ジェンダーギャップの解消による女性の活躍を支援

世界経済フォーラム の「ジェンダー・ギャップ指数2022」において、ジェンダーギャップの解消にはあと132年かかると指摘されているように、ジェンダー平等への歩みは停滞しています。世界では、児童婚、貧困、差別、ジェンダーによる偏見といった障壁により、初等教育・中等教育を受けることが困難な少女たちの環境が一層深刻さを増しています。国内においては、「ジェンダー・ギャップ指数2022」の日本の順位は主要先進国では最低の116位と、第1回発表の2006年から15年以上を経てもなお、そのランキングは低位で推移し、とりわけ政治分野と経済分野における女性参画の低さが指摘されています。
資生堂のこれまでの知見や経験を発展させ、国際機関、民間企業、地方自治体、関係団体などと連携し、女性が経済的に自立すること、また意思決定機関における女性の参画があたりまえの姿になることなど、性別にかかわらず、公正な機会を得ることで、一人ひとりが自分らしく生きられる社会の実現に貢献していきます。

日本社会のジェンダーギャップ解消と女性活躍支援

資生堂は日本社会全体のジェンダー平等の実現を目指すリーディングカンパニーとして、自社での取り組みをさらに進化させ、女性活躍のための支援活動に注力しています。

資生堂D&Iラボ

2023年、社内研究機関「資生堂D&Iラボ」を発足しました。多様な人財が持てる力を発揮することで、異なる価値観や考え方が新たなイノベーションを生むまでのプロセスを検証し、多様性と企業成長の因果関係を実証すると同時に、施策効果の実証により、多様性の力をいかすためのノウハウの抽出を目指します。また、これらの研究で得られた知見は自社内だけでなく社会にも共有することで、D&Iの実現による日本経済の成長促進へ貢献していきます。

資生堂D&Iラボ

企業の意思決定機関における
健全なジェンダーバランスを目指す「30% Club Japan」への参画

日本企業の役員に占める女性比率の向上を目指す「30% Club Japan」は英国発祥のグローバルイニシアティブであり、日本では2030年をめどにTOPIX100企業で女性役員の比率30%を達成することを目標として2019年5月に発足し、2022年5月に第2期がスタートしました。当社代表取締役 会長 CEO 魚谷雅彦が第1期に続き、第2期の会長を務め、TOPIX 100、TOPIX Mid 400に含まれる企業33社の会長・社長からなるコミュニティ「TOPIX社長会」で活動しています。

「TOPIX社長会」は、これまで7回開催し、「30%Club Japan」のメンバーであるTOPIX100、TOPIX Mid 400の会長・社長、延べ125名が参加しました。イノベーションの創出には変化対応力の高い組織カルチャーへの変革が必要であり、そのためには、とりわけ多くの部下を持ち、日常的な業務執行への影響が大きい執行責任者層(執行役員/ライン部長(組織長)層)のジェンダーバランスの実現が極めて重要であるとの考えに基づき、昨年に引き続き2022年も「執行役員・ライン部長への女性登用」をテーマに、参加各社の事例を通じて活発な議論を展開しました。 また、参加企業の実務責任者で構成されたプロジェクトマネジメントチーム(33社約80名)では、「TOPIX社長会」を通じて浮き彫りになった女性のキャリア成長を阻む3つのゲートに対応すべく、企業横断でのプロジェクト体制を組み、若手女性社員のキャリア意識醸成や育児との両立期社員に対するベストプラクティスの共有、女性幹部候補者と同会のトップとの交流会など全社共通の課題解決に向けた具体的施策を推進しています。

また、第2期からは「30% Club Japan」の特徴でもある企業を起点とするステークホルダーで社会へ働きかける「統合的アプローチ」が本格稼働し、機関投資家31社から構成されるインベスター・グループ、9大学からなる大学グループと「TOPIX社長会」との連携によるアクションが具体化しています。

4年間の取り組みにより、「TOPIX社長会」参加企業の役員に占める女性比率は国内上場企業の平均を14.0ポイント上回る22.9%まで上昇し、事業責任者や工場長などこれまで女性には不向きとされていたポストへの登用も進むなど、意思決定場面の女性参画が着実に進化しています。
資生堂は、女性活躍推進による同質性からの脱却と、そこから生まれるイノベーションの創出に向け、日本企業の変革をリードしていきます。

TOPIX社長会
TOPIX社長会
30% Club Japan

地方自治体との協働による女性活躍支援

資生堂ジャパン株式会社と広島県は2021年に「女性活躍の推進に関する協定」を締結しました。以降、女性活躍支援活動として、美容セミナーを中心に広島県の女性の社会参画や子育て世代の女性の就労サポートを行っています。2022年は就職を希望する子育て世代の女性に向け、「就活メイクセミナー」を実施しました。2月には、広島県商工労働局が主催するオンライン「女性活躍支援研修」において、資生堂ジャパンのソーシャルエリアリーダーが管理職を目指す女性たちに向けて自身の経験を交えて激励しました。8月には、就職を希望する女性の相談窓口「わーくわくママサポートコーナー」において、資生堂パーソナルビューティーパートナーによるメイクレッスンを受けることができるチケットを配布し、新たな就労サポートの取り組みをスタートしました。さらには本協定の枠組みを超え、広島市男女共同参画推進センター主催の「女性管理職交流会」に参加し、地元企業を中心とした12名の女性管理職の方々と交流を深め、女性管理職が抱える課題について意見交換を行いました。女性活躍支援のための普及啓発や情報発信、働く女性のネットワーク構築に向けた支援を通じ、広島県の発展に取り組んでいます。

広島県「就活メイクセミナー」のオンライン配信の様子
広島県「就活メイクセミナー」のオンライン配信の様子

また、2022年は新たな日本の地方自治体との取り組みとして資生堂ジャパン株式会社は、山形市および社会問題に関する教育・研修事業などを展開する株式会社Ridilover(リディラバ)が包括連携協定を締結し推進する同市の女性活躍に向けた公民連携プロジェクト「まち、わたし、きらめく Women’s Campus山形」に参画しました。同プロジェクトのもと、5月の「女性活躍推進トップセミナー」において株式会社資生堂 人財本部 副チーフピープルオフィサー芦田恵美子が、6月の「トークイベント」では株式会社資生堂 取締役 常務鈴木ゆかりが登壇し、山形市で働く女性たちにエールを送りました。続く、山形市内の女性20名が参加した課題解決のための全5回のワークショップ(6月〜12月)では、資生堂ジャパン山形オフィス社員も加わり、ディスカッションなどを行いました。また6月と9月には、ビューティーセッションを実施し、スキンケアやメイクアップのレクチャーを開催しました。11月には、「家庭とキャリアの両立について」をテーマに講演し、このプロジェクトには同仙台オフィスからも社員が参加し総勢20名で山形市の取り組みを支援しました。

「まち、わたし、きらめく Women’s Campus山形」のワークショップの様子
「まち、わたし、きらめく Women’s Campus山形」のワークショップの様子
「まち、わたし、きらめく Women’s Campus山形」のビューティーセッションの様子
「まち、わたし、きらめく Women’s Campus山形」のビューティーセッションの様子

子育て支援の取り組み

資生堂では、「企業が連携して子育て環境を改善していく」という考えに基づき、2017年には企業が持つ事業所内保育所の運営受託を事業の中核としたKODOMOLOGY株式会社を設立し、保育事業をスタートさせました。「カンガルーム汐留(2003年)」「カンガルーム掛川(2017年)」の運営に加えて、他企業の事業所内保育所の設立支援、運営も受託しています(静岡県内2施設、神奈川県内1施設)。2022年4月から、男性の育休取得についての新たな法制度の段階的施行を受け、カンガルーム汐留にて、男性社員のための育児トレーニング「KODOMOLOGYイクトレ」を本格的にスタートしました。参加者が育児に対して当事者意識を持ち、家族全員がチームとなって子育てをしながらキャリアを築くことをサポートしています。当社社員や家族を含め、延べ52人が受講し、「育児トレーニングを通じて前向きな気持ちになり、ファミリー単位で育児とキャリアを両立することについて考えるきっかけになった」という声が多く寄せられました。

事業所内保育施設「カンガルーム掛川」
事業所内保育施設「カンガルーム掛川」
カンガルーム汐留での「KODOMOLOGYイクトレ」の様子
「KODOMOLOGYイクトレ」の様子

自然科学分野の女性研究者支援の取り組み

日本における女性研究者の比率は17.5%と欧米と比べて低い水準にとどまっています。この現状を改善させるため、資生堂は自然科学分野で世界をリードするイノベーティブな研究に従事する国内の女性研究者を継続して支援しています。2007年より助成制度「資生堂女性研究者サイエンスグラント」を運営し、15回目となる2022年は10名の女性研究者に対して研究助成金を贈呈しました。この助成金は、研究目的であれば出産や育児などの女性のライフイベントへのサポートにも活用できる柔軟さが特長となっており、これまで述べ149名の研究者の研究成果とキャリア形成に貢献してきました。
2022年は第15回受賞者の授賞式、及び14回研究報告会を3年ぶりに資生堂グローバルイノベーションセンター(横浜)で開催しました。研究報告会では、マテリアルサイエンスや分子生物学などさまざまな研究の第一線で活躍する女性研究者9名が、前年の受賞研究の進展を報告し、異分野の研究者同士での意見交換を行いました。また、授賞式の前に開催された懇親会では、研究内容やライフイベント時の悩みなどを共有し親睦を深めました。本グラントの受賞により築いたネットワークによって、次世代の自然科学をリードする女性研究者の活躍の支援につながることを期待しています。

資生堂女性研究者サイエンスグラント 授賞式
資生堂女性研究者サイエンスグラント 授賞式
サイエンスグラント
第15回資生堂女性研究者サイエンスグラント授賞式の様子

スポーツを通じた取り組み
「強く、速く、美しく。」をモットーに取り組む資生堂ランニングクラブ

「資生堂ランニングクラブ」は、日本初の国際女子マラソンレース「第1回東京国際女子マラソン」の開催年となる1979年に発足しました。「強く、速く、美しく。」をモットーに、松田千枝、谷川真理、弘山晴美といった日本の女子陸上界に名を残す選手を輩出しています。
現在は、高島由香(リオ五輪出場)や一山麻緒(東京五輪入賞)、木村友香(ドーハ世界選手権2019出場)、五島莉乃(オレゴン世界選手権2022出場)をはじめ9名の選手が在籍、世界での活躍を通じて、日本女子の競技力向上に貢献しています。また、五島莉乃は、2022年2月、「第50回全日本実業団ハーフマラソン」で女子単独レース日本新記録を樹立しました。同年11月の「第42回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会(クイーンズ駅伝)」では、国内資生堂グループ社員総勢約200人が現地に応援に駆けつけるなか、創業150年を迎えた記念の年に、大会新記録で16年ぶりとなる2回目の優勝に輝きました。
常に高みを目指し、挑戦し続ける資生堂女性ランナーたちの美しい走りは、多くの人々に勇気を与えるだけでなく、自社の選手たちの応援を通じて、資生堂グループで働く社員の一体感の醸成や互いに研鑽し合う風土を育んでいます。

資生堂ランニングクラブの選手
資生堂ランニングクラブの選手
第42回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会(クイーンズ駅伝)ⓒGetsuriku
第42回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会(クイーンズ駅伝)ⓒGetsuriku

アクティブビューティーの実現を目指す「資生堂 レディスオープン」の主催

「女性アスリートの躍動する姿を通じ、心身ともにいきいきとした美しさ『アクティブビューティー』の実現を後押しし、多くの笑顔あふれるよりよい世界を目指す」という大会フィロソフィーを掲げ、2019年から、一般社団法人日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)公認トーナメントの「資生堂 レディスオープン」を主催しています。
2022年同大会の実績は、来場者数約15,000人、大会認知度10.5%、大会フィロソフィー共感度73.2%となっています。
また、大会参加選手の協力を得て「チャリティーオークション」を実施しており、その売上を、女性アスリート支援を行う「独立行政法人日本スポーツ振興センター」が設置する「ハイパフォーマンススポーツセンター」に寄付しています。寄付金はアスリートが競技に専念できる環境づくりを目的として、施設内託児室の保育士派遣費用や備品購入などに使用されます。

女性アスリートの躍動する姿を通じた「アクティブビューティー」の伝達
女性アスリートの躍動する姿を通じた「アクティブビューティー」の発信
資生堂 レディスオープン

グローバルでの女子教育と経済的自立支援

資生堂では、ブランドおよび海外地域本社が連携して、世界のジェンダー課題解決、女性のエンパワーメントを目的に社会的に厳しい状況にある女性と少女への教育支援、自立支援を行っています。

クレ・ド・ポー ボーテ 女子教育支援の取り組み

2019年に「クレ・ド・ポー ボーテ」がユニセフ(国連児童基金)と結んだパートナーシップは2022年に3年目を迎えました。このパートナーシップを通じて、クレ・ド・ポー ボーテは、ユニセフのジェンダー平等のためのプログラムを支援する形で、複数の国や地域で教育と雇用、エンパワーメントを通じてジェンダー平等の促進に成果を上げています。3年間のパートナーシップを通じて、クレ・ド・ポー ボーテは、350万人以上の少女を支援してきました。

 UNICEF does not endorse any company, brand, product, or service.

この支援活動を広めるために、本パートナーシップの一環として、2022年においても、店頭を中心に美容液「ル・セラム」を用いたキャンペーンを実施しました。同商品の全世界での売上の一部をユニセフの活動に寄付し、バングラデシュ、キルギス、ニジェールなどの国や地域において、少女たちが教育とスキル開発の障壁を克服するための取り組みに活用されました。

2022年は、支援活動及び実績の共有を目的に、クレ・ド・ポー ボーテのチームメンバーや資生堂の関係部署150名以上がバングラデシュへのオンライン視察に参加し、ユニセフとのパートナーシップによって実現した主要な取り組みについて学びました。代表的なものとして、ユニセフがバングラデシュ政府や市民団体とともに行った、教育におけるジェンダーに対応したスキルに基づくカリキュラム開発支援や、未就学の少女たちが教育と技能訓練を受けられることを目的とした地域社会での雇用機会につながる代替教育プログラム(ALP)などが紹介されました。このオンライン視察では、ALPを受講した生徒や少女たちの親、メンター、コーディネーターが参加し、クレ・ド・ポー ボーテの支援によって少女たちの人生がどのようにポジティブに変化しているかが共有されました。

キルギスとのバーチャルツアー(オンライン視察)の様子
バングラデシュへのオンライン視察の様子

また、資生堂は、2022年9月に、クレ・ド・ポー ボーテが日本ユニセフ協会への寄付を通じて、世界中の少女たちへの教育およびエンパワーメントの活動支援に対する功績が認められ、国より紺綬褒章に係る褒状を受章しました。

紺綬褒章に係る褒状授与の様子 
左)クレ・ド・ポー ボーテ
  チーフブランドオフィサー
右)公益財団法人 日本ユニセフ協会
  専務理事
紺綬褒章に係る褒状授与の様子
(左)クレ・ド・ポー ボーテ チーフブランドオフィサー
(右)公益財団法人 日本ユニセフ協会 専務理事

また、同ブランドでは2019年よりグローバルチャリティープログラム「パワー・オブ・ラディアンス・アワード」を設立し、教育を通じて少女たちの社会的地位向上、女性のエンパワーメントを推進するため、毎年女子教育に貢献した女性を表彰しています。第4回目となる2022年のアワードでは、インドネシア、ジャカルタにおいてSTEM教育を通じた少女たちのエンパワーメントに取り組んでいるアマンダ・シマンジャンタックさんを選出しました。シマンジャンタックさんは、非営利団体MARKODINGのCEOであり共同創設者でもあります。団体は、イノベーションとテクノロジーを軸に、インドネシアの若者の就業と自立をエンパワーする目的で設立されました。

これらのチャリティープログラムを支援するための寄付は、美容液「ル・セラム」のグローバル売上から拠出されます。

「パワー・オブ・ラディアンス・アワード」の2021年受賞者アリョーナ・トカチェンコさん
「パワー・オブ・ラディアンス・アワード」の2022年受賞者アマンダ・シマンジャンタックさん
POWER RADIANCE

2022年5月に、クレ・ド・ポー ボーテ インドネシアオフィスでは、インドネシア出身のシマンジャンタックさんが、STEM教育の重要性や、インドネシアの少女たちが将来より多くのキャリアの機会を得るためにSTEM教育が果たすべき役割について講演しました。また、現在取り組んでいるイノベーションとテクノロジーを通じて少女たちをエンパワーメントするプログラムの計画についても説明しました。

(左)講演中のアマンダ・シマンジャンタックさん
講演中のアマンダ・シマンジャンタックさん
(右)シマンジャックタックさんを囲んで(クレ・ド・ポー ボーテ インドネシアオフィス/資生堂コスメティクス インドネシアにて)
シマンジャックタックさんを囲んで(クレ・ド・ポー ボーテ インドネシアオフィス/資生堂コスメティクス インドネシアにて)

今後もクレ・ド・ポー ボーテは、社会にポジティブな影響をもたらす女性、そして外見だけでなく内面的な美しさや強さを目指す女性たちを応援し、彼女たちの輝く力を世の中に還元していきます。

トラベルリテール地域本社 経済的に厳しい環境にいるカンボジアの女性の就労支援の取り組み

トラベルリテール地域本社では、2020年より「Friends-International」とパートナーシップを結び“Empower Her”プロジェクトの支援を行ってきました。このプロジェクトでは、教育とエンパワーメントを通じて貧困の連鎖を断ち切ることを目的に、カンボジアの経済的に厳しい環境にいる女性を対象とした美容訓練プログラムを提供し、美容業界への就労を支援してきました。資生堂は、寄付金や製品提供のほか、美容訓練のカリキュラム構築に関与するなど積極的な支援を行っています。2022年は134名の女性がトレーニングを受け、45名が就労の機会を得ました。

美容トレーニングの様子
美容トレーニングの様子

国際女性デー Shiseido Global Action

資生堂では、3月8日の国際女性デーを機に、グローバル全社員のジェンダー平等、ダイバーシティ&インクルージョンへの理解を高め、自分事として自発的に改善をすすめることを目的に毎年さまざまな取り組みを進めています。2022年は「文化を通じてジェンダー問題に気づこう」をグローバル横断アクションの共通テーマとして、社内イントラネットに各国・各地域で話題になっている女性の生き方やジェンダーをテーマとした内容の映画、本、アートなどの文化を紹介するジェンダーカルチャーリレーを展開しました。
シンガポールに拠点を置くアジアパシフィック地域本社では、「ジェンダー平等」の啓発を目的に、国際女性デーをテーマに社員一人ひとりの取り組みを社内で宣言するキャンペーンを実施しました。ポートレートや動画の撮影なども呼びかけ、社員の一体化に努めました。また、資生堂のジェンダー平等推進の歴史などをニュースレターにして社員に共有しました。
トラベルリテール地域本社でも、国際女性デーにちなんでブランドのジェンダー平等への取り組みなどをニュースレターにして社内に配信。合わせて、グローバル横断アクションのジェンダーカルチャーリレーへの社員参加をコンテスト形式で募集し、施策を盛り上げました。
米州地域本社では、国際女性デーをテーマにした社員一人ひとりのポートレート写真を社内イントラネットに掲載。社内の自主活動グループ「Women Empowering Women」主導で、社内の女性リーダーとのパネルディスカッションを行いました。
さらに、欧州地域本社では、日本の女性の生き方を描いた映画の社内上映会を実施。映画を通して、異なる地域の多様な女性の生き方を学びました。

資生堂 国際女性デー
資生堂 国際女性デー ロゴ
社内上映会の様子(フランス)
社内上映会の様子(フランス)

親と離れて施設や里親のもとで暮らす子どもたちの自立・進学支援

公益財団法人 資生堂子ども財団は、「すべての子どもが笑顔にあふれ、自分らしく輝く社会」の実現を目指し、社会に巣立つ子どもたちの未来を後押しする「⼦どもへの⽀援」、子どもを育む人に必要な情報を届ける「子どもを育む職員への支援」、子育てに関わる大人に役立つ情報を届ける「広く一般の方々に向けての情報発信」の活動に取り組んでいます。
なかでも、「⼦どもへの⽀援」として、資生堂ジャパン株式会社、株式会社AOKI、株式会社リクルートなどの企業・団体と協働し、社会的養護下で暮らす中高校生を対象として自立生活に必要な社会的知識を専門家から学ぶ「自立支援セミナー」を開催しています。これまで行った自立支援セミナーには、300名以上の子どもたちが参加しました。また、大学・短大・専門学校への進学支援として2007年に開始した奨学金事業では、2022年までに81名の奨学生を支援してきました。
その他にも、「子どもを育む職員への支援」として児童福祉施設職員向けの研修の開催や、「広く一般の方々に向けての情報発信」として日本各地の児童虐待防止啓発イベントや子育て家庭向けセミナーへの助成なども行っています。

身だしなみ講座の様子
身だしなみ講座の様子
2022年法人名称変更を機に刷新したロゴマーク
2022年法人名称変更を機に刷新したロゴマーク

資生堂の女性活躍・ダイバーシティ&インクルージョンの促進

資生堂では社員の個の力を発揮し、イノベーションを生み続ける組織風土づくりのためにダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を重要な経営戦略の柱と位置づけ、なかでも日本における女性活躍を積極的に推進しています。

資生堂社内における女性活躍支援の取り組み

資生堂グループの80%以上が女性社員です。グループ社員のうち女性管理職はグローバルで58.1%を占めます。また、取締役・監査役の女性比率は40.0%、日本国内の女性管理職比率37.6%となっています。女性のエンパワーメントがイノベーションを創出し、資生堂のさらなる成長と社員の自己実現につながると考え、2030年までに日本国内のあらゆる階層における男女比率を機会均等の象徴である50:50にすることを目指しています。
日本国内では、1990年代初めから育児・介護休業法に先駆け、育児休業制度、育児による短時間勤務制度を導入するなど、長きにわたり、女性のライフイベントを支援するさまざまな制度や支援策を推進してきました。具体的には、事業所内保育所「カンガルーム汐留(2003年)」「カンガルーム掛川(2017年)」を開設し、いずれも近隣企業にも開放してきました。さらに「多様な働き方に合わせた柔軟な保育」を実現するため、2023年4月にシッターサービスを中心とした総合的な保育サービス「KANGAROOM+(カンガルームプラス)」を開始しました。集団保育ではなく1対1の保育サービスにすることで、時間と場所の自由度を上げるとともに、「小1の壁」に代表される社員の保育ニーズに合わせて、対象を未就学児から小学生までに広げます。
また、2008年には育児による短時間勤務を取得する美容職社員の代替要員体制として「カンガルースタッフ制」を導入し、2022年は全国で1,510名の育児期の美容職社員の両立を721名のカンガルースタッフが支えています。このような取り組みの結果、国内資生堂グループにおける育児休業からの復職率は94.9%に及び、高い水準を維持し続けています。
資生堂は女性リーダー育成塾「NEXT LEADERSHIP SESSION for WOMEN」を開催しており、2022年は63名の女性社員が参加しました。この育成塾は、女性社員がマネジメントや経営のスキルを学びながら、自分らしいリーダーシップスタイルを見つけるプログラムです。同プログラムの開始から6年経ち、受講した185名の女性社員(退職者を除く)のうち49%(90名)が昇格を遂げました。女性管理職比率を50%に引き上げるために、次期課長・部長・経営幹部候補向けの3つのプログラムに拡大し、着実に次世代のリーダーを育成するリーダーシップパイプラインの強化につなげています。
また、エグゼクティブオフィサーと女性社員によるメンタリングプログラム「Speak Jam」には、2020~2022年にセールス、生産、R&Dなどさまざまな領域から累計117名の社員が参加しました。

その他にも社員の健康や安心・安全、働きがいと、さらなる生産性の向上を通じた事業成長を目指し、「コアタイムのないフレックスタイム制度」への改定や「テレワーク制度の国内グループ全社への展開」、業務の目的に合わせてリモートワークとオフィスワークを柔軟に組み合わせる「資生堂ハイブリッドワークスタイル」を導入するなど、女性に限らずさまざまな属性の社員が働きやすい職場環境の整備を推進しています。

女性リーダー育成塾「NEXT LEADERSHIP SESSION for WOMEN」の様子
女性リーダー育成塾「NEXT LEADERSHIP SESSION for WOMEN」

社会からの評価

資生堂のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みは、さまざまな団体から表彰を受けました。今後も、女性に限らず外国人やキャリア採用者など多様なバックグラウンドを持った社員の活躍を支援し、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をさらに加速させていきます。

女性が輝く先進企業表彰2020受賞【※】
女性が輝く先進企業表彰2020「内閣総理大臣表彰」受賞
令和4年度 なでしこ銘柄 選定【※】
令和4年度 なでしこ銘柄 選定
2020 WCD Visionary Awards
2020 WCD Visionary Awards
MSCI日本株女性活躍指数2022【※】
MSCI日本株女性活躍指数2022

「The Global Parity Alliance Lighthouse Awards」に選定
世界経済フォーラムとマッキンゼー・アンド・カンパニーが「DE&I」(ダイバーシティ、エクイティ(公平性)、インクルージョン)を加速させることを目的として立ち上げた「The Global Parity Alliance」において、2022年度の「DEI Lighthouse」に唯一の日本企業として選定されました。