サステナビリティ戦略

環境

サステナビリティに対応した新たなサプライチェーン拠点を設立

資生堂は、プレステージスキンケア商品の生産と物流を担う拠点として、大阪茨木工場を2020年12月に、西日本物流センターを2021年3月に稼働しました。当拠点はサステナビリティに対応した生産供給体制を備えています。具体的には、工場と物流センターが隣接することで、商品の輸送時にかかるCO₂排出量の削減が期待され、その効果は年間60t以上を見込んでいます。また、工場では省エネ設計を採用し建物内の断熱性能を上げることにより、通常の設計に比べCO₂排出量を約30%削減しました。製造時に使用する水については、循環水を再利用することにより、年間65,000tの消費量の削減効果を生み出しています。

大阪茨木工場と西日本物流センター

環境対応パッケージ開発促進

CO₂排出量や海洋プラスチックゴミ問題などは、グローバルで喫緊に解決すべき環境課題であり、当社はサステナブルな容器の開発などで対応を強化しています。当社は、サーキュラーエコノミーの考えに賛同し、2025年までに100%サステナブルな容器とすることを目標として定めました。容器包装に関するポリシー5Rs(Respect(リスペクト)・Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)・Replace(リプレース))に基づき、商品のライフサイクル全体を通じた取り組みを推進します。
2021年においても、環境に配慮したさまざまな容器包装の取り組みを実施しました。例えば、プラスチック使用量の削減だけでなく、本体容器の繰り返し使用が促進できる「つめかえ・つけかえ」容器のグローバル展開、容器を再利用するプラットフォームLoopでの商品の発売、リサイクルに適した単一素材容器、石油由来に比べCO₂排出量の少ないサトウキビ由来ポリエチレンを使った容器、そして(株)カネカとの共同による優れた生分解性が期待される素材「カネカ生分解性ポリマー Green Planet™」の化粧品容器への応用を実現しています。また、商品だけでなく、日用品/化粧品4社協働にて販促物に使用するプラスチックを紙製に変更する取り組みも実施しています。
加えて、小売店や競合他社と協働し、お客さまから使用後の空き容器を回収・リサイクルし、資源として再活用しています。
このように、当社の独自の技術や社外とのコラボレーションを通じたイノベーションにより、商品の使いやすさや美しさだけでなく環境課題の解決に貢献していきます。

©️Fujiko-Pro,Shogakukan,TV-Asahi,Shin-ei,and ADK
「ドラえもん」が見守る、「エリクシール」 グローバルサステナビリティキャンペーン(つめかえ用紹介活動)
カネカ生分解性ポリマー「Green Planet™」を使用した「SHISEIDO アクアジェル リップパレット」

また、2022年からは、サステナブルな社会の実現に向けて、(株)アールプラスジャパンに資本参加し、使用済みプラスチックの再資源化に取り組みます。(株)アールプラスジャパンは、米国のバイオ化学ベンチャー企業であるアネロテック社(Anellotech Inc.)とともに、環境負荷の少ない効率的な使用済みプラスチックの再資源化技術開発を進めます。世界で共通となっているプラスチック課題解決に貢献すべく、回収プラスチックの選別処理、モノマー製造、ポリマー製造、包装容器製造、商社、飲料・食品メーカーなど業界を超えた連携により、2027年の実用化を目指していきます。

日本においては、公益財団法人世界自然保護基金ジャパンが掲げる「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」に参加し、容器包装や使い捨てプラスチックの課題と気候変動問題に取り組み、サステナブルな社会の実現を目指します。

エコビューティースコア・コンソーシアムへの参加

資生堂は、サステナブルな商品選択と情報の透明性を求めるグローバルの消費者の要望に応えるため、2021年にエコビューティースコア・コンソーシアムに参画しました。このコンソーシアムには、グローバルの化粧品・パーソナルケア企業36社と専門家団体が参加し、科学的根拠に基づく共通の手法に基づき、化粧品における製品のライフサイクル全体における環境影響評価(ライフサイクルアセスメントに基づく)とスコアリングシステム、非専門家でも個別の製品の環境影響を評価できる共通のツールを、協働して構築・開発しています。

社会

メイクを通じた社会貢献活動、「メセナアワード 2021」で優秀賞を受賞

当社のがん患者さんを支援する活動「LAVENDER RING MAKEUP & PHOTOS WITH SMILES」が、公益社団法人 企業メセナ協議会が主催する「メセナアワード 2021」において、優秀賞を受賞しました。2017年より開始した本プロジェクトは、化粧のちからで、がん患者さんが、「がんになっても自分らしく生きていく」という意思を表現することを支援する活動です。今後も、社会課題に対して真摯に向き合い、経営資源および当社が本業を通じて培った知見や経験を活かしながら、企業や団体、病院、学校などとの連携を一層強化することで、同様のお悩みを持った方々への支援を展開していきます。

メセナアワード 2021 受賞
社員ボランティアがオンラインでカウンセリングする様子

創業150年の歴史を未来へとつなげるヘリテージ教育の強化

創業から150年にわたって積み重ねてきた、資生堂のヘリテージは私たちの強みです。この強みと知見を未来のイノベーションの糧とするため、社員に向けたヘリテージ教育を強化しています。
日本国内の営業担当・ビューティーコンサルタントに向けて、「BEYOND OUR HISTORY」と題した講演を実施し、創業から近代の歴史とその背景にある先人の想いをエピソードとともに伝え、リアルとオンラインを組み合わせて2,000名以上の社員が参加しました。あわせて講演内容を映像コンテンツとして制作し、より多くの社員が資生堂の創業からの想いを学べるよう配信しました。グローバルな取り組みとしては、資生堂企業資料館が収集保存してきた資料および情報を全世界の社員が閲覧できるデータベース、「SHISEIDO ARCHIVES」をイントラネット上に整備しました。現在は約13万件のアーカイブが公開され、今後さらに閲覧可能なデータを増やすとともに機能を強化し、社員のアーカイブ活用を加速させていきます。価値開発に携わるブランドホルダーやR&D部門に向けては、資生堂のDNAの1つである「アート&サイエンス」を体感するための特別プログラムを構築し、最先端のアートや資生堂の美意識がこめられたヘリテージと向き合うことを通じて、ユニークで新しい価値を生み出すための感性を刺激しています。
こうした活動により、一人ひとりの社員が資生堂のヘリテージに触れ、他社にはない独自の価値を創造していくことを目指しています。

社員に向けたヘリテージ教育のための映像コンテンツ
当社の歴史に関する資料および情報を全世界の社員が閲覧できるデータベース「SHISEIDO ARCHIVES」