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コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンスの進化の変遷

コーポレートガバナンスは、第3ステージへ

資生堂は、コーポレートガバナンスを「企業使命の達成を通じ、持続的な成長を実現するための基盤」と位置づけ、中長期戦略「VISION 2020」の実現に向けてコーポレートガバナンスの強化に取り組んでいます。2001年から本格的な取り組みを開始し、現在に至るまで継続的な改善を実行してきた当社の足取りは、大きく3つのステージに分かれます。
 第1ステージはコーポレートガバナンス改革の黎明期であり、執行役員制度の導入など「経営の監督と執行機能の分離」に着手しました。役員指名諮問委員会の設置や社外取締役の招聘など、枠組みの整備に取り組んだ第2ステージでは、客観的な数値基準や必要な外形基準を整え、これらの厳格な運用と積極的な開示を通じてコーポレートガバナンスの質を高めてきました。現在は、より持続的成長の実現に資するためのコーポレートガバナンスを目指し、全世界の資生堂の最高責任者である代表取締役 執行役員社長 兼 CEO(以下、CEO)のリーダーシップの発揮に必要な権限の集中と、CEOに対する監視・監督がバランスよく機能した「緊張感のあるコラボレーション」を実現する第3ステージに入っています。
 この「緊張感のあるコラボレーション」では、CEOの権限そのものを過度に制限するのではなく、CEOには最大限の権限を持たせた上で、取締役会などの監督機関への厳格な説明責任を課すことにより、監督機関がCEOや経営の執行を経常的に評価するプロセスを構築しており、役員指名諮問委員会や役員報酬諮問委員会による評価もこのプロセスを前提に経常的に実施しています。

数字で見る資生堂のガバナンス

取締役・監査役の構成(2018年4月1日現在)
取締役・監査役の構成

コーポレートガバナンス体制

基本方針

当社を含む資生堂グループは、「美しい生活文化の創造」を企業使命としています。そしてコーポレートガバナンスを「企業使命の達成を通じ、持続的な成長を実現するための基盤」と位置づけています。
 コーポレートガバナンスの実践・強化により経営の透明性・公正性・迅速性の維持・向上を図り、「お客さま」「取引先」「社員」「株主」「社会・地球」という全てのステークホルダーとの対話を通じて、中長期的な企業価値および株主価値の最大化に努めます。あわせて、社会の公器としての責任を果たし、各ステークホルダーへの価値の分配の最適化を目指します。

現状の体制を選択している理由

当社は、業務執行に対し、取締役会による監督と監査役による適法性・妥当性監査の二重のチェック機能を持つ監査役会設置会社の体制を選択しています。その中で、コーポレートガバナンスの基本方針に掲げた経営の透明性・公正性・迅速性の維持・向上を図るため、指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社の優れた機能を取り入れ、取締役会の監督機能の強化を進めています。
 2016年1月より、資生堂グループでは5つのブランドカテゴリーと6つの地域に区分して掛け合わせたマトリクス型の組織体制を本格稼働させています。当社は、グローバル本社としてグループ全体を統括し必要なサポートを行う機能を担うこととし、それまで当社が保有していた権限の多くを日本、中国、アジアパシフィック、米州、欧州およびトラベルリテールのそれぞれの地域本社に委譲することで、責任と権限の現地化を進めています。このような組織・経営体制を前提として、取締役会の構成や運営も含めた当社のコーポレートガバナンス体制のあるべき姿について取締役会での議論を重ねた結果、資生堂グループ全体への監督機能を十分に発揮するためには「モニタリングボード型」で進めることが適切であるとの結論に至ったことから、監査役会設置会社の体制の利点を活かしながら「モニタリングボード型のコーポレートガバナンス」を実施しています。

取締役および監査役の多様性

当社の取締役会は、業務執行の監督と重要な意思決定を行うために、多様な視点、多様な経験、多様かつ高度なスキルを持った取締役で構成されることが必要であると考えています。また、監査役についても取締役会に出席し、必要に応じて意見を述べる義務があることから、取締役と同様、多様性と高いスキルが必要であると考えます。
 多様性を考慮する際には、性別、年齢および国籍などの区別なく、それぞれの人格および識見に基づいて候補者を選定することで、これらの属性に関する多様性を確保することに加え、経営に関連する各分野の専門知識や経験などのタスク面での多様性を確保することも重視しています。
 また、社外取締役および社外監査役については、当社の従来の枠組みにとらわれることのない視点を経営に活かすことを狙いに一定の在任上限期間を設けており、在任期間の長い社外役員と新任の社外役員との引き継ぎの期間を設けながら社外役員の適切な交代を進めています。

経営の監督体制
経営の監督体制
取締役会における社外取締役の構成比率

当社では、定款の定めにより取締役の員数の上限を12名としており、適切に経営の監督を行うため、事業ポートフォリオや事業規模などを勘案の上、最適な人数の取締役を選任しています。
 このうち社外取締役については、一定の発言力の確保の観点から、3名以上選任することとしています。また、現に選任されている取締役の半数以上を社外取締役とすることを目処としています。
 なお、社外取締役および社外監査役の選任においては独立性を重視しており、当社が定める社外役員の独立性判断基準をクリアし、かつ精神的にも高い独立性を有する人材を候補者に選定することを原則としています。 

社外役員の独立性に関する
判断基準(概要)
  • 資生堂出身者ではない
  • 主要な取引先/その出身者ではない
  • 主要な取引先とする者/その出身者ではない
  • 大株主/その出身者ではない
  • 資生堂が大株主となっている者/その出身者ではない
  • 多額の報酬を受けている弁護士/コンサルタント等ではない
  • 多額の寄付を受けている者/その出身者ではない
  • 資生堂の会計監査人/その出身者ではない
  • 上記に該当する者が近しい親族にいない
  • 「役員の相互就任」の状況にある会社等に所属していない
  • その他、独立した社外役員としての職務を果たせないと
    合理的に判断される事情を有していない

※ 詳細は、コーポレートガバナンス報告書をご覧ください。

委員会

基本的な考え方

当社は、経営の透明性・客観性を高める観点から、取締役・執行役員候補者の選抜や役員の昇降格などを取締役会に答申する「役員指名諮問委員会」と、役員報酬制度や役員の業績評価などを取締役会に答申する「役員報酬諮問委員会」を設置しています。いずれの委員会も社外取締役を委員長とし、客観性を担保しています。
 また、CEOの直轄委員会としてコンプライアンス委員会を設置しています。コンプライアンス委員会は、6つの地域本社においてコンプライアンス機能を果たす組織と連携しながら、グループ全体の適法かつ公正な企業活動の推進やリスク対策など、企業品質の向上に向けた活動を統括します。コンプライアンス委員会の委員は、各地域の責任者など社内から横断的に選定されています。

評価部会

当社のコーポレートガバナンスでは、CEOに適切な権限を集中させつつ、その権限に拮抗できる強い監督機能を備えることが求められます。このため、CEOについては、役員指名諮問委員会および役員報酬諮問委員会に共通の審議機関として特別に設置した「評価部会」において、再任および交代等に関する審議・検討を実施しています。評価部会は、CEOの個人考課を含む業績評価と報酬額水準の妥当性の確認も行っており、任免とインセンティブ付けの両側面から、CEOを包括的に監督しています。なお、評価部会のメンバーは、CEOおよびCEOが率いる業務執行体制からの独立性を重視し、社外取締役および社外監査役のみで構成しています。

役員指名諮問委員会・役員報酬諮問委員会の委員
役員指名諮問委員会・役員報酬諮問委員会の委員

取締役会実効性評価

基本的な考え方

当社では、取締役会の実効性評価の実施目的を「取締役会・役員指名諮問委員会・役員報酬諮問委員会の実効性を高めるための課題抽出とその解決状況の確認」と定めています。当社から独立した立場からの客観的な評価と分析を取り入れるために、3年ごとに第三者評価を実施して第三者評価で抽出された課題の解決状況を確認し、第三者評価の翌年・翌々年には、毎年の具体的取り組み事項を定めるために自己評価を実施しています。

第三者評価と自己評価の組み合わせによる継続的な実効性向上サイクル
課題認識の変遷

2015年評価

  • 取締役会の議題の絞り込みと重要議題への注力
  • 社外取締役への情報提供の強化
  • 両諮問委員会の機能・権限等の明確化
  • 取締役におけるタスクダイバーシティの拡大
  • CEOのサクセッションプラン
  • 社外取締役のサクセッションプラン

2016年評価

  • 取締役会の議題の絞り込みと重要議題への注力(継続)
  • 社外取締役への情報提供の強化(継続)
  • 社外取締役と監査役(会)のコミュニケーション強化
  • CEOのサクセッションプラン(継続)
  • 取締役会のモニタリングボード化が進む中での監査役(会)の機能や役割定義の明確化

2017年評価

  • CEOのサクセッションプラン(継続)
  • 社外役員の重要性の再認識およびそのサクセッションプラン
  • 取締役会のさらなる多様性の確保
  • 社外取締役と監査役(会)のコミュニケーション強化(継続)
  • 取締役会・両諮問委員会の事務局体制の充実と監査役会事務局との連携強化
  • 両諮問委員会に関する情報の監査役(会)への提供の強化
継続的課題 CEOおよび社外役員のサクセッションプラン

取締役会実効性評価では、取締役会、役員指名諮問委員会、役員報酬諮問委員会に共通の継続的検討事項としてCEOのサクセッションプランに取り組む必要があるとの結果が出ています。当社では、CEOの後任候補者はCEO自身の責任と権限で選定するべく努めるべきであり、そのサクセッションプランもCEO自身が立案するものと考えています。その上で、取締役会の機能の一部を担う役員指名諮問委員会は、CEOよりサクセッションプランや具体的な後任候補者の指名について十分な報告を受け、意見を交換し、独立した立場からのCEOに対する評価や当社の経営課題も踏まえて検討を加え、フィードバックを行います。
 また、取締役会実効性評価では、経営に対する監督機能の鍵となる社外取締役および社外監査役のサクセッションプランも重要であるという結果も出ており、就任期間のコントロールや後継者候補の要件の明確化を含むサクセッションプランについて、交代の直前の時期だけでなく、常に意識すべき事項として役員指名諮問委員会において継続的に検討することとしています。

役員報酬

役員報酬制度の概要

当社は、役員報酬制度をコーポレートガバナンスにおける重要事項と位置づけています。このことから、当社の役員報酬制度は、以下の基本哲学に基づき、社外取締役を委員長とする役員報酬諮問委員会において、客観的な視点を取り入れながら設計しています。
 当社の役員報酬は、基本報酬と業績連動報酬で構成され、報酬額の水準については、国内外の同業または同規模の他企業との比較および当社の財務状況を踏まえて設定しています。
 なお、業務執行から独立した立場にある社外取締役および監査役には、業績連動報酬などの変動報酬はふさわしくないため、基本報酬のみの支給としています。また、役員退職慰労金制度については、2004年6月29日開催の第104回定時株主総会の日をもって廃止しました。

役員報酬制度の基本哲学
  • 企業使命の実現を促すものであること
  • 優秀な人材を確保・維持できる金額水準と設計であること
  • 当社の中長期経営戦略を反映する設計であると同時に、
    中長期的な成長を強く動機づけるものであること
  • 短期志向への偏重や不正を抑制するための仕組みが
    組み込まれていること
  • 株主や社員をはじめとしたステークホルダーに対する
    説明責任の観点から透明性、公正性および合理性を備えた
    設計であり、これを担保する適切なプロセスを経て
    決定されること
2018年–2020年までの3カ年の役員報酬制度

当社は、2018年から2020年までの3カ年を成長加速のための新戦略に取り組む期間と位置づけています。
 2015年から2017年までの3カ年は事業基盤の再構築の期間と位置づけていたことから、その3カ年を対象とした役員報酬制度は、役員に対し、変革のリーダーとして抜本的な改革を実行することを動機づける設計とし、短期的には業績数値に対してネガティブに作用するような課題解決でも、それが長期的成長のために必要であれば戦略的に解決することを促すインセンティブを設けていました。
 2018年からは、引き続き構造改革にも取り組みつつ、正のサイクルの構築を実施し成長を加速させていくことから、基本的には2017年までの構造を踏襲しながら、その一方で、成し遂げられた成果に対して報酬を支払うという「ペイ フォー パフォーマンス」の考え方を一歩進めた「ペイ フォー ミッション(企業として成すべきことを成したことへの報酬)」の考え方をより重視する設計とします。「ペイ フォー ミッション」の考え方のもとでは、売上高や営業利益額等の財務的な業績数値についてはもちろん、経営哲学や企業理念を反映した長期戦略の実現度合こそが業績の重要な要素として評価の対象となります。
 新しい報酬制度では、年次賞与の支給率上限を引き上げることで、目標を大きく上回った成長を実現したときには従来よりも多くの年次賞与の支給を受けられるようにしました。そして、業績連動報酬のうちの長期インセンティブ型報酬は、原則として年次賞与の金額と同額相当を株式報酬で支給する設計となっているため、年次賞与の支給率上限の引き上げは、業績連動報酬全体について業績連動性を高めることとなります。

・基本報酬
基本報酬については、各役員の担当領域の規模・責任やグループ経営への影響の大きさに応じて設定する役割等級ごとの設計としています。また、同一等級内でも、個別の役員の前年の実績(業績数値および個人考課)に応じて一定の範囲で昇給が可能な仕組みとなっており、基本報酬においても役員の成果に報いることができるようにしています。
 なお、社外取締役および監査役については、昇給枠のある基本報酬ではなく、従来通り一定の金額で固定された固定報酬のみを支給します。

・年次賞与
業績連動報酬の年次賞与は、連結売上高および連結営業利益額の目標達成率を全役員共通の評価指標とするほか、次表のとおり、各役員の担当領域に応じた評価項目を設定しています。なお、親会社株主に帰属する当期純利益については、経営に携わる立場の者全てが意識する必要がある一方、未来の成長に向けた投資等を積極的に行うことに対する過度な足かせにならないようにする必要があることから、次表の通り、役員報酬諮問委員会の審議を経てあらかじめ一定水準(閾値(しきいち))を定め、当該閾値を下回った場合に、役員報酬諮問委員会において、年次賞与の評価項目のうち全社業績部分の支給率の引き下げを検討するという設計としました。また、持続的成長を実現するための事業基盤の再構築への取り組みなど、財務的な業績数値だけでは測ることができない戦略目標の達成度を評価基準に加えるために、2017年までの役員報酬制度に引き続き、全役員について個人考課部分を設定しています。

取締役の役位ごとの種類別報酬割合
取締役の役位ごとの種類別報酬割合
  • 注1.上表は、基本報酬額を該当の役割等級における中央値とし、かつ業績連動報酬に係る目標達成率を100%とした場合のモデル
  •  2.取締役の代表権の有無により種類別報酬割合に差異を設けていない
  •  3.各役員の役割等級に応じて異なる報酬テーブルが適用されるため、同一役位内であっても、個人別に報酬の種類別の割合が異なる
  •  4.取締役会議長等の役割に応じて別途支給される定額の報酬は、本表の計算には組み込んでいない
取締役の年次賞与の評価ウエイト
取締役の年次賞与の評価ウエイト
  • 注 取締役の代表権の有無により評価指標および評価指標の適合割合に差異を設けていない

・長期インセンティブ型報酬
業績連動報酬のうち、長期インセンティブ型報酬としての株式報酬型ストックオプションについては、ストックオプションとしての新株予約権の割当て時と、割当てた新株予約権の権利行使期間の開始時の2つのタイミングで業績条件を課しています。
 まず、株主総会において割当て上限個数の承認を得た後、実際に新株予約権を割当てる際に、直前事業年度に係る年次賞与の評価指標を用い、0個から上限個数までの範囲内で付与個数の増減を行います。さらに、当該新株予約権の行使期間が開始する際に、その直前事業年度までの連結業績等の実績に応じて、割当てられた新株予約権の30~100%の範囲で権利行使可能な個数が確定する仕組みとしています。これにより、中長期的な業績向上と戦略目標達成へのインセンティブとしての機能を強化しています。
 なお、2018年は長期インセンティブ型報酬としての株式報酬型ストックオプションを継続することとしましたが、より当社の報酬哲学の実現にふさわしい株式報酬への変更に向け、引き続き検討を進めることとしています。

長期インセンティブ型報酬の
業績条件
新株予約権の割当て時
  • 全社業績(連結売上高、連結営業利益および親会社株主に
    帰属する当期純利益)、担当事業業績評価および個人考課のうち、
    各役員の年次賞与の算定に用いる項目と同じ項目を使用
  • 取締役会にて審議の上、割当て個数を決定
新株予約権の行使期間開始時
  • 新株予約権の割当て日が属する事業年度の前事業年度と
    翌事業年度の営業利益を比較し、営業利益の成長率を算出
  • 花王(株)(日本)、ロレアルS.A. (フランス)、
    エスティローダーカンパニーズInc. (アメリカ)など、
    国内外の化粧品の売上上位企業を比較対象企業として
    あらかじめ定め、当社と同じ事業年度について各社の営業利益の
    成長率を算出
  • 当社と比較対象企業の営業利益の成長率の比較結果に基づき、
    各役員に割当てられた新株予約権のうち権利行使可能な個数を
    決定
長期インセンティブ型報酬の割当て・権利行使スケジュール
長期インセンティブ型報酬の割当て・権利行使スケジュール
取締役および監査役の2017年12月期に係る報酬等の種類別の総額
取締役および監査役の2017年12月期に係る報酬等の種類別の総額
  • 注1. 上記の取締役の基本報酬および賞与の支給実績は、その合算が、第118回定時株主総会(2018年3月27日)決議による報酬限度額である年額20億円以内(うち、社外取締役分は年額2億円以内)。また、監査役の基本報酬は、第105回定時株主総会(2005年6月29日)決議による報酬限度額である月額10百万円以内
  •  2. 上記の取締役の長期インセンティブ型報酬(ストックオプション)は、取締役の職務執行の対価として株主総会の承認を得た上で交付したストックオプション(新株予約権)の当期費用計上額の合計額
  •  3. 上記支給額のほか、当社取締役1名に対して、当該取締役が取締役を兼務しない執行役員の地位にあったときに付与されたストックオプションの当期費用計上額16百万円がある
  •  4. 取締役全員および監査役全員について上記の役員報酬(注1. ~3.に記載したものを含む)以外の報酬の支払いはない
代表取締役および報酬などの総額が1億円以上である取締役の2017年12月期に係る報酬等の種類別の額
代表取締役および報酬などの総額が1億円以上である取締役の2017年12月期に係る報酬等の種類別の額
  • 注1. 上記の取締役の長期インセンティブ型報酬(ストックオプション)は、取締役の職務執行の対価として株主総会の承認を得た上で交付したストックオプション(新株予約権)の当期費用計上額の合計額
  •  2. 上記2名の取締役について上記以外の報酬はない

リスクマネジメント/コンプライアンス

コンプライアンス委員会

当社では、CEO直轄委員会としてコンプライアンス委員会を設置し、資生堂が社会的責任を果たすために求められる全ての領域を対象とし、社会変化や社内の現状を的確に捉え、経営リスク要因を特定し、ネガティブリスクに対する未然防止策または軽減対策を審議・決裁するほか、リスク案件の報告および再発防止策の検討、通報・相談案件の報告および職場風土の根本的な課題改善策の検討、ならびにコンプライアンス活動のモニタリングと改善すべき課題の検討を行っています。リスクマネジメントは、業種・ビジネスモデルの特質や経営戦略と密接に関連するものであるため、コンプライアンス委員会は業務執行のトップであるCEOの直轄とした上で、必要に応じて取締役会に報告を行う構成としています。

取締役会によるリスクの監督

当社では、取締役会がモニタリングすべき重要な事項の1つとして、資生堂全体のリスクの監督を挙げています。取締役会では、コンプライアンス委員会が特定したリスク要因の報告を受け、ネガティブリスクの未然防止策や軽減対策に対するフィードバックを行います。また、取締役会に提案・報告される個別の案件や戦略について、リスクに関する適切な検討が行われていることを確認するために、案件の前提条件、リスク許容度や、その限度に関する問いかけを行うなどして、経営陣によるネガティブリスクの特定や、防止・軽減策の実行や、適切なリスクテイクの実現を促しています。
 また、取締役会は、取締役会への個別の提案・報告事項やコンプライアンス委員会からの報告に加え、監査役や監査役会との連携による情報の共有を通じてリスクに関する情報を集積し、実効性の高いリスクの監督の実現につなげています。

リスクの見直し

当社では、事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、資生堂の財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、コンプライアンス委員会での検討等を踏まえて適時に見直しを行っています。見直しにあたっては、既存のリスク項目への項目追加の要否に加え、リスクが発現した場合の影響の大きさ等を踏まえた優先順位づけについても併せて見直しています。
 本アニュアルレポートの発行時点では、2017年の状況を踏まえ、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項として下記のようなものがあると考えています。

事業のリスク
  • お客さま対応
  • 品質管理
  • 戦略的投資
  • 情報セキュリティに関するリスク
  • 化粧品業界の競争環境
  • 市場ニーズへの適合
  • 特定の取引先
  • 運営リスク
  • 優秀な人材の確保
  • 環境・人権への配慮
  • 重要な訴訟等
  • 法規制等に関するリスク
  • 原材料価格変動のリスク
  • 為替変動のリスク
  • 株価変動のリスク
  • 地政学に関するリスク
  • 災害・事故等
  • ブランド価値の低下

※詳細は、「有価証券報告書」をご覧ください。

内部通報

当社では、グループ内における法令・定款・諸規程に違反する行為を発見し、これを是正することを目的に、内部通報窓口として、コンプライアンス委員会ホットラインを設置しています。また、各事業所の企業倫理推進担当を通報・相談先とするホットラインをグループ各社に設置しています。日本地域のホットラインは、社内カウンセラーによる社内窓口に加え、社外のカウンセラーによる社外窓口も設置しています。さらに、監査役に対して直接通報するための監査役への通報メールの仕組みも構築し、これらの周知を図っています。
 資生堂では、これらの内部通報に関する仕組みの実効性を担保するために、従業員、執行役員および役員が、これらの通報・報告・相談をしたことを理由として、解雇・解任その他のいかなる不利な取り扱いも受けることのないよう諸規程を整備し、周知を図っています。