「松井康成追悼展」
2003年10月3日(金)― 12月23日(火)
練上手(ねりあげで)の技法により、昭和生まれの陶芸家初の重要無形文化財保持者(人間国宝)として活躍されながら、本年4月に急逝された松井康成(まつい こうせい・1927-2003)の回顧展を開催しました。
練上手は色の異なる土を組み合わせて模様とする陶芸技法ですが、制作にあたっては高度な技術が必要とされます。松井は永年にわたって研究を続け、基本となる土は同じものを使い、少量でも鮮やかに発色する呈色材を混合する「同根異色」(どうこんいしょく)の技法を創始しました。また、練上手では不可能とされていた轆轤(ろくろ)による形成に新しい道をひらくなど、後進に与えた影響は多大なものがありました。この展覧会では、資生堂主催の「現代工藝展」(1975-1995)に出品された作品17点とともに、制作風景を撮影した写真、インタビューなどにより、練上手を生涯にわたって追究した作者の業績をしのびました。