2015–17年の振り返り
中国事業は本社主導から現地主導へと転換し、収益性が大幅に改善しました。プレステージ事業とEコマースにマーケティング投資を集中した結果、プレステージ事業は2015年からの3カ年でCAGRは+41%と大きく成長しました。また、中国事業(香港除く)のEコマースの売上高構成比率は、2015年の約15%から2017年には26%にまで拡大しました。コスメティクス事業では、「オプレ」のリブランディングに加え、「Za」や「ピュア&マイルド」のセルフ販売化や取引制度改革を実施しました。
売上高/営業利益推移
今後の市場環境
中国市場は、若年層(80-00世代)の消費拡大、3-4級都市の伸長が市場成長をけん引することが見込まれます。加えて、世界最大規模のEコマース市場がさらに拡大することにより、2017–20年の中国市場のCAGRは+7%と見込んでいます。
- 注 ユーロモニター予測 2017 プレミアムおよびマス(スキンケア、サンケア、カラー、フレグランス、ヘアケア、デオドラント、バス・シャワー、その他セット・キット)
重点戦略
中国事業では、さらなる成長を実現するために3つの重点戦略を遂行します。1つ目は、プレステージ事業の加速です。「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「イプサ」などを中心に、ローカライズマーケティングによるブランドエクイティ強化に取り組みます。また、成長領域であるメイクアップカテゴリーは「NARS」を中心に強化します。2つ目は、消費拡大が見込まれる3-4級都市の攻略です。グループシナジーを活用しながら、拠点カウンターを拡大します。3つ目は、デジタル・Eコマースの強化です。Eコマースの役割は販売チャネルからマーケティングプラットフォームに変化しています。この変化を捉えながら、消費者の購買行動に沿ったシームレスなブランド体験を実現することに加え、多様化するニーズに対応するべく、エクスクルーシブな商品やパーソナライズされたサービスを強化します。さらに、データを活用したCRMを積極展開することにより、2020年には、中国事業のEコマース売上高構成比率を40%程度まで高めます。
コスメティクス事業は、持続的な売上成長とさらなる収益性改善に向けた取り組みを推進します。「オプレ」は、高成長が見込めるデジタル・Eコマースの領域や、3-4級都市へ投資をシフトします。「Za」、「ピュア&マイルド」は、セルフ販売の強化と新規チャネルの展開によって、収益性を向上させます。そして、「エリクシール」、「アネッサ」は、高い信頼を得ている日本発ブランドとしての価値を活かしながら、地方都市にも進出し、認知・売上規模をさらに拡大します。
これらの取り組みにより、中国事業の2020年には、売上高は2,040億円、営業利益率は10%台前半へと高めていきます。