サステナブルな社会を目指してサステナビリティ

よりよい世界を実現する「サステナブル・ビューティー・イニシアティブ」 常務 チーフソーシャルバリュークリエイションオフィサー 青木 淳 よりよい世界を実現する「サステナブル・ビューティー・イニシアティブ」 常務 チーフソーシャルバリュークリエイションオフィサー 青木 淳

資生堂は、1872年創業当初から、まだ見ぬ新たな価値を探求し、社会に普及させ、社会価値を創造してきました。日本初の民間西洋風調剤薬局、その後のソーダファウンテンの導入、そして化粧品事業も、西欧の生活文化を日本の社会へ取り入れ、新たな価値として確立させたものです。

私たちの社名は、中国の古典「易経」の中の節「至哉坤元 万物資生(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものは、ここから生まれる)」に由来しており、私たちの継続的な事業活動は、豊かな自然や環境の持続性があってこそ成り立つという価値観が常に根底にありました。ですから、「企業活動は経済価値のみならず、社会価値の創出も重視される。企業が発展していくためには社会の継続性に寄与していかなければならない」という信念のもと、より良い社会へ向かう好循環を実現すべく多様な活動に取り組んでいます。

その好循環を生み出すのが、私たちの企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」の実現です。社会で重視されるESG(環境、社会、ガバナンス)に、当社の強みである「Culture(文化)」を含む「ESCG」を当社のサステナビリティ戦略の中心においています。ビューティーカンパニーならではの重点領域を定義し、よりよい世界の実現に向けた取り組み「Sustainable Beauty Initiative(サステナブル・ビューティー・イニシアティブ)」を推進していきます。各領域で目指す姿は以下のとおりです。

環境:Clean Environment美を心から楽しめる、豊かな地球環境へ。
社会:Respectful Society美で勇気づけ、違いを認め合い、尊重し合う社会へ。
文化:Enriched Culture美を変革する力で新たな価値を創り、心豊かな未来へ。
ガバナンス:Trustworthy Governanceすべてのステークホルダーに真摯に向き合い、経営の透明性、公正性、迅速性の維持・向上に努めます。

環境領域においては、さらなる持続的な成長を目指しCO₂排出量やパーム油、紙や水資源等の環境負荷項目について削減目標と達成時期を定め、注力しています。特に気候変動に対する対応を優先事項の1つとして捉え、2019年4月に気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)」の提言に賛同しました。環境対応パッケージの開発による海洋ゴミ問題の軽減なども取り組みを強化していきます。また、お客さまから高い評価を得ている日焼け止め技術により、強い紫外線がもたらす悪影響から人の肌とからだを守ります。

社会領域においては、まず日本社会の課題である女性活躍の推進をリードします。現在は、当社の国内の女性管理職比率を2020年末には40%に高めることを目指しています。加えて、ジェンダーギャップ指数が世界で121位という日本の現状の中、女性役員比率の向上を目指す「30% Club Japan」の初代会長に当社代表取締役 社長 兼 CEOの魚谷が就任し、他の日本企業と協業をしながら、女性活躍を阻む要因となる本質的課題の解決に取り組みます。またグローバルでは、ビューティーカンパニーならではの美容の力で人々をエンパワーする活動を、抗がん剤治療の後遺症による肌色変化を含めた、肌や外見に深いお悩みをもつ生活者や、高齢者の方々に向けて拡大していきます。

当社の強みである文化領域においては、これまで創出してきた企業文化やDNAをグループ社員に継承し、共有価値によって結束を強め、時代の変化とともに自己変革を繰り返してきたイノベーション力を呼び起こします。それによって新しい美の感性を探求・発見し、事業との協働を通じて新たな価値創造を行います。

ガバナンス領域においては、取締役会がグループの業務執行に対して監督機能を発揮するモニタリングボード型を採用し、グローバル経営の質を高めるため、多様性に富むメンバー構成としています。また、お客さま、生活者の声に真摯に耳を傾け、「Bad News Fast」の合言葉で常に問題点を提起し議論する透明性を保っています。
資生堂は、これらを「ESCG」の重要な要素として、100年先も輝き続け、そして世界で最も信頼される、日本発のグローバルビューティーカンパニーを目指します。

出典:世界経済フォーラム「Global Gender Gap Report 2020」(2019年12月発表)

常務
チーフソーシャルバリュークリエイションオフィサー青木 淳
青木 淳

資生堂のマテリアリティ(重要課題)

ビューティーカンパニーならではの社会価値創造の枠組みとして、ステークホルダーへのヒアリング、ディスカッションをもとに、2019年に資生堂グループのマテリアリティ(重要課題)を定めました。全てのステークホルダー(お客さま、取引先、社員、株主、社会・地球)へのインパクト、ビジネスへのインパクトの2軸から課題を分類し、優先順位をつけ、18項目のマテリアリティを選定しました。その上で、環境、社会、文化の3つのジャンルで社会価値を再定義しました。
なお、整理された各課題項目やその位置づけについてサステナビリティに関し専門的に扱う経営会議「サステナビリティ・コミッティ」などでの議論により、重点取り組みテーマを随時検討しています。

資生堂グループのマテリアリティマップ

※下記表は左右にスクロールしてご覧ください →

資生堂グループのマテリアリティマップ

資生堂が取り組む社会課題とSDGs

私たちは「Sustainable Beauty Initiative(サステナブル・ビューティー・イニシアティブ)」を推進し、SDGs(Sustainable Development Goals)の達成に貢献します。

Clean Environment 美を心から楽しめる、豊かな地球環境へ。

当社は、気候変動に対する対応を優先事項の1つとして捉え、CO₂排出量削減に向けた取り組みを行ってきました。(詳細は下記表参照)
2019年4月には、金融安定理事会(FSB)により設置されたTCFDの提言への賛同を表明しました。
今後は、TCFDの提言に基づき積極的な情報開示を進めていきます。

TCFD

これまでに導入してきた主な環境負荷軽減策

※下記表は左右にスクロールしてご覧ください →

開始年度 拠点 イニシアティブ
2019年 那須工場 再生可能エネルギー(水力発電。Scope2としては100%に相当)を使用
2018年 掛川工場、久喜工場、大阪工場 再生可能エネルギー(東京電力エナジーパートナー株式会社「アクアプレミアム」)を使用
2019年 資生堂アメリカイーストウィンザー工場(米国・ニュージャージー州) 再生可能エネルギー(Scope2としては100%に相当)を使用
2010年 太陽追尾式の太陽光発電設備を導入(同工場の年間使用電力量の15%以上を太陽光発電でカバー)
2007年 角度固定式の太陽光発電設備を導入

主な環境負荷軽減項目の目標値と達成時期

※下記表は左右にスクロールしてご覧ください →

項目 目標値 達成時期
CO₂排出量 カーボンニュートラル 2026年
パーム油 サステナブルなパーム油100%(RSPO MB方式以上) 2026年
サステナブルな紙100%(認証紙、再生紙など)※1 2023年
水消費量△40%(対2014年)※2 2026年
廃棄物 埋め立てゼロ※3 2022年
  • 商品における
  • 資生堂グループ全事業所、売上高原単位
  • 自社工場のみ

関連するSDGs

地球環境の負荷軽減
  • 6
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
環境対応パッケージ・処方開発
  • 3
  • 9
  • 12
  • 14
サステナブルで、責任ある調達
  • 8
  • 12
  • 15

Respectful Society 美で勇気づけ、違いを認め合い、
尊重し合う社会へ。

企業の役員に占める女性比率の向上を目指す「30% Club Japan」が2019年5月に活動を開始し、初代会長に当社代表取締役 社長 兼 CEOの魚谷が就任しました。同年末には、これに賛同するTOPIX100を中心とした日本企業のトップが構成する「TOPIX社長会」を立ち上げました。サステナブルな企業の成長のためには、女性の経営参画の加速が不可欠であるという考えのもと、女性の活躍を阻む本質的な課題について議論を開始しました。今後、企業の枠を超えたジェンダーギャップ解消に貢献していきます。

Respectful Society

関連するSDGs

ジェンダー平等
  • 5
  • 10
エンパワーメント支援
  • 3
  • 5
  • 10
人権と人材
  • 8
  • 10

Enriched Culture 美を変革する力で新たな価値を創り、心豊かな未来へ。

当社では、創業者の理念やDNAを深く学ぶための企業文化の継承を強化しています。静岡県掛川市の資生堂企業資料館では企業資料を社外にも公開し、化粧文化研究などに関して、多くの方に活用いただいています。
また、東京・銀座にある当社の画廊「資生堂ギャラリー」は、2019年12月に100周年を迎えました。2018年に同ギャラリーで開催した展覧会「蓮沼執太: ~ ing」は高い評価を受け、蓮沼氏は2018年度の文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞(メディア芸術部門)を受賞しました。
企業文化誌「花椿」は日本語版に加え、英語版の欧米で配布をスタートしました。当社は今後も、日本発の新たな価値を創造・発信してまいります。

1937年に創刊した企業文化誌「花椿」
1937年に創刊した企業文化誌「花椿」
「資生堂ギャラリー」が開催した蓮沼執太氏の展覧会「蓮沼執太: ~ ing」
「資生堂ギャラリー」が開催した蓮沼執太氏の展覧会「蓮沼執太: ~ ing」

関連するSDGs

企業文化の継承
  • 4
  • 5
  • 10
  • 16
日本発の価値創造・発信
  • 10
  • 16