。2月には、広島県商工労働局が主催するオンライン「女性活躍支援研修」において、資生堂ジャパンのソーシャルエリアリーダーが管理職を目指す女性たちに向けて自身の経験を交えて激励しました。8月には、就職を希望する女性の相談窓口「わーくわくママサポートコーナー」において、資生堂パーソナルビューティーパートナーによるメイクレッスンを受けることができるチケットを配布し、新たな就労サポートの取り組みをスタートしました。さらには本協定の枠組みを超え、広島市男女共同参画推進センター主催の「女性管理職交流会」に参加し、地元企業を中心とした12名の女性管理職の方々と交流を深め、女性管理職が抱える課題について意見交換を行いました。女性活躍支援のための普及啓発や情報発信、働く女性のネットワーク構築に向けた支援を通じ、広島県の発展に取り組んでいます。

広島県「就活メイクセミナー」のオンライン配信の様子

広島県「就活メイクセミナー」のオンライン配信の様子

また、2022年は新たな日本の地方自治体との取り組みとして、山形市および社会問題に関する教育・研修事業などを展開する株式会社Ridilover(リディラバ)が包括連携協定を締結し推進する同市の女性活躍に向けた公民連携プロジェクト「まち、わたし、きらめく Women’s Campus山形」に参画しました。同プロジェクトのもと、5月の「女性活躍推進トップセミナー」において株式会社資生堂 人財本部 副チーフピープルオフィサー芦田恵美子が、6月の「トークイベント」では株式会社資生堂 取締役 常務鈴木ゆかりが登壇し、山形市で働く女性たちにエールを送りました。続く、山形市内の女性20名が参加した課題解決のための全5回のワークショップ(6月〜12月)では、資生堂ジャパン山形オフィス社員も加わり、ディスカッションなどを行いました。また6月と9月には、ビューティーセッションを実施し、スキンケアやメイクアップのレクチャーを開催しました。11月には、「家庭とキャリアの両立について」をテーマに講演し、このプロジェクトには同仙台オフィスからも社員が参加し総勢20名で山形市の取り組みを支援しました。

「まち、わたし、きらめく Women’s Campus山形」のワークショップの様子

「まち、わたし、きらめく Women’s Campus山形」のワークショップの様子

「まち、わたし、きらめく Women’s Campus山形」のビューティーセッションの様子

「まち、わたし、きらめく Women’s Campus山形」のビューティーセッションの様子

このほか、株式会社資生堂では、企業、地方自治体、大学、省庁、各種団体から、ジェンダー平等や女性活躍推進についての外部講演を依頼され、2022年の講演参加者は延べ1,856人(主催約30社/団体)にのぼりました。講演では、女性リーダー育成のためのトップのコミットメントの重要性をはじめ、資生堂の女性活躍推進の歴史や、意識改革のためのさまざまな人事施策など幅広い内容を取り上げています。代表的なものとしては、産学公の代表者で結成した「やまぐち女性活躍応援団」の取り組みのひとつ、市や地域の企業・大学との連携による「地域シンポジウム」の基調講演に登壇しました。山口県警の警察官を対象とした講演依頼では、男女双方の働き方を見直す契機となったと評価されました。これからもジェンダー平等の実現に向け培った当社の知見や経験が、社会の変革に役立つよう取り組んでいきます。

「やまぐち女性活躍応援団」主催のシンポジウムでの講演の様子

「やまぐち女性活躍応援団」主催のシンポジウムでの講演の様子

山口県警での女性活躍支援をテーマにした講演の様子

山口県警での女性活躍支援をテーマにした講演の様子

子育て支援の取り組み

  1. ※1:KODOMOLOGY株式会社は、カンガルーム汐留を2023年3月末で終了し、同年4月より資生堂および提携企業社員向け子育ての支援サービス「KANGAROOM+」の提供を開始しました
  2. ※2:2022年12月末時点

事業所内保育施設「カンガルーム掛川」

事業所内保育施設「カンガルーム掛川」

「KODOMOLOGYイクトレ」の様子

「KODOMOLOGYイクトレ」の様子

自然科学分野の女性研究者支援の取り組み

日本における女性研究者の比率は17.8%と欧米と比べて低い水準にとどまっています。この現状を改善させるため、資生堂は自然科学分野で世界をリードするイノベーティブな研究に従事する国内の女性研究者を継続して支援しています。2007年より助成制度「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」を運営し、16回目となる2023年は10名の女性研究者に対して研究助成金を贈呈しました。この助成金は、研究目的であれば出産や育児などの女性のライフイベントへのサポートにも活用できる柔軟さが特長となっており、これまで延べ159名の研究者の研究成果とキャリア形成に貢献してきました。
2023年は「サステナブルな社会の実現を目指した女性研究者同士のネットワーク構築」をテーマにした授賞式を資生堂グローバルイノベーションセンター(横浜)で開催しました。女性研究者の現状について、過去の受賞者を対象にアンケートを実施したところ、8割以上の研究者が「女性ゆえに困っていることがある」と回答し、「家庭と仕事の両立が困難」、「女性研究者が少なく立場が理解されにくい」、「周囲に相談・情報交換できる人がいない」という声が多く寄せられました。これらの回答から、日本社会に根付く性別役割分担意識を背景とした家庭と仕事の両立の困難をはじめ、孤立しやすく、キャリア形成に不安を抱えている女性研究者の実態が浮彫りになりました。一方、助成金が得られたこと以外で、本グラントを受賞して良かったことについては、「優秀な他の受賞者との交流が次の発想につながった」、「受賞そのものが心の支えになった」、「資生堂の研究員と交流がもてた」、「周囲から認められるようになった」などが挙げられました。
研究者が発想を膨らませ、研究成果を生み、社会に還元するうえで、研究者同士のネットワーク構築が不可欠です。本グラントの受賞により築いたネットワークが、次世代の自然科学をリードする女性研究者の活躍の支援となることを期待しています。

  • 調査期間:2022年11月16日~30日、資生堂 女性研究者サイエンスグラント受賞者のうち回答者数:74名(送付者数:119名)

資生堂 女性研究者サイエンスグラント 授賞式

資生堂 女性研究者サイエンスグラント 授賞式

SCIENCE GRANT

第16回資生堂 女性研究者サイエンスグラント授賞式の様子

スポーツを通じた取り組み
「強く、速く、美しく。」をモットーに取り組む資生堂ランニングクラブ

「資生堂ランニングクラブ」は、日本初の国際女子マラソンレース「第1回東京国際女子マラソン」の開催年となる1979年に発足しました。「強く、速く、美しく。」をモットーに、松田千枝、谷川真理、弘山晴美といった日本の女子陸上界に名を残す選手を輩出しています。
現在は、高島由香(リオ五輪出場)や一山麻緒(東京五輪入賞)、五島莉乃(オレゴン世界選手権2022・ブダペスト世界選手権2023出場)をはじめ9名の選手が在籍、世界での活躍を通じて、日本女子の競技力向上に貢献しています。2022年11月の「第42回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会(クイーンズ駅伝)」では、国内資生堂グループ社員総勢約200人が現地に応援に駆けつけるなか、創業150年を迎えた記念の年に、大会新記録で16年ぶりとなる2回目の優勝に輝きました。
常に高みを目指し、挑戦し続ける資生堂女性ランナーたちの美しい走りは、多くの人々に勇気を与えるだけでなく、自社の選手たちの応援を通じて、資生堂グループで働く社員の一体感の醸成や互いに研鑽し合う風土を育んでいます。

  • 2023年12月末時点

資生堂ランニングクラブの選手

資生堂ランニングクラブの選手

アクティブビューティーの実現を目指す「資生堂 レディスオープン」の主催

資生堂は「女性アスリートの躍動する姿を通じ、一人ひとりの心身ともに生きいきとした美しさ『アクティブビューティー』の実現を後押しし、多くの笑顔あふれるよりよい世界を目指す」という大会フィロソフィーを掲げ、一般社団法人日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)公認トーナメントの「資生堂 レディスオープン」を主催しています。2023年の大会では4日間で合計約22,000人の来場がありました。
また、大会参加選手の協力を得て「チャリティーオークション」を実施しており、その売上金を、女性アスリート支援を行っている「一般社団法人 女性アスリート健康支援委員会」に寄付しています。寄付金は、本委員会が実施する女性の健康支援事業に活用されます。

  • 2019年の大会名称は「資生堂 アネッサ レディスオープン」

女性アスリートの躍動する姿を通じた「アクティブビューティー」を発信しています。

女性アスリートの躍動する姿を通じた「アクティブビューティー」を発信しています。

大会最終日の様子

大会最終日の様子