2015–17年の振り返り
下落し続けていた日本事業のシェアは一転して上昇し、成長モメンタムを確実なものとしました。本社と販売会社を統合した地域本社のもと、研究開発、生産、営業などの組織に一気通貫したマーケティングが定着したことが、日本のお客さまの売上拡大やインバウンド需要の取り込みなどに貢献しました。さらに、デジタル・Eコマースの強化やブランドの販売チャネルの見直しにも取り組みました。
売上高/営業利益推移
今後の市場環境
日本市場は、プレステージおよび中価格帯市場の成長、インバウンドの需要拡大などにより、継続的な伸長を見込みます。加えて、美容医療やパーソナライゼーションなど新たな領域も注目されています。2017–20年の日本市場のCAGRは+2%の見通しです。
- 注 ユーロモニター予測 2017 プレミアムおよびマス(スキンケア、サンケア、カラー、フレグランス、ヘアケア、デオドラント、バス・シャワー、その他セット・キット)
日本市場No.1戦略
日本市場No.1の地位を盤石化すべく、「SHISEIDO」などプレステージブランドをはじめ、資生堂が強みを発揮できる「肌3分野(スキンケア、ベースメイク、サンケア)」への集中投資を継続するとともに、イノベーティブな商品を導入することにより、シェア拡大を一層加速します。また、チャネルにとらわれず、生活者の行動様式や購買スタイルに合わせて、コンタクトポイントを拡大・強化することに加え、これからの新しい市場をけん引する若年層や団塊ジュニアの支持獲得にも注力します。特に、デジタルネイティブのミレニアル世代に対するマーケティング投資を継続し、シェアの拡大につなげていきます。
インバウンド戦略
増加している訪日外国人の需要に対しては、日本国内だけでなく、アジア全域を一つの市場と捉えたクロスボーダーマーケティングを継続します。市中、空港、航空機内、越境Eコマースなどのマルチプルなタッチポイントで、「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「エリクシール」、「アネッサ」、「専科」などのブランド展開を強化します。日本の店頭においては、通訳者を配置したり、多言語でカウンセリングできるデジタルツールを活用することにより、訪日外国人への応対をさらに充実させます。
これらの取り組みにより、2020年の日本事業の売上高は4,900億円、営業利益率は10%台後半を目標としています。