角田 万木さん
お客さまの声
資生堂 ライフクオリティー メイクアップを体験されたお客さま(一部社員を含む)のインタビューをご紹介いたします。
メイクは前向きに
なる
きっかけに
なるかもしれない。
宮司 健士さん
大やけどを負ったあとの生活や、
資生堂 ライフクオリティー メイクアップとの出会いについてお話を伺いました。
火災で、全身の9割がやけどに。

やけどを負ったのは、14年前の火災がきっかけです。揚げ物をつくろうと思って鍋で油をあたためていて、少し目を離したすきに台所で火柱がたっていました。大惨事になると思い、鍋を移動させようとして、ひっくり返して全身に油をあびました。それから意識不明の重体で入院。3週間くらい昏睡状態で、気がついたら集中治療室のベッドの上でした。意識が戻ったあと、しばらくして大やけど状態の自分の顔を見た瞬間、言葉にいいあらわせない気持ちでした。いちばん近いのは絶望だったかもしれません。やけどで全身皮ふがない状態だったので、生きるか死ぬかの状況の中で皮ふ移植の手術を繰り返してきました。
当時は本当につらかったので、事故のときにそのまま死んでいた方がらくだったかもと思ったりしました。やけど跡が固くなっている組織を瘢痕組織(はんこんそしき)というのですが、それがぶ厚くなったところを肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)というんですね。これがガチガチにかたまって、身体がうまく動かない。胸を広げることができない、指を曲げることができないなどの症状の一端になっています。かゆみや痛みもあります。それに事故のフラッシュバックという精神的なつらさというのもありますね。
違う自分で、
人と会うのがこわかった。
資生堂 ライフクオリティー メイクアップとの出会いは、病院からの紹介でした。退院したあとも定期的に通院していたのですが、主治医から「資生堂の傷跡をフォローするメイクがあるけど、試してみませんか?」といわれ病院で資生堂のスタッフさんとお会いしたのがはじまりになりますね。
メイクを試してみようと思った理由は、対人恐怖症に陥っていた時期があったからです。いままでの自分じゃない、顔も体も傷跡がいびつなかたちで、人に会うのがこわい。ケガして傷ができた自分は、今までの自分じゃないので。人間って、新しいものはやっぱり何でもこわいんです。人からどう思われるか。メイクをすれば、自分も前向きになるきっかけになったり、何かいい影響があるんじゃないかという気持ちがありました。


はじめてのメイク、
ほんまかいな。
はじめてメイクを体験したときは、戸惑いが大きかったです。傷跡は消えるけれども、同時にメイクをした顔に違和感も大きかった。人から気持ち悪いと思われている部分が、少しでも減るのかなという一方で、よくなるといいなという期待もありつつ、複雑な気持ちでした。メイクをしている写真を見て、母親は「いいやん」とほめてくれたけど、家族の言葉は素直に受け入れられず「ほんまかいな」と思っていました(笑)。
いまはメイクにはだいぶ慣れてきました。スタッフの方に納得できる理由でメイク方法を説明してもらったことが大きかったです。メイクをするときは、眉を描いて全体的にファンデーション。あとは、口もとの左側のあたりがやけどでひげが生えないので、ひげと同じような色で少しカラーをのせていますね。厚すぎるとベタっとするので、自然に仕上げるようにしています。外出するときに必ずメイクをするというより、仕事のときや親戚の結婚式とか、カチッときれいにしていきたいときにメイクをしていくようにしています。


日常のなんにでも、
感謝してるかも。

ぼく自身が、ちょっと偏屈な人間なので、自分が満たされるよりも誰かが満たされているのを見るのが好きなんです。パソコン修理の仕事をしているのですが、むずかしい修理が、うまく修理できたときはうれしいですね。特に写真のデータファイルの復旧がうまくいったとき。よくあるのが、お客さんに「スマートフォンの写真データが飛んだんだけど、写真は抜き出されへんかな。子どもの写真、写ってんねん」とかいわれて、きっとよろこぶだろうなと思いながら復旧作業しているのが、一番うれしい瞬間ですね。
こういったインタビューなど、資生堂 ライフクオリティー メイクアップの活動に協力したのも、誰かのためになればいいなという想いからです。入院中にたくさんのしんどい想いしている方を見てきたので、同じようにやけどや傷で困っている患者さんのためになればいいなと思っています。ぼくは学生時代はバレーの選手だったんですけど、失敗して負けても、何か拾って立ち上がらないと絶対悔しかったんで、それが活きているのかもしれないですね。ぼくの場合は、やけどしたときに死ねたほうが絶対らくでした。全身に皮ふがない状態からのリスタートでしたからね。でも、それはタイミング逃したから考えない。いまは日常のいろんなことにも感謝の気持ちがあります。けっこう何にでも、感謝しているかもしれないです。
*このインタビューは、本活動の趣旨にご賛同していただいた出演者さまのご厚意により実現し、2020年2月に掲載されたものです。関係者のみなさまには心より感謝申し上げます。