水消費量の削減

私たちの生活や産業に欠かすことができない水は、大気と陸域、海洋を繰り返しめぐる循環資源です。水が豊かな国や地域がある一方で、世界では渇水に悩む水ストレスの高い地域も多く、また、都市化や気候変動の進行により2050年には約50億人が水不足に直面するとも予想されています。
資生堂の製品は、化粧水などに配合されている水はもちろんのこと、原料となる植物の生育、生産現場における温度制御や設備洗浄、廃棄物の処理、洗顔時のすすぎにいたるまで、化粧品に関わるさまざまな場面で水に支えられています。 資生堂は、循環性や偏在性という水資源特有の性質を鑑み、水系における健全な水循環や水に関連する文化を尊重しながら、持続可能な利用を目指します。
バリューチェーンを通じた水資源利用の実態に基づき、事業活動が水循環や文化に与える負の影響を低減するため、2026年までにグループ全体で水消費量を2014年比で40%削減する目標を設定しました。特に水ストレスの高い地域や気候変動に伴う将来の雨量の減少が懸念されている地域の事業所を中心に、節水や循環利用などの活動を進めています。結果として、2021年においては2014年比で22%の水消費量を抑えることができました。

生産プロセスでの節水

資生堂の工場では、さまざまな方法で水消費量の削減に取り組んでいます。
工場によりスキンケア、メイクアップ、サンケアなど異なるカテゴリーの製品を生産しており、それぞれの工場が製造設備に合わせた節水の取り組みを行っています。具体的には、製造設備における自動洗浄装置の導入や設備部品の洗浄場所の集約などです。また、将来の雨量の減少が懸念される欧州に立地するフランスのジアン工場ではフレグランス製品の製造設備と輸送のための部品洗浄を水洗浄からアルコール洗浄に変更し、かつ使用したアルコールはリサイクルしています。さらに、設備以外の人的対応においても、節水を含めた環境に関する社員の啓発教育に努めています。

水の循環利用に向けた取り組み

資生堂は、地域と連携した2次利用など「流域の共有財産としての資源管理(Water Stewardship)」を進めています。水資源を有効に活用するために、使用した水を浄化し、再利用またはリサイクルする循環型の水利用に注力しています。
大阪茨木工場では、製造釜の冷却方法を見直し、一度使用した水を再利用して冷却する循環型にすることで年間約6万5000㎥の水消費量の削減を可能にしました。那須工場では、豊富で良質な地下水を化粧品の原料や工場の製造プロセスに活用するとともに、豊かな自然環境に配慮して、排水処理後の水質を通常よりも厳しい自社基準を設けて管理することにより環境への影響を最小限に抑え、自然との共存に努めています。

那須工場における排水処理設備の検査の様子(日本)
同工場、地下水の浄化システム

ステークホルダーとの協働

バリューチェーン全体を通じた水消費による環境影響の把握を目的として、資生堂では、ウォーターフットプリントの評価を推進しています。このため、私たちは水の資源的な特性や資源賦存量、気候変動に伴う将来変動予測など、水文学(すいもんがく)や気候学に基づいた最新の科学的知見の理解と反映に努めています。ウォーターフットプリント評価の結果、原材料の調達段階の影響が大きいことが示唆されています。取引先に対しては、セルフアセスメント(自己評価)の設問等を通して水消費量を把握しています。

水ストレスが高い中国の上海工場では地元の環境保護協会に参画し、環境法令を含む環境関連情報(廃水処理、中水リサイクルを含む)などを積極的に取得し、工場の節水活動に活用しています。また、節水を推進している政府に対して、毎月の水消費量を報告し、水利用率向上と節水管理強化に取り組んでいます。