「小村雪岱展 遥かな江戸の面影」
2009年10月2日(金)― 12月20日(日)
挿絵や装丁、舞台美術の分野で独自の世界を確立した日本画家、小村雪岱(こむら せったい・1887-1940年)の作品展。
小村雪岱(本名・泰助)は埼玉県川越市に生まれ、東京美術学校(現・東京藝術大学)の下村観山教室に学びました。卒業後は国華社にて古画の模写に従事し、1918年から1923年までは発足間も無い資生堂意匠部に所属、和風のデザインを担当するほか、現在も使用されている「資生堂書体」の基本を作った一人として活躍しています。
日本画家としての素養を十分に積んだ雪岱でしたが、1914年に手がけた泉鏡花著『日本橋』の装丁で高い評価を得、その後1933年に邦枝完二が東京朝日新聞に連載した小説『おせん』で挿絵画家としての地位を不動のものとしました。本展では、その存在は広く知られながらも、全作品の所在が長らく不明であった『おせん』新聞連載時の挿絵原画の中から4点を公開しました。また、舞台装置下図、版画、装丁本、資生堂在籍時代の作品などを併せた70余点を展示し、美しい江戸の風俗、面影を叙情に満ちた筆で再現した小村雪岱の世界を紹介しました。