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化粧療法研究室ハカセのブログ

人生100年時代を考える~長寿と化粧の関係は?~

さて、今年も残り数日です。2023年はいかがでしたでしょうか?

昨今、いろんなところで「人生100年時代」という言葉を見聞きしますが、今年の厚生労働省の発表によると、全国の100歳以上の高齢者は過去最多の9万2139人(女性8万1589人、男性1万550人)で、9万人を突破しました。
https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/001145390.pdf (外部サイトへのリンク)

2020年のブログでは、8万人突破と書いていましたので、たった3年で100歳人口が1万人増えたということです。100歳以上の人を、英語では「センテナリアン(Centenarian)」と呼び、「1世紀以上を生き抜いた」という意味があります。現時点での国内最高齢は、女性は116歳(大阪府)、男性は111歳(千葉県)です。ちなみに、110歳を超えると「スーパーセンテナリアン」と言います。
今後、日本の100歳人口は、団塊の世代が100歳を迎え始める2047年に50万人を突破し、2049年には65万人を超えると予測されています。
センテナリアンの特徴は、女性の比率が圧倒的に高いことです。はじめて100歳以上人口が、1万人を突破した1998年の女性比率は82.2%で、その後もほぼ毎年女性比率は高くなっていて今年は88.5%でした。

化粧療法研究者としては、寿命と化粧との関連が気になります。そこで、女性の平均寿命(厚生労働省)と世帯別年間化粧品購入額(総務省)のデータを活用して分析したところ、興味深い結果が得られました(下図)

女性の平均寿命と世帯別年間化粧品購入額
出典をもとに筆者作成

出典
1)厚生労働省ウェブサイト 令和2年都道府県別生命表の概況(女性)
2)総務省ウェブサイト 都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量(二人以上の世帯)2022年公開

なんと、平均寿命と化粧品購入額に有意な正の相関(P<0.001)が認められました。相関係数はr=0.446なので「かなり相関がある」といえます。あくまで相関であって、因果関係ではありませんのでご注意を。
化粧品を購入しているということは何を意味するのか、を考えてみたいと思います。
「化粧をする」ということは、外出したり、人と会ったりする時の身支度や身だしなみの一環として行うかと思います。とすると、化粧品購入額の高低は、ある程度外出や交流の機会といった「社会とのつながり」の程度を反映しているのではないでしょうか。2010年にイギリスの研究で、長寿に最も影響を与える要因が、「社会とのつながり」であることが報告されました*)これらの結果からこんな推察ができます。

化粧品購入化粧する社会とのつながり(外出・交流の機会)長寿

*Holt-Lunstad J et al., Social relationships and mortality risk. A meta-analytic review. PloS Medicine 2010 7(7) e1000316

また、年間化粧品購入額が多いということは、単純に考えて1年間で化粧品をたくさん使用しているといえます。化粧品をたくさん使用するとどうなるのかは、今年10月のブログをご覧ください。
あとは、グラフの右上に位置する3つ県の女性(石川県、広島県、熊本県)に実際の感覚をお聞きするのが間違いないでしょう。
ちなみに、グラフ左下の県は今年1月のブログの中にでてきます。探してみて下さい。

近年、メンズコスメが注目されています。男性化粧人口が今より増えていくと、かなり先ですが、ひょっとして男性の寿命や100歳人口比率に影響してくるのではないでしょうか。注視していきたいと思います。
「化粧と寿命」の関係解明は、永遠のテーマとなりそうです。

一年間、ありがとうございました。
少し早いですが、良い年をお迎えください。

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