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コーポレートガバナンスの視点から、資生堂の企業理念実現に寄与します 社外取締役 岩原 紳作 コーポレートガバナンスの視点から、資生堂の企業理念実現に寄与します 社外取締役 岩原 紳作

社外取締役としての想い

1年前に資生堂の社外取締役に就任しました。
私は会社法、金融商品取引法、金融法等の研究者であり、特にコーポレートガバナンスの問題を専門にしております。社外取締役の設置の促進等、日本企業のコーポレートガバナンスの向上を大きな課題とした平成26年会社法改正の際には、法務省の法制審議会会社法制部会長として改正法の原案の取りまとめに当たりました。

そのような専門と経緯から、自ら社外取締役として日本企業のコーポレートガバナンスの向上の実践に関与したいと考え、資生堂の社外取締役をお引き受けさせて頂くことにしました。社外取締役としての職務を真剣に果たすために、資生堂一社のみの社外取締役をお引き受けするつもりであります。

資生堂のコーポレートガバナンスを更に向上させることに貢献することを通じて、資生堂の企業価値、株主価値を向上させ、ひいては世の中に美を提供することによって社会、世界に貢献するという資生堂の企業理念の実現に寄与したいと願っています。

社外取締役として果たすべき役割

コーポレートガバナンスの観点からしますと、社外取締役の役割は、第一に、社外取締役を選任して下さいました株主の利益を代表して、よき経営者を選任し、監督し、サポートして、株主価値、企業価値の最大化を実現することにあると思っており、その点、資生堂グループは、魚谷社長以下の経営陣の努力により、この1年間に、営業利益は804億円から1084億円に、売上高は1兆50億円から1兆948億円へと増加しました。

また、グローバルイノベーションセンターを開設、那須工場、大阪茨木工場を建設するとともに、福岡久留米工場の建設を決定する等、積極的な将来への投資を進めてまいりました。これらの建設計画を取締役会で決定したときには、建設の必要性、採算性、資金の手当て、経営環境が激変したときの柔軟な対応、等につき経営陣から十分な説明を頂いて納得できたことから、建設に賛成しました。
このように現在の資生堂の経営は望ましい方向に進んでおり、それをしっかりとモニターしながら、サポートしていきたいと、考えております。

このように資生堂がよい方向に発展しておりますのは、経営陣が従業員のやる気を引き出し、その可能性を開花させているところによる面が大きいと思います。
ただ、現在の経営陣は、大胆な改革を推し進めているだけに、従業員、取引先、場合によってはお客様との間で、それに伴うコンフリクトがないわけではないと思います。

社外取締役の第二の役割は、従業員、取引先、お客さま、そして社会全体等、株主以外の各方面からの声をしっかりと受け止め、それらを取締役会に反映させることにあると思います。
これら株主以外の会社関係者の声、更には社会全体の観点を経営に反映させることは、社外取締役の重要な責務であります。

どのようにして社外取締役としての役割を果たそうとしているのか

私自身、法制審議会、金融審議会、その他、各種の政府の審議会の委員を務めて、社会全体の企業への要請等を肌で感じる立場にありましたため、こういった経験を活かし、経営陣と話し合って、よき経営の実現に協力していきたいと思います。

そのような場で日本企業にまず求められているのは、第一に、国際的な競争力を高め、収益性を高めることです。
資生堂が現在努めている経営改革やブランド力の向上、そして新工場建設等の積極的な投資等は、正にこのような方向にそうものです。
私はそのような経営の方向を社外取締役として後押ししていきたいと思っています。

第二に求められていることは、従業員、取引先等の会社関係者や、お客様の声に応え、そして環境や女性活躍等、社会全体の価値を経営に十分反映させることです。
私としては、これら社会の企業への期待に応えるべく、資生堂の国際競争力、ブランド力、収益力を高める経営の改革を後押しする一方で、社内の各種行事にも参加し、色々な機会を利用して会社内外の関係者の方々となるべく情報を交換し、会社関係者やお客様の声、そして社会全体の価値を経営に反映させるべく、努めております。

今後への抱負

資生堂は、経営陣、従業員一同、大変優れたチームワークで、素晴らしい発展を遂げつつあります。私は社外取締役として、そのような発展を支え、資生堂の企業理念の実現に貢献するべく努める所存です。