人権尊重

資生堂は展開するすべてのビジネス領域において、人権尊重のさまざまな取り組みを推進することで、サステナブルな社会の実現に貢献します。
2011年からは、資生堂で働く一人ひとりがとるべき行動を「資生堂倫理行動基準」に定めました(2022年4月に改訂)。また、人権尊重の責務を果たしていく指針として、「資生堂人権方針」を策定し、サプライヤーに対しては「資生堂グループ サプライヤー行動基準」を制定、人権・法令遵守・労働慣行・知的財産の保護・機密の保持・環境保全・公正な取引に関する規範を明文化し、遵守を求めています。責任ある調達を実現するために定期的にアセスメントと第三者監査を実施し、厳格で客観的なリスク特定と是正プロセスを導入しています。

人権デュー・ディリジェンス

ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP:United Nations Guiding Principles on Business and Human Rights)に基づき、EUを中心に各国で国別活動計画(NAP:National Action Plan)が策定されており、多くのNAPにおいて「人権デュー・ディリジェンス」に関する記載が含まれています。
資生堂は、2020年人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、 資生堂が社会に与える人権に対する負の影響を特定し、その防止および軽減のための改善アクションを行っています。さらに、実施や結果の開示を求める各国の規制にも遵守・対応しています。

顕在化している人権リスクに加えて、潜在的な人権に対する負の影響を定期的に特定し、重大な被害を防ぐためにリスク軽減策を講じています。この活動はサステナビリティ関連課題について専門的に審議する「Sustainability Committee」にて報告されています。また、M&Aなど新たな事業関係については、投資判断を行うデュー・ディリジェンスの一環として人権尊重(人事労務のコンプライアンス遵守、社員・顧客の安全など)についても確認しています。

人権リスクアセスメント

人権に関する国際規範や、非財務情報開示に関する基準、CHRB(Corporate Human Rights Benchmark)の評価項目等を参照し、人権専門家の知見を得ながら、考慮すべき人権課題を抽出しました。この人権課題の中には、強制労働や児童労働などの労働に関する人権課題だけではなく、結社の自由、団体交渉権、差別など、人権に関連する幅広い課題が含まれています。
抽出した人権課題を当社のステークホルダー(社員、お客さま、取引先、株主、社会)ごとに関連性を整理し、社内関係者へのヒアリングや社内外の資料をもとに顕在的・潜在的な人権影響の深刻度および発生可能性、また、それらに対して資生堂が実施している予防・是正措置の状況から、それぞれの人権課題のリスクを評価しました。
その結果、資生堂のバリューチェーンにおいて人権リスクが比較的高いと想定される分野は「差別的行為・差別的表現」「コンプライアンスと公正な競争の阻害」「消費者の個人情報管理の不徹底・情報漏洩」「社員のプライバシーへの侵害」「サプライヤー管理の不徹底」「労働環境における事故・事件(労災の発生)」「休憩・休日の権利の侵害(労働時間の超過)」「ハラスメントと虐待」と特定しました

人権リスクの軽減活動

人権リスクアセスメントにより特定した8分野を課題や対応策に応じて6項目に整理・統合し、担当するエグゼクティブオフィサーを定め、2021年より人権に対する負の影響の停止、防止、軽減に向けた改善活動を実施しました。社員の人権は人事部門とリスクマネジメント部門が対応し、社員向けのeラーニング、労災発生抑制に向けた活動などを推進しました。サプライヤーや生産委託先における人権はサプライネットワーク部門が対応にあたり、サプライヤーアセスメントプログラムの継続実施や調達方針の見直しを行いました。

社員への人権教育・研修

毎年、社員に倫理的な行動についての理解を徹底するために、「資生堂倫理行動基準」や関連する方針・ルールについて、階層別研修などの各種社内プログラムを実施しています。
2021年は、日本国内勤務の管理職に対して、ハラスメントをテーマに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に対応し、eラーニングによる研修を行い、1,566名が受講しました。日本国内の資生堂グループ社員に向けては、2つのテーマによるeラーニングでの人権啓発研修を行い、基礎的な人権に関する研修では1万4295名が受講、ハラスメントに関する研修では1万4577名が受講しました。

サプライヤー向けの通報・相談窓口

当社は2013年から、サプライヤー向けに書面、eメールでの通報・相談窓口「ビジネスパートナーホットライン」を設置することで、取引先からご意見やご相談を受け付けています。

社員向けの通報・相談窓口

社員の人権や労働に関する諸問題について、通報・相談を受けるための窓口を設置しています。
グローバルにおいては、その国や地域の法律、および社内諸規程、「資生堂倫理行動基準」をはじめ倫理に反する言動、または反する懸念のある言動について社員からの通報・相談に対応する窓口を各地域の事業所に設置しています。また、グローバル本社には海外事業所の社員からの通報を直接受け付ける「資生堂グループグローバルホットライン」の窓口を開設しています。特に、取締役・エグゼクティブオフィサーに関する通報に関しては、「監査役通報メール」を設置し、国内外から該当する通報を受け付けています。
日本国内では、社員の職場の幅広い相談や通報を受け付ける「資生堂相談ルーム」や「資生堂社外ホットライン」、および通報案件に特化した「コンプライアンス委員会ホットライン」を設置しています。
上記の各窓口については、公正な調査解決ルート、通報者・相談者の不利益扱いの禁止や通報・相談内容の秘密保持を明示した規程を整備し、相談受け付け方法などとあわせて、相談窓口のデジタルリーフレットの配布や掲示、イントラネットなどで社員に周知しています。