「人間国宝 増村益城 髹漆の技と美」
2000年9月27日(水)― 12月24日(日)
増村益城(ますむら ましき・1910-1996)は「髹漆」(きゅうしつ・漆塗り全般を指す言葉)の技法によって、1978年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された漆芸家です。
熊本市立商工学校で漆芸の基礎を学んだ後、奈良、東京で修行を積み、1937年に独立してからは官展をはじめとする様々な展覧会に出品。戦後は日展を離れ、日本工芸会を活動の中心におきながら昭和から平成にかけての漆芸界を代表する作家として活躍しました。また、日本伝統工芸展と並ぶ主要な発表の場として、資生堂が主催した現代工藝展には第1回展から最終回まで20年間にわたって作品を発表しています。
増村芸術の特色は、乾漆による素地作りと卓越した塗りの技術が調和した独自の造形美にあります。増村益城はこの乾漆に様々な新しい工夫を加えることによって、軽く堅牢で、しかも高い可塑性を兼ね備えた技法として確立し、これまでに見られなかった清新な漆芸の美の世界をつくりあげました。その活動と作品は後進の作家たちに多大な影響をあたえています。
本展覧会では1975年から1995年にかけて現代工藝展に出品された作品を中心に、乾漆の工程見本や出品作品の原型、作者旧蔵の道具類などを展示し、増村益城の技と美の一端を紹介しました。